Column

正しいテイクバック~肘が上がっている、の定義~

2012.12.10

久保田正一本気の心技体

 
 さて12月に入り完全にシーズンオフ。いわゆる冬のトレーニング、などになる時期ですね。この時期に入る前に必ずして頂きたいことは、『先シーズンの反省』です。できるだけ具体的に課題を明確にしなければなりません。もちろん春先、来夏の目標は設定している前提での話です。

 でなければただのきつい冬トレ…になってしまいます…

 そして重要なのは『具体的な』課題です。頭で思うことを課題にあげても改善しません。『実際に行うこと』これまで考えなければ動きは改善しないのです。

 例えば『インステップ』の時にお伝えしたように、『足が真っ直ぐ出ていない。だから真っ直ぐ出す。』これでは頭で思うことで改善しません。具体的に『どうなっていたから』インステップになっていたか?これが分からなければ『実際に行うこと』はできません。

 是非スローイングに関しては、今までの『本気の心技体』で復習して、課題を明確にして下さい!!!

テイクバック

 そして今回から上半身の話になります。まずはボール側の腕の動き、『テイクバック』です。テイクバックで重要になるのが『肘の上り』です。指導する選手たちに『肘を上げなさい』『肘が下がっているぞ』と肘の上りについて言われたことのある選手?と聞くとほとんどの選手が手を挙げます。

 この肘の上りは非常に重要なポイントで、私が今までたくさんの肩や肘を痛めた選手をみさせて頂きましたが、ほとんどの選手は肘が上がっていないのです…それぐらい重要なポイント、それが『肘の上り』なんです。

 しかしここで皆さんに考えて頂きたいのは、『肘が上がっている』この定義です。これは何なのでしょう?まずはこれが明確ではないと、本当に肘が上がっているのか?下がっているのか?この判別ができません。

 今回は『肘が上がっている』の定義をお伝えしたいと思います。

[page_break:肘が上がっているの定義]

肘が上がっているの定義

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『踏み出し足が着地するまでに肘が両肩のラインまで上がっている』

 これが私の『肘が上がっている』の定義です。

 では写真にて実際に肘が上がっているのか?下がっているのか?チェックしてみましょう。

写真(1)の選手の肘は上がっているでしょうか?

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▲写真(1) 肘下がり

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 では写真(2)の選手の肘は上がっているでしょうか?

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▲写真(2) 肘上がり

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正解は、もちろん写真(2)ですね。この選手は足が着地する前に肘が両肩のラインに上がっています。しかし写真(1)は肘が両肩のラインより下がっています。

 

[page_break:両肩のライン上に肘があれば問題ない]

両肩のライン上に肘があれば問題ない

 ポイントは『両肩のラインに対して』です。見た目の肘の位置で判断してはいけません。一見肘が下がっているように見える選手でも重心移動にて(右投げの場合)右肩が左肩より下がっている選手がいます。そういう選手は見た目右肘が下がった位置にあるように見えるのですが、両肩のライン上に肘があれば問題ないのです。

 中には両肩のラインよりも上がり過ぎている選手もいます。こういう選手の場合、上げ易いのがその高さであれば問題ないのですが、無理やり高く上げている選手や、その後の動作に影響している選手であれば、両肩のラインに下げた方が良いでしょう。重要なのは動かし易さと、正しい動きです。

 ではここで皆さんチェックをしてみましょう。下半身の話でいつもチェックしていた『踏み出し足が着地した時点でストップ』です。ここで皆さんの肘は両肩の高さまで上がっていますか?

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▲写真3 踏み出し足着地チェック

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 このチェックポイントでの注意点ですが、踏み出し足が着地した時点、この時点で肘がどこにあるかです。足が着地した後に肘を動かす選手がいるのですが、それでは意味がありません。

 タイミングは非常に重要。踏み出しが着地した瞬間には、必ず両肩のラインに肘が上がるようにしましょう!

 あれっ?上がらないぞ…という方。それにつきましては次回以降。よし!上がっているぞ!という方もまだ安心はできません。なぜ上がっているかが分かっていないといずれ下がる可能性がありますからね…

 と言うことで詳しいメカニズムについては次回説明します!

(文・写真:久保田 正一) 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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