Column

ぶれないコーチングが必要

2012.07.19

廣戸聡一の4スタンス理論

第14回 ぶれないコーチングが必要2012年07月19日

【廣戸道場 廣戸聡一先生】

 今回は以前の連載でお話したことを確認しつつ、4スタンス理論に入る前の「全員に共通する重要なポイント」について紹介していきます。軸をつくるとはどういうことなのか、本当にいい姿勢とはどんな状態なのか、パフォーマンスを向上させるのに効果的な練習とはなんなのか、いろいろとお話したいと思います。

 まず、個人的なことになりますが、私がこうして理論を紹介するのには訳があります。そもそも軸の理論にしても4スタンス理論にしても、20歳前後から薄々「なにかあるな」と気づいてはいました。しかし当時はそれを言葉にし、体系的に誰かに伝えるにはまだまだ不十分でした。

 それから20数年、やっと皆さんにお話しできる形になり、こうして様々な媒体を通して知っていただくことができています。

この間に私が感じていたのは「理論を勉強すれば、他人に委ねることが減る」ということです。ピッチングを知らなければ誰かに指導法を聞かなくてはいけないし、体を知らなければトレーニングの指導を他人に任せなければいけません。もちろん全てをひとりで行うのは無理がありますが、しっかりとした理論さえ身につけておけば、選手も一貫した指導が受けられるのです。

 ここで初めに言っておきたいのが、流行を追うのではなく、人間の体の“理”を認識しておいてほしいといくことです。流行は移り変わりますが、体の理は絶対に不変であり、そして裏切ることがありません。コーチや監督がブレない指導を行うこと。それにはまず、体を知ることがなにより大切なのです。


目に見えない動きの柱「軸」とは

【必要最小限の力で体を動かすために】

 スポーツの動き、野球の動きを語るうえで、しばしば「軸」という言葉が使われます。これは4スタンス理論でもとても重要なキーワードであり、軸が欠如しては、なにも始まらないといっても過言ではありません。ここでおさらいになりますが、軸を形成するための指標となる「5ポイント」について解説していきます。

 真っすぐに立った姿勢の、首の付け根(P1)、みぞおち(P2)、股関節(P3)、ひざ(P4)、足首(P5)が、地面に対して垂直に揃うとき、軸ができるといいました。これを5ポイント理論と呼んでいます。この軸ですが、動きのなかで5つのポイント全てを揃えるのは容易ではありません。

 もちろん多く揃えた方が安定感はありますが、このうち3つのポイントを揃えることでも、軸としての機能を発揮することができます。

 これに加え、肩、ひじ、手首がそれぞれP1、P2、P3の補助として機能します。地面から立ち上がるときに手をつくのは、股関節の補助をしていることになります。また、椅子のひじ置きはみぞおちのP2を補助しています。実際にバッティングやピッチングをしてるときには、この補助ポイントもうまく使いながら軸をつくっているのです。

しっかり立つということ

 軸の話と同様に大切なのが「しっかり立つ」ということです。このしっかりという言葉がクセものなのですが、皆さんはどのような姿勢を想像しているでしょうか。くれぐれも『背筋を伸ばして』とか『胸をしっかりと張って』などと言ってはいけません。ここでいうしっかりとした姿勢とは、安定しすぐに動ける状態を指します。背骨をピンと伸ばすということは24個ある背骨をロックすることにつながり、同時に人間の動きをロックしてしまいます。試しに背筋を伸ばして野球の動作を行ってみてください。おそらく、どことなくぎこちない動きになってしまうはずです。

 しっかり安定した姿勢というものを、具体的に解説していきます。まず土踏まずを地面に対して水平に置きます。

 このとき、決して力を入れて地面をつかむのではなく、土踏まずを中心に足の指紋とか掌紋で地面を感じるようなイメージを持ってみましょう。続いて、骨盤内にある仙骨を地面に対して垂直にします。同様に肩甲骨も垂直です。過度に腰を反らさず、胸を張らず、自然な状態を保つことが大切です。この姿勢ができると、勝手に体幹や胸郭が動いてくれ、軸もつくりやすくなります。これによって、連動性、スピード、スタミナ、柔軟性、筋出力、そしてリズムが向上するというのが最大の恩恵となります。野球選手にとって姿勢がいかに大切なのかが、これでよく分かると思います。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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