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環境が変わってもストレスをためずにプレーするためには?

2017.02.28

環境が変わってもストレスをためずにプレーするためには? | 高校野球ドットコム

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 いよいよ野球シーズンが近づいてきました。練習試合解禁日が来月8日に迫り、月末からは公式戦が始まる地域もあると思います。これに伴ってさまざまな学校への移動であったり、合宿遠征などを行うために移動する機会も増えるのではないでしょうか。今回はさまざまな移動時や遠征合宿などにおけるセルフコンディショニングについてまとめてみました。

移動によるストレスを減らす

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バスの車内は窮屈な姿勢を強いられがち。適度に休憩して身体を動かすようにしよう。

 遠征先まで移動する手段としては電車(新幹線)やバス、車、さらに遠方であれば飛行機などさまざまな交通手段が考えられます。どの交通手段を利用しても移動時間が長くなると窮屈な姿勢で座っていなければならないことも多く、腰椎に負担がかかって腰が痛くなったり、十分なスペースがないために足を曲げた状態でいなければならないこともあります。特に身体の大きい選手ほどその負担は大きくなりがちです。移動時間が長くなるほど、身体を動かさない時間が多くなってしまうので、適度に休憩をとってそのたびに立って歩いたり、身体を動かして軽いストレッチを行ったりして、緊張した筋肉をほぐすようにしましょう。

 移動中の服装はなるべく身体を締め付けないものを選ぶようにし、移動中で座っているときにも時々足首をゆっくり回すようにすると、足のむくみ解消やエコノミークラス症候群※の予防につながります。また機内や車内などは特に乾燥しやすいため、喉の保湿を目的としてマスクやのど飴を準備する、こまめに水分補給を行う等、風邪などの感染症予防を心がけましょう。

※エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症:じょうみゃくけっせんそくせんしょう)
座りっぱなしの状態で長時間過ごしていると、下肢の血管に圧迫ストレスがかかり続けて血のかたまりができ、それが血流にのって肺の血管をふさいでしまうことで起こる症状。呼吸困難や動悸を起こすことがあり、そのまま放置しているとどんどん症状が悪化してしまうので適切かつ迅速な対応が必要となる病気。適度な運動の他、こまめに水分補給をすることでも予防することが出来ると言われている。

[page_break:体調を崩さないための環境対策 / 環境が変わっても日々の習慣は変わらない]

体調を崩さないための環境対策

 遠征先ではすべてが同じようにとはいかないものですが、環境に対応しつつも日々の習慣はなるべく変えないように心がけましょう。環境を整えるという点では、まず挙げられるのが宿泊先での乾燥対策です。乾燥した空気の中で過ごしていると喉を痛めやすく、炎症を起こしてしまうとそこから発熱してしまうこともよく見られます。

 せっかくの遠征も発熱してしまうと野球をプレーすることもままなりません。濡れたタオルや洗濯物などをハンガーに掛けて室内に干しておくことで、多少なりと乾燥を和らげることが出来るのでぜひ行っておきましょう。また入浴後のお湯をそのまま湯船にはっておくことも湿度を高める効果が期待できます。

環境が変わっても日々の習慣は変わらない

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室内の環境を整え、セルフコンディショニングはいつもどおりに行う

 一方で変わらない習慣=セルフコンディショニングとして行ってもらいたいものといえば、屋外から戻ってきたときの手洗い・うがいです。こちらは自分自身でできるものですので、遠征先であっても自宅であっても変わらず行っていくようにしましょう。また喉の痛みを感じる場合は、渇いたタオルをのど元に巻き、保温することで翌朝以降の痛みをやわらげることが期待できます。この他、入浴は湯船につかってしっかりと身体を温めることや、入浴後のストレッチなども普段どおり続けていきましょう。

 また体調管理に欠かせないのが睡眠時間の確保です。起床時間、就寝時間はスケジュールに応じて多少前後するかもしれませんが、規則正しい生活リズムを守り、睡眠時間を確保するようにしましょう。環境が変わると緊張から寝つけなくなってしまうことも多いので、就寝前に入浴などで身体を温めるようにすると、スムーズな入眠につながります。

 普段の環境との変化によって身体にはさまざまなストレスがかかりやすく、これが原因で持てる力を発揮できないことがあります。移動中や遠征先などでできるセルフコンディショニングを再チェックし、なるべく普段どおりの習慣を続けて、よいコンディションを保つようにしていきましょう。

【違った環境下でも日々の習慣は変わらない】
●移動時間が長くなるほど窮屈な姿勢を強いられて、筋肉が緊張しやすい
●移動時間では適度に休憩をとって身体を動かし、水分補給を行うこと
●エコノミークラス症候群は長時間移動のときに起きやすい
●機内や室内などは乾燥しやすいので保湿対策を行おう
●屋外から戻ってきたときの手洗い・うがいは保湿対策、感染症対策として忘れずに行う
●規則正しい生活リズムと睡眠時間の確保がコンディションを良好に保つ

(文=西村 典子

次回コラム公開は3月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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