Column

正しいテイクバック~スローイングエクササイズ~

2013.05.10

久保田正一本気の心技体

テイクバックを意識したスローイングエクササイズ

 
 前回までの内容でテイクバックにて「なぜ肘が上がらないのか?」「どうすれば上がるのか?」そして「肩甲骨の柔軟性のチェックとストレッチ」、「肩甲骨のエクササイズ」を紹介させて頂きました。次に今回はテイクバックを意識したスローイングエクササイズを紹介したいと思います。

 では復習になるのですが、皆さん『肘が上がっている』とはどのような状態のことだったでしょうか?覚えておられますか?

 『踏み出し足が着地するまでに両肩のラインに肘が上がっていること』でしたよね。

 これができているかどうかを確認するためのスローイングエクササイズですが、これは以前、グローブ側や軸脚の支え方、踏み出し足のつま先の向きなどをチェックするときにも同じような動きをしたのですが、踏み出し足を着地した時点でストップさせるのです

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 この時に投球側の肘が両肩のラインまで上がっているかを確認するのです。(写真1)その時の注意点を数点あげます。

 まずは肘を上げようとして間違ってしまう動きなのですが、グローブ側の肩を下げてしまう動きです。ちゃんと肘が上がらない状態で更に肘を上げようとすると、グローブ側の肩を下げて投球側の肘を上げようとするのです。確かに見た目の肘は上がるのですが、『肘が上がっている』ことにはなりません。そうです、いくらグローブ側の肩を下げて投球側の肘を上げても、両肩のラインには肘が上がらないからです。

 次に足が着地した時にきちんと肘を両肩のラインに上げ『しっかり止める』ことです。このエクササイズをしていると、足が着地した後に両肩のラインに上げる選手を多く見受けられます。足を着地した時には上がってないのですが、その後に調節して上げようとするのです。これでは練習になりません。重要なのは『タイミング』なのです。投球動作中に踏み出し足を着地するまでに肘を上げなければならないので、練習でもしっかりとその意識を持たなければなりません。

 決して『練習のための練習』にならないように注意して下さいね。

[page_break:テイクバックの方向]

テイクバックの方向

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 そして最後はテイクバックの方向です。これに関しては、3つの事柄で決まってきます。まずは、

(1)本人がどこでテイクバックをしたいのか?

 です。これは選手自身の感覚やイメージで作られるのですが、私はこれを非常に重要視します。最近はテイクバックを小さくするような指導が多いと耳にします。しかしそれは本当に良いのでしょうか?確かに肘は上がり易くなるでしょう。しかし本人がそれで投げ易いのか?となるとそれはまた別問題となるのです。まずは選手がどこでテイクバックしたいのか?これが重要となります。

 そして次に、

(2)本人が行いたいテイクバックの方向に肩甲骨が向くのか?

要は柔軟性があるのか?これがポイントとなります。以前もお伝えしたように、肩甲骨の向きに肘を上げなければいけませんので、肩甲骨がどこまで動くかが重要になるのです。

 ここで自分が行いたいテイクバックの方向に肩甲骨が向かないのであれば、まず肘は上がりません。そうなると何をするかは2つ、

テイクバックの方向を肩甲骨の向く方向に変える
肩甲骨の柔軟性を上げる

この2つのどちらを選択するかになります。

 そして次に柔軟性があるのに肩甲骨を動かせない場合重要になるのが、

(3)肩甲骨を動かす事ができるのか?

 です。いくら柔軟性があっても筋力がなければ肩甲骨をテイクバックの方向に向けることはできません。そうなると肩甲骨のエクササイズをしっかりやることが重要となるのです。

まとめると


(1)テイクバックの方向(意識・フォーム)
(2)柔軟性
(3)筋力

 この3つのポイントで、本人がどこでテイクバックを行えばいいのか?これを決定することになるのです。(写真2)最終的にテイクバックの方向を決めるのは選手本人。私は選手にテイクバックの方向を決める要因を伝え、チェックし、提案することしかできません。

 以上がテイクバックでのポイントとなります。皆さんも『自分のテイクバック』を自身で見つけて下さい。

 次回からは『腕の振り方』になります!

(文・写真:久保田 正一) 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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