無死満塁コラム

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第3回 スター誕生の瞬間 大阪桐蔭vs浦和学院 第84回センバツ2012年03月31日

第84回選抜高等学校野球大会 準々決勝。大阪桐蔭浦和学院の一戦。
両校共に一歩も譲らず、1対1でむかえた試合終盤7回裏に訪れた無死満塁。

攻める浦和学院。守る大阪桐蔭

この無死満塁の両校の攻防を徹底解剖。

その中で改めて見えてきたのは、
スターが誕生するだろう予感を思わせる無死満塁だった。

ミスをカバーしようと投げた攻めの投球

【写真:11,秋季大会より】

 2死一塁、のはずだった。
7回表に1対1の同点に追いついた大阪桐蔭のその裏の守り。エース・藤浪 晋太郎は先頭の4番・笹川 晃平にセンター前安打を許すが、続く山根 佑太の送りバントは持ち前の球威でフライを上げさせた。

バント失敗――。そう思ったが、捕手の森 友哉が一瞬打球を見失い、ミットに当てながら落球。次の球をレフト前にはじき返される。さらに、6番の明石飛真にもカウント1ボール2ストライクからストレートで押し、ファーストへファウルフライを打たせた。

が、今度はファーストの小池裕也が落球。フェンスまでは距離があったが、「フェンスを気にしてしまった。捕れた打球でした」(小池)。次の球をまたしてもレフト前に運ばれた。普通に守れていれば2死一塁のはずが、無死満塁。ミスが絡み、最悪の流れだ。

だが、ここからが今季の高校野球界“ビッグ3”といわれる藤浪の真骨頂だった。

「自分もフォアボールとかミスがある。味方のミスで一喜一憂してたらピッチャーはできない。ミスをカバーしてやろうと思って投げました」(藤浪)

西谷浩一監督から伝令が送られた後、一人目の打者は7番の吉川智也。今大会初スタメンの背番号15はこんな思いで打席に入った。
「大きいのはいらない。つなぐという気持ちでした。当てにいってゲッツーが一番ダメなので、三振OKで振っていこうという気持ちでした」
初球、120キロのスライダーが決まると、2球めは147キロのストレートを空振り。1球ボールの後、4球めに132キロのカットボールが来て空振り。三振に倒れた。
「三振OK」の気持ちでいっての空振り三振。やるべきことをやったように見えたが、そうではなかった。
「まっすぐで押してくると思ったんですけど、スライダーから入ってきた。その初球を見逃してしまって、相手の流れで配球をさせてしまいました。あのボールを狙わなきゃいけなかった」(吉川)
チャンスで初球を狙うのは鉄則。読みが外れたとはいえ、そこで勝負あり、だった。


再び伝令が来た後、二人目の打者は石橋 司1年春の関東大会で本塁打を放った好打者だが、この試合ではスタメン落ち。そんな不調の選手を藤浪は問題にしない。初球、センバツ最速記録となる153キロの速球を見せると(ボール)、2球めもストレート(空振り)。3球めにカットボールをファウルさせた後、4球めは150キロのストレートで空振り三振に斬って取った。


2死となり、西谷監督は三たび伝令を送る。1試合の伝令の制限回数である3回をすべて使い切ってしまうほど、このピンチをヤマ場だと考えていた。

「1イニングに3回タイムを取ったのは記憶にないですね」(西谷監督)

三人目の打者は9番の緑川皐太朗。無死満塁で「点が取れる」と思っていたのが、点を取れないまま2死で自分に回ってくる。プレッシャーは大きかった。
「イケイケの場面だったので、まさか自分にあのかたちで回ってくるとは思いませんでした。ここで取れなければ流れが変わってしまうと思った。何としても打ちたかった」(緑川)
気負いもあったのか、緑川は初球、ワンバウンドの134キロカットボールを空振り。2球めも132キロのカットボールを空振りした。ストレート、スライダーが外れてカウント2-2となった5球め。大阪桐蔭バッテリーが勝負球に選んだのはカットボールだった。134キロの高速変化球に緑川のバットは空を斬り、空振り三振。無死満塁から大阪桐蔭としては圧巻、浦和学院としてはまさかの三者連続三振になった。

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