試合前後に心がけたいコンディショニング
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。
春季大会真っ盛りのこの時期、公式戦に練習試合にと週末ごとに試合予定のあるチームも多いと思います。試合が続くと体力的にも疲労がたまりやすくなるので、コンディショニングに関する対策もいろいろと工夫する必要がありますね。さて今回は試合前後に心がけたいことについて、疲労のマネジメントや食事についてまとめてみたいと思います。
試合前に心がけたいこと
おにぎりは試合直前のエネルギー源としても活用できる
まずは持てる力をしっかり出し切るために体力面での不安を取り除くようにしましょう。前日の睡眠不足は翌日のパフォーマンスに大きな影響を及ぼしますので、十分に睡眠をとるようにします。しっかりと湯船につかって身体を温め、リラックスした状態で布団に入ると睡眠の質が向上します。起床時間は翌日の試合開始時間から逆算し、少なくとも3時間前には身体を起こすように設定しておきましょう。時間に余裕のある場合は、朝風呂などで身体を温めるとウォームアップ効果も期待できます。
試合前日の食事については普段と変わりないものをいつもどおり食べることを心がけましょう。試合前日だからといって特別な食事は不要です。ただエネルギー源をより多くとりたいので、炭水化物を含む主食(ご飯、パン、うどん、パスタなど)をメインにして、バランスのよい食事をとることが理想的です。食事から水分も補給できますが、汁物や具だくさんスープなどをうまく活用しましょう。あまりにも刺激の強いもの(唐辛子などを多く使っているもの)や生もの、天ぷらなど油を多く含むものなどは胃腸に負担をかけるため、試合前日は避けた方が無難です。
試合直前はすぐにエネルギー源となるもの(おにぎりやパン、バナナ、ゼリータイプのサプリメントなど)を身体が重いと感じない程度にとるようにします。同時に水分補給をこまめに行いながらコンディションを整え、集中力を保つようにしましょう。
試合後に心がけたいこと
冷たい水を使ったシャワーとの交代浴もオススメ
試合後はしっかりとクールダウンを行いましょう。試合直後で時間の余裕がない場合は帰宅後でも構いません。軽目のジョギングなどを行い、疲労物質がなるべく早く分解・代謝されるように血流をよくすることを心がけましょう。じんわりと汗をかく程度にジョギングを行った後はストレッチを行います。特に筋肉の張りなどを感じるところを入念に伸ばしていきます。また痛みや違和感などいつもと違う状態にあるときは、患部を氷などで冷やしてアイシングを行うようにします。
食事は使ったエネルギー源を補給するつもりでしっかりととりましょう。炭水化物を中心にするのはもちろんですが、疲労回復に効果が期待できるビタミンB1を含んだもの(豚肉や魚類、納豆や豆腐などの大豆類等)を積極的にとるとよいですね。酸っぱい成分であるクエン酸(グレープフルーツジュースやレモンなどの柑橘類、梅干し等)を含むものなどもオススメです。また普段口にする油の中にはオメガ3系という炎症反応を抑える働きをもつものがあります。
代表的なものが亜麻仁油、クルミ油、エゴマ油などであり、食物ではクルミなどのナッツ類や青魚、海藻などに豊富に含まれています。運動後に起こる筋肉痛の軽減や疲労回復を促進させるものとして、サラダのドレッシングに使ったり、青魚や海藻などを積極的に食べたいものですね。
入浴は試合前と同様に湯船につかって身体を温め、血流をよくするようにしましょう。温かいお湯と冷たい水シャワーなどを使った交代浴なども血流がよくなり、湯冷めもしにくいため、暑い時期などはこうした入浴方法もよいでしょう。交代浴を行う場合は必ず最後に水で冷やしてから終わるようにすると、入浴後の保温効果が高まります。試合で受けたダメージをいかに早く回復させるかはさまざまな方法が考えられると思いますので、「これなら出来そうだ」と思うものからぜひチャレンジしてみてくださいね。
【試合前後に心がけたいコンディショニング】
●試合前の睡眠不足はダメージ大。よい睡眠をとるように心がける
●食事は普段と変わらないものを。刺激の強いもの、生もの、油っこいものは避ける
●試合後はジョギングなどで血流をよくし疲労物質をなるべく早く分解・代謝させる
●試合後の食事はエネルギー源を補給し、ビタミンB1、クエン酸、オメガ3系油を積極的にとろう
●入浴で血流改善を。暑い時期はシャワーを使った交代浴もオススメ
(文=西村 典子)
次回コラム公開は5月15日を予定しております。
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