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【第97回埼玉大会展望】熱戦が続く埼玉県 浦和学院を阻む学校は現れるか?

2015.07.25

 激戦の埼玉大会もベスト8が出揃った。シード校の川越東東京成徳大深谷春日部東といった強豪が敗れる中、勝ち上がった8校の振り返りをしていきたい。

浦和学院、埼玉栄の私学強豪に対し、粘り強さが光る白岡と熊谷の公立勢

江口 奨理(浦和学院)

 選抜ベスト4浦和学院は初戦で大宮西に快勝、その後も安定した戦いぶりで勝ち上がってきた。ここまで危なげなく勝ち上がれているのは、一瞬の油断が命取りになることを実感しているからだろう。試合を見ると、森 士監督が選手たちを集めてしっかりと引き締める姿を見かけた。隙が無いチームで、頂点へ向けて、さらに調子を上げていくことだろう。

 熊谷は、5回戦の慶應志木戦で、埼玉県屈指の好投手・慶應志木石井雄也を攻略し、5対2で快勝。この試合、投げてはエースの中村 侑暉が12安打を許しながらも2失点にとどめる投球を見せた。また4回戦でもシードの朝霞に3対1で競り勝っているように、接戦に強い。正捕手・飯野 湧登(3年)がキーマンで、攻守にわたり活躍を見せている。

 白岡は、谷中 壮樹(3年)、永島 一樹(3年)の2投手を中心に粘り強い戦いを見せる好チーム。3回戦では東京成徳大深谷に9対4で勝利し、4回戦の県立川口にも3対2で競り勝っており、強豪相手にもしっかりと力を出せるところは見逃せない。

 埼玉栄は昨年まで九州国際大附の指揮を執っていた若生 正広監督が就任。若生監督の指導の下で伸びてきたエース出井 敏博が活躍を見せている。初戦上尾戦では1対0の完封。3回戦市立川越戦では3失点完投。そして5回戦では個性派集団の滑川総合に競り勝ち、準々決勝に駒を進めてきた。九州国際大附時代の野球は豪快そのものだったが、今の埼玉栄は粘り強さが光る。準々決勝以降でも粘り強い試合運びを見せ、頂点を狙う。


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[page_break:大エース・松本擁する聖望学園、総合力ならトップクラスの花咲徳栄はさらに調子を上げていけるか? / 準々決勝の見所]

大エース・松本擁する聖望学園、総合力ならトップクラスの花咲徳栄はさらに調子を上げていけるか?

 埼玉松山は、エース・北島 佳太を中心に守り勝つチーム。北島は5回戦の本庄第一戦で、7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成。3回戦の立教新座には7対6で競り勝つなど粘り強い戦いを見せている。
西武文理初戦に12対2で快勝した後、3回戦の鷲宮に1対0、5回戦の川越西戦では2対0で競り勝つなど粘り強い試合運びを見せている。今年は走攻守ともに例年以上に仕上がっており、集大成を見せていきたいところ。

高橋 昂也(花咲徳栄)

 聖望学園は、エースの松本 龍尭が4試合連続完投勝利。右サイドから力と技を織り交ぜた投球で、安定感のある内容を見せている。まさに大エースとも言っていい活躍であり、打線も2年生スラッガー・大野 亮太、パンチ力ある宮嶋 廉が中心。嵌ったときは大量得点が期待できる。

 花咲徳栄は投打の総合力、選手のポテンシャルの高さは浦和学院に引けを取らない。春季大会ではなかなかその実力を発揮することはできなかったが、夏では投打ともに活躍を見せている。投手では右腕・鎌倉 知也、最速143キロ左腕・高橋 昂也の2枚看板が軸。打線では大瀧 愛斗里見 治紀の2人がキーマンとなり、得点を積み重ねる。

準々決勝の見所

 熊谷vs浦和学院では、とにかく熊谷は無駄なミスをしない、先制点を与えない、精神的に動じずに試合運びができるかにかかっている。浦和学院は、ミスを逃さず畳みかける野球を見せていきたいところ。
埼玉栄vs白岡はお互い守備力で勝負するチームで、1点を争う接戦が予想される。

 聖望学園vs埼玉松山は今春でも対決しており、1対0で聖望学園が勝利しているが、この試合でも投手戦が予想される。
そして花咲徳栄vs西武文理。近年、力をつけている西武文理は、機動力があるので先手、先手で攻撃を仕掛けていきたいところ。また複数の投手を擁するだけに継投もポイントとなりそうだ。花咲徳栄は、クリーンナップを中心に勝負強い打撃を見せて、勝ち上がっていきたい。
 

 今年は公立校が3校勝ち上がっており、浦和学院のような絶対候補がいるとはいえ、戦力的に大きな差はない。これまで熱戦が多い埼玉県なので、準々決勝以降もこの流れが続くだろう。ぜひ[stadium]県営大宮球場[/stadium]で、最後まで展開が読めない手に汗握る試合を期待したい。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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