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環境の変化とコンディション

2018.04.30

環境の変化とコンディション | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 春の地方大会も各地で開催され、選手の皆さんは日頃の練習成果を思う存分発揮してがんばっていることと思います。新入部員の皆さんはそろそろ部活動にも慣れてきた頃でしょうか。ところがこの時期はコンディション不良を示す「五月病」という言葉があるように、大きな環境の変化は時に身体に負担やストレスをかけることがあります。皆さんに思い当たるところはありませんか?

抑うつ状態とは?

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心身のコンディション不良は誰にでも起こるが、特に環境の変化が大きい新入生は要注意

【大きな変化がストレスとなりやすい】

 人間はさまざまなストレスを受けながら生活をしていますが、ストレスが多すぎても少なすぎても支障が出るといわれており、適度なストレスを受けながらそれを上手に解消していくことが必要とされています。しかしあまりにも大きなストレスを抱え込んでしまった場合は、気分が落ち込んで気力や行動力が乏しくなる「抑うつ状態」になってしまうことがあり、環境の変化が大きい新入部員を始め、誰にでも起こることが考えられます。
 例えば「寮生活を始めた」、「今まで入っていたのにメンバーから外れた、もしくは逆に今までメンバーに入っていなかったのに、メンバーに抜擢された」、「朝練などで急に生活リズムが変わった」、「ケガをして全体練習に参加できなくなった」などなど、野球部員であれば誰でも経験するような大きな変化が影響し、心身のコンディション不良を引き起こすことがあります。また意外なことですがネガティブな変化だけではなく、ポジティブな変化においてもストレスをもたらすことが知られています。

【思い当たるところはありませんか?】

 大きなストレスを感じつつもそれをうまくやり過ごせる人もいれば、どうしても気になったり考えすぎてしまったりしてそれが体調不良となって現れることもあります。抑うつ状態にみられがちなものを挙げてみます。

・普段と比べると何となく気分がめいることが多くなった
・身体がだるく疲労感が抜けにくい
・何をするにも面倒くさいと感じる
・他人に会うことが何となく億劫になる
・原因のよくわからない体調不良(頭痛や食欲不振、下痢など)が続く
・睡眠の質が下がり、途中で起きてしまったり、熟睡できなくなったりする
・いつもはあまり気にならないのに些細なことにイライラしたり、落ち込んだりと感情の振れ幅が大きい

 これらに当てはまるからといって即「抑うつ状態」であるとか「五月病」であるとは断言できませんが、ストレスが原因となっているかもしれないことを念頭において、心身のコンディションを整えていくように生活習慣から見直していく必要はあるでしょう。

[page_break:栄養面からストレス解消]

栄養面からストレス解消

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ビタミンCは熱で壊れやすい性質があるのでサラダなどがおすすめ。豚肉とあわせると疲労回復効果も見込める

【ストレスへの抵抗力を高めるビタミンC】

 ストレスを解消するためには適度に身体を動かしたり、友人に話を聞いてもらったりといった一般的な方法の他にも、栄養面からアプローチすることもできます。その一つが野菜や果物などに多く含まれているビタミンCの摂取です。特に男子アスリートは食事において野菜をあまり食べない選手が多く(肉は大好きですが…)、女子アスリートに比べてビタミンやミネラル分が不足しがちであるといわれています。
 ストレスを受けた身体はストレスに対抗するためにホルモンを生成するのですが、このときにビタミンCが使われており、ストレスが長期化すればするほどビタミンCを消費して、やがて身体はビタミンC不足となってしまいます。ビタミンCが不足するとケガが治りにくくなったり、身体の免疫力が低下して風邪をひきやすくなったりといった傾向が見られるようになります。こうしたことからも食事の時には特にビタミンCを含む食材を意識してとるようにし、ストレスへの抵抗力を高めるように心がけましょう。

【責任感の強い選手ほどストレスを感じやすい】

 個人の考え方によってもストレスを感じやすい傾向がみられます。例えば責任感が強く自分を責めてしまいがちなタイプであったり、競争心が強く、過度にライバル心を燃やすタイプ、頼まれたら断れないタイプなど知らず知らずのうちにストレスをため込んで、心身のコンディション不良を引き起こしている場合があります。大きな変化に伴うストレスが続く場合や、原因不明のコンディション不良に悩まされているときは、休養を十分にとり、まず体調を整えることから始めてみましょう。
 またプレーでのミスや人間関係のトラブルなどを自分一人の責任であると抱え込まず、家族や友人など話しやすい人に相談してみることも大切です。長期にわたって大きなストレスを受け、そのままプレーを続けているとオーバートレーニング症候群といってプレーをすればするほど体調が悪くなるようなことにもつながりかねません。

 いつもと同じように過ごしているのに何となく気分が冴えない、なぜか体調を崩しやすいという場合は当てはまる項目がないかどうかをチェックし、早め早めに対応するようにしましょう。

 

次回コラム公開は5月15日を予定しております。

(文=西村 典子

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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