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新入生が知っておきたい身体のこと

2017.03.30

新入生が知っておきたい身体のこと | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 新学期を迎え、チームにも新しい仲間が増える時期となりました。新しい学年の選手たちがチームに合流し、グランドは今まで以上に活気あふれる練習が行われていることと思います。さて今回は高校野球の第一歩を踏み出した新入部員の皆さんに向けて、少しでも不安を解消できるようなフィジカル面でのアドバイスについてお話をしたいと思います。

身体をつくるために知っておきたいこと

 高校に入学すると、上級生との体格の違いに驚く新入部員の選手も多いのではないでしょうか。成長期にある中学~高校にかけては身長を始めとする体格の完成度には個人差があり、他人と比較して「身体が小さい」ということに不安を持つ心配はありません。

 身長が伸びるためには適切な運動・栄養・休養のバランスが大切であり、学校生活や部活動でのスケジュールに慣れてくるにつれて、規則正しい日常生活を送るようにすることが大切です。特に睡眠は疲労回復や体力向上に不可欠なものですので、しっかりと睡眠時間を確保するように心がけましょう。適切な休養はあらゆるケガ予防につながります。

「トレーニングで背が伸びなくなる」は間違い

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適切なウエイトトレーニングは骨の成長を妨げない

 高校に入って本格的にトレーニングを行う機会も増えてくることと思います。重い負荷を使って行うウエイトトレーニングについては「身長が伸びなくなる」と誤解する人がいるかもしれませんが、正しい負荷と正しいフォームで行うトレーニングは骨に適度な刺激を与え、骨を縦軸方向へと成長を促すと言われています(成長期で骨の先端に骨端線と呼ばれる成長線が認められている場合)。

 身長が伸びなくなると誤解されている理由としては、重すぎる負荷を使用したり、疲労が蓄積されたことによって筋肉の柔軟性が低下し、骨と筋肉の付着部付近を中心として痛みを生じることなどが挙げられます。また身長がとまる時期には個人差があり、トレーニングそのものが骨の成長をストップさせる直接の原因ではないと考えられています。

[page_break:成長期は骨と筋肉の成長スピードが違う / 肩や肘の痛みを防ぐために心がけたいこと]

成長期は骨と筋肉の成長スピードが違う

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成長期の身体はもともと柔軟性が低下しやすいことを理解しておく

 新入部員に限らず、成長期と呼ばれる時期にある皆さんの身体は大人になるために日々成長しています。特にスポーツをしている選手に理解しておいてほしいこととしては、「骨と筋肉の成長スピードが違う」ということです。骨は早い段階で成熟するのですが、筋肉は骨に比べると成長スピードがゆっくりなので、骨の端についている筋肉は常にストレッチを強いられた状態となります。

 この状態が続くと常に骨には牽引ストレス(引っ張られるストレス)がかかって骨と筋肉の付着部周辺に痛みを生じたり、筋肉の柔軟性が低下して身体の硬さを感じやすくなったりということが起こります。選手の皆さんには「自分の身体は全体的に柔軟性が少し低下している状態である」ということを理解して、日頃から入念にストレッチを行うように心がけてほしいと思います。

肩や肘の痛みを防ぐために心がけたいこと

 上半身に頼った投げ方をしているとどうしても肩や肘に大きな負担がかかりやすくなり、それが繰り返されるとさらに負担がかかって肩や肘に痛みが出てしまうケースが多く見られます。投球動作に必要な筋力の大部分は下半身が担っているということ、その下半身の力を上半身に伝えるためには体幹と呼ばれる腕と足を除いた胴体部分を鍛えていくことが大切であることを覚えておきましょう。下半身の筋力強化としてはまず自分の体重をしっかり自分でコントロール出来るようにする自重トレーニングから始め、慣れてきたらダンベルやバーベルなどを使ったウエイトトレーニングへと移行します。

 体幹トレーニングとしては腹筋や背筋を鍛えることはもちろんですが、人間の身体は背筋の方が強いため、腹筋を背筋よりも多めに行うようにします。また下半身や体幹は筋力強化だけではなく、柔軟性も持ち合わせていないと力強さが発揮できませんので、下半身とともに体幹のストレッチも意識して行うようにしましょう。

 身体のことについて正しい知識を持つことは、不安要素を減らし、今の自分に必要なことが明確になります。他人と比較することはせずに、まずは体力レベルを上げることから始めていきましょう。

【新入生が知っておきたい身体のこと】
●高校生の身体は成長期であり、まだまだ発展途上であること
●運動・栄養・休養のバランスを保って身体を強くする
●適切なウエイトトレーニングは骨に刺激を与え縦軸方向への成長を促す
●成長期では骨の成長スピードが筋肉に比べて早く、筋肉の柔軟性が低下しやすい
●骨と筋肉の付着部では牽引ストレスがかかって痛みが出やすい
●肩や肘への負担を避けるためにも下半身や体幹部分の強化と柔軟性が必要不可欠である

(文=西村 典子

次回コラム公開は4月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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