Column

病院の選択や受診時の準備

2016.05.30

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 ケガを予防するために日頃からセルフコンディショニングを大切にしてほしいと思っていますが、中には防ぐことの出来ないケガであったり、知らぬ間に状態が悪くなって痛みを伴うようになったケガなどに見舞われることがあります。また体調を崩して病院を受診するケースもあるでしょう。さて今回は病院を受診するときに考えておきたいことなどをお話したいと思います。

かかりつけの病院・医師をもつ

初診時は近隣の病院を受診して診察を受けるようにしよう

 

 部活動の練習中に起こったケガや体調不良などであれば、学校から近い病院に行くことになると思いますが、部活動を休んで病院にいく場合はさまざまな選択肢が考えられると思います。ケガの場合であれば、通常は整形外科を受診することが一般的ですが、最初はなるべく近隣でスポーツに詳しいドクターのいる整形外科を受診するとよいでしょう。

 大学病院や救急対応可能な大病院を直接受診する場合には近隣の病院からの紹介状が必要ですが、紹介状を持たずに受診すると特別料金が加算されることになりました(2016年4月より初診5000円~、再診2500円~)。病院では規模や特性などに応じてあらかじめ機能分担がされており、高度医療を専門とする病院の場合は、近隣の病院からの紹介状を持って受診することを前提としているからです。また専門性の高いスポーツ傷害について、それぞれのドクターの専門性を考慮して病院を選ぶことも可能です。

有名選手を数多く診ている有名な先生

 投球障害などで十分にプレーできない場合、有名選手が通う病院を受診したいというケースが出てくるかもしれません。確かに有名な先生に診てもらいたいという希望はあると思いますが、そういった病院はやはり人気が高く、予約をとるのに苦労したり、実際に病院に行って受診するまでに多くの時間がかかったりすることが考えられます。自分の住んでいる地域と行きたい病院との距離や通院時間などを考慮し、あまりにも遠方にある場合は他の病院を探すことも必要でしょう。

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[page_break:受診時に気をつけたいこと]

メモをとる習慣をつけよう

あらかじめメモ帳を持参し、質問やアドバイスなどを書きとめよう

 

 病院を受診する際にはなるべくメモを持参し、わからないスポーツ医学用語などがあれば遠慮なく尋ねるようにするとよいでしょう。「わかったつもりにならない」「あいまいにしない」ことを心がけ、治療方針や今後のことなどについて不安があれば必ず確認しておきましょう。その上で現状を把握し、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を確認するようにします。

 たとえば投球動作を行っていいのかどうか、どのくらいの期間ノースローにすればいいか、痛みがなくなったら練習を再開していいかといったことです。ケガをした部位以外は運動に支障がないかどうかも確認しておくと、患部外トレーニングを行うことが出来ます。もし診察時間内に質問できなかったことやその後に疑問が出た場合は、看護師さんや技師さんなど医師以外のスタッフにも尋ねてみましょう。事前準備としては、あらかじめドクターに聞きたいことをメモしておくとよいですね。

病院へ行くとき

 病院を受診するときに必要なものは医療費、健康保険証や診察券です。健康保険証は毎月提示を求められることも多く、初診以外であれば診察券も必要となります。また実際の診察では服装にも気をつけましょう。ユニフォームは脱ぎ着がしにくいので、患部(=ケガの部位)がすぐに見せられるような服装(たとえば肩や肘の場合は半袖もしくは腕まくりをしやすいもの、膝など下肢の場合は短パンなど)に着替えておくと、診察や検査のときに時間がかからずに済みます。

 また一度の診察では確定診断が出ないこともありますので(MRI検査など別の検査が必要になるとき)、検査や今後の診察スケジュールなどをあらかじめ確認しておきましょう。

違う病院を受診してみたい…

 もし違う病院やドクターに診察を希望する場合は、「セカンド・オピニオンを聞きたい」という希望をハッキリと病院に伝えるようにしましょう。必要に応じて紹介状を準備してもらったり、検査結果をメディアにコピーして渡してくれることもあります。何度も同じ検査を繰り返すのは時間と費用がかかりますので、遠慮せずに希望を伝えることが大切です。

●かかりつけの病院・医師をもつようにしよう
●初診では近隣の病院へ、必要に応じて紹介状をもって大きな病院へ
●紹介状を持たないで大病院を受診すると特別料金がかかる
●診察時にはメモを持参してわからないことは確認しよう
●ユニフォームよりも脱ぎ着しやすい服装に着替えた方がよい(急な場合を除く)
●「セカンド・オピニオン」は患者の権利。希望があればしっかり伝えること

(文=西村 典子

次回コラム公開は6月15日を予定しております。


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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