読書のすすめ

印刷する この記事をYahoo!ブックマークに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加   

第30回 上達の原則 北村勝朗著 CCCメディアハウス2015年04月23日

■ Amazon.co.jpで購入する
■ 楽天ブックスで購入する
■ セブンネットショッピング

書評

 高校を卒業したら音楽学校に行くのが夢だったという著者の北村 勝朗さん。音楽学校の進学に失敗し、「やっぱり素質が必要なのか」と嘆きつつ、それでも納得できない自分がいたからこそ、「才能」に関する研究に従事することとなりました。「努力すれば絶対に結果は出ると思いたかったし、いつかきちんと証明したいと思っていた」。そして東北大学での15年にわたる研究をもとに書かれた本が、今回ご紹介する「上達の原則」です。

上達の原則 北村 勝朗著

「才能」を過大評価し、知らず知らずのうちに「諦めている」ことはありませんか。
これを北村さんは「才能の迷信」と呼び、一つずつ検証しています。「素質がある人にはかなわない」「今からやっても手遅れだ」「いま成果が出ないなら、この先も同じだ」「いい環境でないと上達できない」「教えてくれる人がいなければ上達は無理」。

 こうしたマイナス思考を一つずつ取り除き、上達のメカニズムを理解することで、質の高い練習とやる気を無理なく持続させられるようになります。

 上達の過程は「ホップ・ステップ・ジャンプ」の三段階で考えるようにします。「導入期」「専門期」「発展期」とそれぞれの時期にあった上達のメカニズムがあり、最終的には発展期で自立性を養うことが大切だと書かれています。よく言われる「やる気スイッチ」が、段階ごとで変わってくるのはかなり興味深いですね。

 導入期のやる気スイッチは「すごくおもしろい」と感じる何かと出合うこと、専門期は「これができるようになりたい」もしくは「できなくてくやしい」と感じ、達成しようと思うこと、発展期は「もっといいものを」「自分らしさを」といった向上意欲がスイッチを入れます。

 こうしたことを踏まえ、本書では「すぐにつかえる上達のコツ」として段階に応じた具体的な行動を紹介しています。質の高い練習ができる状況づくりとして、練習に不要なものは片づける、整理整頓といったことをあげられるなど、今日から実際にできそうなものばかり。この中には「集中力を高めるためには体調を整えること」といった当たり前だけれど、おざなりにしがちなことについても書かれています。また上達をアシストするための指導についてのアドバイスも載っており、選手はもちろん、指導者の方にも参考になることが多いのではないでしょうか。

 正しい方向性をもって、コツコツ努力をし、上達すること。「野球がうまくなりたい!」という思いをアシストする一冊です。

(書評:西村 典子

このページのトップへ

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する

プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
  • 講演依頼はこちら
    講演・セミナー依頼受付中
  • 部室に一枚!!RICEポスターを無料配布中!!ダウンロードはこちらからDownload


ケガに強くなる!セルフコンディショニングのススメ
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム