僕らの熱い夏

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第62回 【三年生座談会】市立岐阜商業高等学校(岐阜)2012年08月15日

【目次】
[1] 数々の思いが交錯した「最後の攻撃」  ~夏の大会を振り返って~
[2] 「ラスト1回」の後さらに「プラスα」  ~3年間を振り返って~
[3] アイディア出し合い「僕らのチーム」に  ~チームの団結~
[4] 「2年連続1点差負けの悔しさを晴らしてほしい」  ~後輩たちへ~




▲左から服部、桑原、新井、秋田、井尾

 昨秋は岐阜県大会を制し、東海大会ではセンバツ当確となる決勝進出にあと一歩と迫りながら、準決勝(2011年10月29日)で敗れた市立岐阜商。今度こその思いで挑んだこの夏でしたが、岐阜大会準々決勝(2012年07月25日)で1点差で惜敗し、甲子園出場は叶いませんでした。敗戦後のベンチ裏での慟哭・泣きじゃくりたるや、記者陣ですら容易には声をかけがたかったほどです。そこから10日が経ったこの日、涙も乾いて清々しい表情で、ところどころ脱線話も織り込みながら、高校野球生活を振り返ってもらいました。
 多くの野球部に共通する風景のなかに、市立岐阜商ならではの絆もたしかにある。まさに「青春」が見てとれる素敵な座談会になりました。日々ハードな練習を乗り越えながら、メンバーで意見を出してアップから改革したり、キャプテンにわざと反抗するのがお決まり(?)になっていたりと、厳しくも明るい「僕らのチーム」をつくった3年間でした。

◎座談会メンバー (カッコ内は夏の大会での背番号)
新井 颯斗(16) : 主将。メンバーに「いじられ」ながらも(3頁目参照)、チームをまとめた
桑原 羽耶人(12) : 副主将。秋田和哉監督が「精神的にも成長した」と相好崩す
秋田 千一郎(1) : エースで4番。県内では1年時から世代ナンバーワンの存在
服部 大樹(3) : 飛距離は県でも群を抜くスラッガー。昨秋県大会準決勝で2弾
井尾 優太(8) : 入学前にケガで手術。「Bチーム」から這い上がり、県屈指の好打者に

(インタビュー : 尾関 雄一朗)

数々の思いが交錯した「最後の攻撃」  ~夏の大会を振り返って~

▲準々決勝敗退後(左:新井、左から2人目:秋田)

――今大会は初戦から7対0、3対0、6対0と順調に勝ち上がりましたが、準々決勝で昨夏の覇者・関商工に1対2で惜敗しました。市立岐阜商(以下「市岐商」)の3年生にとって「最後の夏」、どんなシーンが印象に残っていますか?

新井 負けて「最後の試合」になってしまった関商工戦は、今でもよく覚えています。特に1点をリードされて迎えた最終回の攻撃ですね。僕は三塁コーチだったんですが、走者一、二塁でレフト前ヒットが出たんです。二塁ランナーを本塁へ向かわせるか三塁で止めるかで判断を迫られたのですが、(腕を)回さずに走者を止めました。結果的には、相手のバックホームがよく、止めて正解でした。実はちょうど去年の夏、同じような場面で二塁ランナーが本塁突入してアウトになり、試合にも負けたんですが、そんなシーンが今年もいつかあるぞとイメージしていたので、「きた!」と。

秋田 あの場面、ランナーの加藤(貴大・3年)も(三塁ベース上で)喜んでいたよね。

新井 加藤は本塁にいく気満々だったので、僕の前を通り越してから慌てて止まった(笑)。試合後「止めてくれてありがとう」って言われました。

井尾 1点ビハインドで最終回を迎えたけれど、負ける気はしなかったです。先頭打者の桑原がヒットで出て、まるでマンガみたいなシチュエーションになり、「これが野球だ!」と思いましたね。(それまで自身4打数4安打で)5打席目がその9回裏に回ってきましたが、自分がヒットを打つものだと信じて疑わなかったです(結果は敬遠気味の四球)。

▲座談会の様子(左から秋田、井尾)

服部 僕は大会を通じて打てなくて、代えずに使ってもらった秋田(和哉)監督にも申し訳ないです。その準々決勝の最終回、一死満塁で自分に打順が回ってきたとき、次打者の(秋田)千一郎や伊藤(凌一・3年)が「お前がメンバーの中で一番バットを振ってきたんだから」と言ってくれて、気持ちは入っていたんだけど…。

秋田 みんなが最終回につないでくれて、バッターは一番バットを振り込んできた服部。こいつが決める運命かなって思った。でもまさか(服部が三振して)自分に回ってきた(笑)。

一同 (笑)。

秋田 それで、自分が決める運命なんだ、と思い直したんだけど…(初球の変化球を打って左飛)。打てなかったのは自分の力不足。ストライクで攻めてくると分かっていた(ので初球を打ちにいった)んですが、今になってVTRを見ると、何であの球を打ったんだろう、と思うことはあります。時間がたつにつれて後悔が…。

桑原 僕は初戦の羽島戦で、試合後に副キャプテンとして相手校からの千羽鶴を受け取りに行ったことが印象深いです。相手のキャプテンや保護者の方から「市立岐阜商さんと試合ができてよかった」「市立岐阜商さんなら甲子園に出られる。その市立岐阜商さんに負けたなら、光栄なこと」と言ってもらえて、すごく心に響きました。羽島高校さんは選手が13人だけで、1年生が入るまでは大会にも出ていなかったんですが、その人たちにも「夏」があって、そういう思いも自分たちに託されたんだなと感じました。

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