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【秋季東京都大会ベスト8展望】選抜の切符を勝ち取るのは?ベスト8の勝ち上がりを振り返る!

2015.10.23

 実力伯仲の東京本大会はついにベスト8が出そろった。今回は8校の勝ち上がりを振り返りつつ今後の展望を占う。

戦力充実の二松学舎大付と勢いに乗る都立城東

大江 竜聖(二松学舎大附)

 力ひとつ抜けているのは、二松学舎大付。初戦(2回戦)で注目の清宮 幸太郎擁する早稲田実を延長戦の末破り、3回戦では今村 大輝の2本の本塁打で、事実上の決勝戦と言われた日大三戦(試合レポート)に完勝するなど、二松学舎大付の戦力の充実ぶりは群を抜く。

 エースの大江 竜聖は精神的にもたくましく成長。三口英斗が好守で引っ張り、正捕手・今村の打撃も好調だ。加えて、1年生の4番打者・永井 敦士らは本領を発揮しておらず、より強くなる要素が残っている。平野 潤島根 寛人センバツ出場選手が控えに回るほど、選手層が厚い。懸念材料は、早稲田実日大三という強豪を連破したことにより、無意識のうちに心のスキができる可能性があることくらいか。

 準々決勝で、その二松学舎大付と対戦するのは、都立勢で唯一ベスト8に残った都立城東だ。数少ないの経験者である関根 智輝が投打の柱。好投手・川西 雄大を攻略して明大中野を破るなどして勢いに乗る。準々決勝では、劣勢なのは否めないが、結果を恐れず思い切ったプレーを期待したい。

本大会へ向けて打線を仕上げた関東一 経験者が多く揃う修徳

佐藤 佑亮(関東一)

 二松学舎大付への有力な対抗馬なのが、25日の第2試合で対戦する関東一修徳の両校だ。関東一甲子園のベスト4のメンバーから大半が入れ替わり、米澤 貴光監督は、「マイナスからのスタート」と語っていたが、大会が始まると、米田 克也佐藤 佑亮竹井 丈人と並ぶクリーンアップが威力を発揮。投手はエースの河合 海斗が安定しており、左腕の佐藤 奨真、通常左翼手でパワーのある竹井らが控える。

 関東一とは反対に、修徳はメンバーの多くがを経験している。3回戦で本塁打を放った淵上 聖司は注目の強打者。1年生の高山 匠は、夏の大会で既に5番を打ち、宮本 博文も1年生ながら夏の大会から捕手として出場し、安定した守りをみせている。佐藤 慎也飯田 奎太の投手陣も経験豊富。関東一との試合は、実力校同士の好ゲームが予想される。

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[page_break:投打に立て直しが求められる帝京と打線好調の東亜学園]

投打に立て直しが求められる帝京と打線好調の東亜学園

高丸 優太(帝京)

 ベスト8の中で、帝京は無視できない存在であるのは確かだ。しかし9回裏に相手投手の押し出しで辛うじてサヨナラ勝ちした3回戦をみる限り、厳しい評価をせざるを得ない。エースの左腕・高丸 優太は経験不足が露呈してしまった。他にサイドスローの安村 陸人、1年生ながら夏の大会も登板した大胡 優太や、2年生の佐藤 優太朗がいる。彼らの中から、柱となる投手が出てくるかどうかがカギとなる。

 打線も3回戦では湿り気味だったが、1年生ながら夏の大会から4番を打った岡崎 心など力のある選手はいる。1週間の間にどこまで立て直すことができるか、注目される。

 帝京と準々決勝で対戦するのは東亜学園だ。東亜学園は3番・平野 智也、4番・鈴木 翼、5番・栗原 多門、6番・二階堂 奨斗ら中心打線が好調だ。東亜学園を率いるのは経験豊富な上田 滋監督。帝京前田 三夫監督とのベテラン監督同士の対決も注目だ。

打線好調の東海大高輪台、逆転の佼成学園

大西 星夜(東海大高輪台)

 二松学舎大付・都立城東戦の勝者と準決勝で対戦するのは、東海大高輪台佼成学園の試合の勝者である。

 東海大高輪台は夏までは左の深澤 周平、右の徳重 勇輔という好投手を中心として守りのチームであったが、新チームでは打線が好調。ブロック予選では試験期間中ということで、しっかりとした打撃練習ができず、打線の調子が上がらなかった。ただ宮嶌 孝一監督が「練習量を増やして仕上げてますよ」と語っていたその言葉通り、東海大高輪台は2試合ともコールド勝ち。3回戦で本塁打を放った4番の大西 星夜と5番の青木 海斗という1年生が打線を引っ張る。

 西東京勢として唯一ベスト8に進出した佼成学園は、1回戦、2回戦とも前半はリードを許しながら、後半粘り強く攻めて逆転勝ちをしている。3回戦でも昨秋優勝東海大菅生に先制を許したが、すぐにひっくり返した。

 チームに逆転勝ちをもたらしているのは、エース・梅田 大樹の粘り強い投球である。また2回戦では9番打者で5打数5安打の大当たりだった真田 和輝は、3回戦では6番に上がり、東海大菅生の好投手・伊藤 壮汰から同点となる三塁打を放っている。トーナメントではこうしたラッキーボーイの存在は大きい。エースで主将という絶対的な存在であった小玉 和樹抜け、柱となる選手がいなくなった佼成学園であるが、全員野球で他校からすれば脅威の存在になりつつある。

 新チーム結成から時間がなく、試合間隔が開く秋季大会は、思わぬ選手が出現して流れを変えることがある。二松学舎大付が最有力であることは間違いないものの、関東一修徳の他、3回戦では不振であった帝京や、一戦一戦力を付けている佼成学園なども優勝争いに絡んでくる可能性がある。

 準決勝、決勝戦はJスポーツでの放送も予定されるなど、今年の秋季都大会は例年以上の注目を集めている。清宮 幸太郎擁する早稲田実が敗れても、東京の高校野球の秋は、これからが本番である。

(文=大島 裕史


注目記事
・2015年秋季大会特設ページ
・【インタビュー】二松学舎大附バッテリー 大江竜聖×今村大輝(2015年02月28日公開)
・東京都の野球部訪問を一挙紹介!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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