印刷する この記事をYahoo!ブックマークに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加   

第172回 試合期に行うショートスプリント2017年06月30日

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 いよいよ暑い夏が近づいてきました。沖縄ではすでに甲子園をかけた夏の地方大会がはじまり、他の地方でも次々と始まります。3年生にとっては高校野球ラストサマーとなる夏の大会、思い残すことのないように精一杯プレーをしてほしいと思います。さて今回は試合期に向けたコンディショニングの仕上げ段階として、ランニングにおけるショートスプリントについて考えてみたいと思います。

【目次】
[1]野球は短いダッシュの繰り返し / キャリオカの動作や背面走りからのダッシュ
[2]ショートダッシュは大きなパワーを必要とする

野球は短いダッシュの繰り返し

体幹のひねり動作を意識したキャリオカで身体のキレを出そう

 オフシーズンはロング走、インターバル走などを多く取り入れ、体力の中でも特に心肺持久力や筋持久力、スタミナの強化といったことを行ってきたと思いますが、試合期ではより野球の動作に近いものを行っていくようになります。短いダッシュは塁間を全力で走り抜けるときや、守備でボールを追う時などさまざまな場面で見られます。距離としては塁間(約27.43m)を基準として30mダッシュや50mダッシュ、スタートを意識するときは10mのスタートダッシュなどを繰り返し行うこともあります。一般的にショートスプリントというと100〜200m程度を指しますが、野球の場合は100m全力で走るシーンはあまり見られないので、それよりも少ない距離でも問題ありません。

 野球の試合ではスパイクを履いて走るため、なるべく条件をそろえて走る場合と、下肢への負担を考えてランニングシューズなどに履き替えて走る場合とがありますが、「何のために走るのか」を明確にしてランニングプログラムを組むようにしましょう。ランナーを想定して走る場合はスパイクを履き、特に腰の高さを意識しながら、切りかえしてスタートする際に目線が上に浮かないようにすることが大切です。

 またランナーがスタートダッシュをかけるタイミングは音(聴覚)というよりも目からの情報(視覚)によるものが大半ですので、スタートをする際の合図を笛(聴覚)ではなく手(視覚)で合図をしたり、実際にピッチャーとして前に立ってもらって牽制とホームへの投球をミックスしたスタートの合図を行ってもらったりと、野球のプレーに近いダッシュを繰り返すようにします。

キャリオカの動作や背面走りからのダッシュ

 身体のキレを意識するという点では腰のひねり動作(回旋動作)にもスピードが求められます。ランナーのスタートダッシュでは上半身はリラックスし、ピッチャーと正対していても、下半身は次の塁に向けて腰を素早くひねったツイスト動作が必要となります。また牽制では次の塁を狙いつつも、ピッチャーからボールが投げられたときは元の塁に素早く戻ることためにやはり体幹のツイスト動作を行います。

 しなやかな動きが再現できるようにするためには、股関節の動きをよくすること、下肢と体幹の柔軟性を高めることが求められるため、普段のウォームアップにキャリオカ動作を取り入れたり、バック走から切りかえして前にダッシュを行うようなひねり動作を含むショートダッシュも行うことが大切です。

【次のページ】 ショートダッシュは大きなパワーを必要とする

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第2回 タンパク質の重要性とは?【元強豪校球児の野球選手のカラダをつくる栄養講座】
第1回 基本的な体の作りを知ろう!【元強豪校球児の野球選手のカラダをつくる栄養講座】
第24回 夏に向けてのコンディショニング「センスアップで、持っている力を引き出そう!」【Vol.3】【技術ノート トレーニング編】
第23回 夏に向けてのコンディショニング「センスアップで、持っている力を引き出そう!」【Vol.2】【技術ノート トレーニング編】
第22回 夏に向けてのコンディショニング「センスアップで、持っている力を引き出そう!」【Vol.1】【技術ノート トレーニング編】
第224回 北海道日本ハムファイターズ 増井 浩俊投手【後編】 【2014年インタビュー】

コメントを投稿する

プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
  • 講演依頼はこちら
    講演・セミナー依頼受付中
  • 部室に一枚!!RICEポスターを無料配布中!!ダウンロードはこちらからDownload


ケガに強くなる!セルフコンディショニングのススメ
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム