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【地区大会決勝トリビア】11度目の悲願で初優勝を果たした、二松学舎大附

2015.07.15


二松学舎大附の円陣、選手たちで声をかけて確認し合う

 

 昨年夏、今春と甲子園に2季連続で甲子園出場している東東京を代表する強豪・二松学舎大付。
春の選抜大会こそ4回出場しているが、夏は昨年の初優勝を成し遂げるまで、実に10度も決勝で敗れている。あと一歩まで行きながらここまで夏の甲子園が遠い学校は、全国でもそうはないだろう。

同校が過去に対戦した決勝戦のカードを振り返る。

【東東京大会決勝】

第53回、○日大一  12-2 二松学舎大付●
第56回、○城西大城西 5-2 二松学舎大付●
第62回、○早稲田実 10-4 二松学舎大付●
第66回、○日大一 3-1 二松学舎大付●
第74回、○帝京 10-2 二松学舎大付●
第80回、○帝京 8-3 二松学舎大付●
第84回、○帝京 6-3 二松学舎大付●
第85回、○都雪谷   5対0 二松学舎大付●
第86回、○修徳 3-2 二松学舎大付●
第95回、○修徳 13-6 二松学舎大付●
第96回、○二松学舎大付 5-4 帝京● 

 完敗から惨敗まで。
これを見るだけでも決勝戦で苦しんできた二松学舎大付の歴史がわかる。

特に2002年から2004年にかけては3年連続準優勝。2002年2004年には選抜甲子園にも出場しており、前評判も高く優勝候補筆頭であったために、期待は高かった。
しかし「夏の甲子園」はそこまで甘くなかった。

2002年は、3番・近内 亮介(日大)、4番・山崎 裕史(中大)、5番・五味渕 健太(東農大)の強力クリーンナップは通算本塁打100本を超える破壊力満点の打線を引っ提げて東東京の雄、帝京と対戦。この試合では先発の左腕・森 裕幸青山学院大)が序盤から帝京に対して、得点を許す展開に。帝京吉田 圭高市 俊のリレーで強打の二松学舎大付打線を抑え試合を優位に進める。二松学舎大付が9回に2点本塁打で得点を加えたが反撃はここまで。決勝戦において、帝京相手に3連敗を喫してしまった。

2003年には好投手・小杉 陽太(亜大中退―JR東日本)を中心に、1年生ながら強打がウリだった小道 順平明治大―東京ガス)、菊田 純平(HONDA)や俊足好打の荒川 卓也(北海道東海大)を中心に圧倒した昨年同様の圧倒した強さで決勝まで勝ち進んだ。

決勝戦の相手は都立雪谷。初の決勝進出で[stadium]神宮球場[/stadium]は完全に都立雪谷ムードになっていた。二松学舎大付の小杉、都立雪谷の太田が好投を見せて終盤まで得点が入らず投手戦に。均衡を破ったのは都立雪谷で9回表に小杉を攻め立て一挙5得点を入れられて、勝負あり。2年連続の決勝戦敗退。

2004年のチームは松木 基(亜大)―森下 忠信(北海道東海大)のバッテリーが息ピッタリで、かつ攻撃力もあった。秋季東京大会を制し、出場した選抜では大阪桐蔭に敗れたが、も安定した試合運びを見せて3年連続の決勝進出。相手はスタメンに下級生8人が並ぶ修徳。終盤まで2対2と接戦で進むが、犠牲フライで1点追加され、勝負あり。二松学舎大付は3年連続での決勝戦敗退となってしまった。

左から今村大 輝選手、大江 竜聖選手(二松学舎大附)

そして、時は流れ、初めて東京大会決勝に進出してから40年以上を数えた2014年の第96回大会東東京大会
前年の東東京大会準優勝を経験している竹原 祐太東洋大)、秦匠 太朗(専修大)の強打者を中心に、当時注目を集めた1年生トリオの今村 大輝(2年)、大江 竜聖(2年)、三口 英斗(2年)のルーキー達の活躍もあり、宿敵帝京を撃破。

決勝進出11度目にして悲願の夏の甲子園を勝ち取った瞬間であった。
これで「夏の甲子園」という殻を破った二松学舎大付は、今春の選抜も出場を決めて、今、非常に勢いある学校へ変化を遂げている。

大江投手を筆頭とした1年生トリオが2年生となった今夏、来年春、夏と5季連続出場と期待がかかる。

これまで「準優勝」という言葉が染みついていた二松学舎大付。

一時期、東東京大会の序盤で格下相手に敗退してしまうこともあったが、ここにきて、名門校として強さを発揮してきたこのチームがさらに開花するのはそう遠くなさそうだ。7月16日に初戦を迎える二松学舎大付。満を期して夏の東東京大会2連覇を狙いにいく。


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・11年ぶり選抜出場の二松学舎大附に潜入!市原監督が甲子園への思いを語る(2015年02月17日配信)
・野球部訪問・二松学舎大学附属高等学校(2011年09月12日配信)
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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