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第168回 わき腹の痛みや肉離れとその予防法について紹介!2017年04月30日

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 この時期は週末を中心に春季大会が開催され、また公式戦が終わったところでも週末ごとに練習試合を行うチームが多いと思います。学校と部活動の両立をはかりながら練習や試合を続けていくと疲労がたまり、スポーツ障害とよばれる慢性的なケガも多くなるのがこの時期です。さて今回は、同じ動作を繰り返すことによって起こりやすいといわれている、わき腹の痛みや肉離れとその予防について考えてみたいと思います。

【目次】
[1]同じ動作を繰り返して同じ部位にストレスがかかる
[2]再発しやすいので競技復帰は慎重に / わき腹のケガ予防

同じ動作を繰り返して同じ部位にストレスがかかる

 野球は左右非対称の動きを繰り返すスポーツです。特にスイング動作では身体をひねって下半身から得られたパワーをバットとボールに伝達していくため、何度も何度も繰り返すことによって同じ部位に大きな物理的ストレスがかかることが想像できます。このとき、大きな力が加わってもそれに耐えられるだけの筋力や筋持久力があったり、柔軟性が伴っていると、練習前後などに身体のコンディションを整えることでケガを未然に防ぐことができますが、自分の体力レベル以上の動作や力を必要とするものを繰り返すと、やがてストレスのかかる部位に痛みや違和感が現れるようになります。スイング動作や投球動作ではタメを作ろうとして下半身と上半身の動きにズレが生じますが、このときにわき腹をひねる動作を繰り返すため、大きな負荷がかかりやすくなります。わき腹を痛める代表的なケガとしては肋骨の疲労骨折や腹斜筋の肉離れなどがあげられます。

【図1】同じ動作を繰り返すので肋骨や腹斜筋に大きな負荷がかかりやすい

 《肋骨の疲労骨折》
胸部の肋骨には、左右それぞれ各12本ずつの肋骨(上から順に第1肋骨~第12肋骨)があります(図1)。肋骨の疲労骨折は肋骨と肋骨の間を広げたり縮めたりする動作やひねりを加えた動作を繰り返すことによって起こりますが、筋肉が伸ばされながら力を発揮しなければならない腹斜筋と、腹斜筋がついている肋骨(外腹斜筋:第5~第12肋骨、内腹斜筋:第10~第12肋骨)に大きなストレスがかかることが想像できます。一方、投球動作では首と肩の間を何度も広げたり縮めたりする動きによって、肋骨の中でも上部にある第1肋骨、第2肋骨などを痛めやすいと言われています。肩に近いところで痛みを感じるので、を痛めたと勘違いしやすいのですが、肩関節には問題がなく首をひねる動作で痛みが出る場合は肋骨の疲労骨折を疑います。

 《腹斜筋の肉離れ》
スイング動作や投球動作を繰り返すことによって起こる筋肉の損傷です。特に筋肉が引き伸ばされながら力を発揮しなければならない状態(ブレーキをかけながら力を発揮する状態)を、伸張性(エキセントリック)収縮と呼びますが、筋肉が縮みながら力を発揮する短縮性(コンセントリック)収縮に比べて大きな負荷がかかりやすく、筋肉を痛めやすいと言われています(※懸垂などで身体を支えながら腕を伸ばすときに発揮される上腕二頭筋の動きが伸縮性収縮です)。伸張性収縮はトレーニングによって筋肥大することが知られていますが、筋肉の柔軟性が低下していたり、筋力レベルが低い状態で繰り返すとケガを誘発してしまいます。腹斜筋の肉離れもこうした身体のコンディションレベルと、伸張性収縮を繰り返すことによる外力とがある一定部位に繰り返されることによって起こると考えられます。

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プロフィール

西村典子
西村 典子 トレーナー
  • ■ 生年月日:1970年12月5日
  • ■ 出身地:大阪府
  • 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。

    一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。

    現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。
  • ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
    ・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
    ・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
    ・日本スポーツ整形外科学会会員 等
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