無死満塁コラム

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第4回 無死満塁からの怖さ・・・ 愛工大名電vs宮崎西 第84回センバツ2012年04月24日

第84回選抜高等学校野球大会 1回戦。明治神宮大会準優勝の愛工大名電と、九州大会ベスト8宮崎西の一戦。
力勝負では差があると予想された両校の戦いは、序盤から思わぬ展開になった。流れを掴みきれない愛工大名電に4回の攻撃で訪れた無死満塁のチャンス。

何としても得点したい愛工大名電。凌げるか宮崎西

この無死満塁の両校の攻防を徹底解剖。

嫌な流れの愛工大名電  必死に守る宮崎西

【戸高(宮崎西)】

 流れは、宮崎西だった。
 昨秋の明治神宮大会準優勝の愛工大名電と公立の進学校・宮崎西の一戦。宮崎西は九州大会8強で一般枠選出ながら、昨秋の対外試合は12勝14敗3分と負け越している。力勝負では愛工大名電に劣るのは否めなかった。

 だが、3回を終わっての得点は1対0。愛工大名電打線は宮崎西のエース・戸高 達郎の110キロ台のストレート、70キロ台のカーブに苦しむ。1回の攻撃を三者凡退。2回に相手失策をきっかけに1点を先制したものの、3回には無死一塁からサインミスで併殺を喫するなど、本来の攻めができていなかった。

 「良い当たりをしても正面にいく。嫌な感じはしていました」(愛工大名電5番打者・松岡 大介

 宮崎西としてはこれ以上ない展開で序盤を終えた後の4回。愛工大名電はビッグチャンスを迎えた。先頭の4番・佐藤 大将のレフト前安打、松岡の四球に続き、鳥居丈寛の送りバントが失策を誘って無死満塁。打席に入ったのは7番・中野 良紀

 守る宮崎西の野手陣がとったのは、併殺狙いの中間守備。中野のカウントが1ボール1ストライクになり、愛工大名電の倉野光生監督が動いた。中野はバットを寝かせる。策はセーフティスクイズだった。

 一般的に無死満塁というと、見ている方は大量点をイメージする。一人目の打者が打てばビッグイニング。何かしかけるとすれば、一人目がアウトになった場合の二人目の打者のときが多い。なぜ、ここでスクイズを選択したのか。倉野監督は言う。

 「ノーアウト満塁は点が入らないものだと思っているんです(笑)。周りは3点は取って当たり前だと言うけれど、3点を取ろうと思ったら大間違い。守る方もそうですが、バッターもランナーも監督の采配もプレッシャーがかかるんです。だから、ごまかしてでも1点を取れればいいかなという気持ちがあった。
 外野フライでタッチアップできれいに取るなんてなかなかできなくて、たいがいは打たせると内野フライ。ゴロを打てば、どこへ打ったってダブルプレーですから、ホントに点が入らない。ということは、スクイズだと(笑)。1点を取ると、気楽になるから意外と外野フライが出たり、相手もガタガタッといく可能性がありますからね」

 三塁走者がスタートするスクイズではトリプルプレーを招く可能性があるため、リスクが大きい。そこで、倉野監督はセーフティスクイズを選択した。
 緊張する場面だが、打者の中野は冷静だった。

 「前のバッターもバントだったし、続けてバントがあるかなと思っていました。(サインを見て)やっぱりきたなという感じでしたね」

 中野のスクイズバント。2回に守備でミスをしているファーストを狙って転がしたところまでは狙い通りだったが、フォースプレーのため三塁走者の佐藤は本塁で封殺。この場面では失敗に終わった。
  「自分的には良いバントだと思ったんですけど。ちょっと強すぎました」

 と中野は悔しそうに振り返った。

 1死満塁となって、打席には投手の濱田 達郎。連続スクイズも予想されたが、ここでの倉野監督のサインは「打て」だった。強攻策に変えた指揮官の狙いはこうだ。

 「ピッチャーの場合は失敗したときにピッチングに響くんです。バントするときに手に当てるのも怖いですし。(だから)ピッチャーは振らせた方が気楽。勝つためにはスクイズさせないとダメだと言いますけど、(失敗したときに)意外とダメージが大きいんですよねぇ」

 だが、濱田は1ストライクからの2球目を強振するが、結果はファーストゴロ。全力疾走で併殺こそ逃れたが、2死となり、最悪の無得点に終わる可能性も出てきた。
 「打つ気は満々だったんですけど…。あそこで終わると流れが悪くなる。一塁でこれはまずいと思っていました」(濱田)

 無死満塁の大チャンスで無得点に終われば、流れは完全に相手に傾きかねない。次に打席に入る打者の結果が大きく試合を左右するのは間違いない状況であった。

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