【第97回東東京大会展望】ノーシード6校がベスト8!予想以上の混戦となった東東京の今後の行方は?
今年の東東京は、シード校が6校。したがってシード校がすべて勝ち上がっても、うち2校はノーシードの高校になるという状況の中、大会は予想以上に混戦となり、シード校でベスト8に残ったのは、関東一と帝京のみ。残りはすべてノーシードと、見応えある大会となった東東京の展望をみていきたい。
強打を展開する関東一、帝京
オコエ 瑠偉(関東一)
関東一は、ここまで3試合連続でコールド勝ち。プロ注目の外野手・オコエ 瑠偉は20日の東京成徳大高戦で本塁打を放つなど調子は上り調子。そして4番森山 将など多くの打者の調子が上がってきている。投手陣では田邊 廉(3年)のほかに5回戦で好投した金子 尚生(3年)と、しっかりと結果を残しており、投打ともにかみ合っていて、2010年以来の夏の甲子園も見えてきた。
明大中野は3回戦の岩倉戦、5回戦の都立城東戦で、接戦を制した粘り強い試合運びがウリの好チーム。準々決勝でも同様の試合運びができるか注目だ。
都立小山台は2年連続のベスト8。昨年は伊藤 優輔(現・中央大)という大エースがいた。今年はそういう選手はいないとはいえ、攻守の総合力は昨年のチームと引けを取らない実力を持つ。投手陣では1人で投げ切るチームではなく、継投策で勝負。攻守の要は正捕手の吉田 龍平。昨年の東南アジア選抜で、自慢の強肩を披露し、二松学舎大附の市原 勝人監督も、「吉田のスローイング技術は首脳陣が全員評価していましたよ」と強豪校の監督も絶賛するほどである。良いチームには良い捕手がいる。そのフレーズがピッタリな好チームだ。
帝京は3回戦では中道 大波の2本塁打など、そして4回戦の都立文京戦では3本塁打が飛び出し、5回戦の都立雪谷戦でも、1番川本 賢将が6打数5安打の大当たりを見せるなど、非常に打線が好調だ。その強力打線の中に1年生強打者・岡崎 心が加わったことで、さらに厚みが増してきた。昔の帝京はガンガン打つスタイルで、ここしばらくは機動力や総合力で勝負するチームとなっていたが、久しぶりに強打の帝京を見せており、懐かしさを感じる布陣である。
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東京実、日大豊山、修徳、篠崎と右側のブロックはすべてノーシード!!
ノーシードからベスト8まで勝ち上がった東京実は、初戦以外、コールド無し、延長戦2試合を戦った粘り強さがウリ。5回戦では二松学舎大附を破った堀越を延長戦の末破ったチーム力の高さがウリである。
秋ベスト8も、夏はノーシードからのスタートになった都立篠崎は、秋から磨き上げてきた強打をこの夏に発揮。5回戦では安田学園を破り、準々決勝へ駒を進めた。
2013年夏の甲子園出場のノーシード・修徳は勝ち上がるごとに力をつけてきた好チーム。今春と違うのは1年生が出てきたこと。正捕手・宮本 博文、5番を打つ髙山 匠と彼らが戦力になっていることだ。春季大会からレギュラーだった勅使川原 快、淵上 聖司なども実力を伸ばしてきており、春から全く別のチームになったといっていい。
吉村 貢司郎(日大豊山)
そして日大豊山は、1回戦の立正大立正に大苦戦。9回表に同点に追いついき、10回表に勝ち越した。そして3回戦の都立江戸川戦でも、延長戦を制し勝ち進むなど粘り強い戦いを見せてきた。このチームは、最速144キロ右腕・吉村 貢司郎が投打ともにチームを引っ張るが、他の野手も実力を伸ばし、5回戦では満塁ホームランが飛び出るなど公式戦の場で力を発揮している。そこが春からの成長であろう。
エースの吉村は、今、スポーツ紙をにぎわせているドラフト候補に挙がる右腕と比較しても負けない能力を持つ。スピード能力、ボールの角度、制球力の高さ、フォームの良さ、将来性の高さ。さらにクローズアップされるためにも、準々決勝以降の投球に注目だ。
準々決勝の見所
関東一と明大中野の一戦は、明大中野が先制点を与えず、いかに接戦に持ち込めるかだろう。関東一はオコエ 瑠偉をきっかけに畳みかけていきたいところ。
都立小山台と帝京の一戦では、都立小山台の投手陣とリードする吉田 龍平がカギを握るだろう。先制点を与えず、守りの野球で接戦に持ち込んでいきたい。お互い打力があるので、双方の力が発揮されれば、5点勝負になりそうだ。
東京実と都立篠崎は、お互い好勝負を演じてきているだけに、この試合でも1点を争う好勝負が予想されそうだ。終盤まで手に汗握る展開を期待したい。
日大豊山と修徳の一戦は準々決勝の中で特に注目したい好カード。攻撃力のある修徳と本格派右腕・吉村 貢司郎との対決が見所になりそうだ。
ちなみに右側のブロックは、シード校は全て敗れたため、必然的にノーシードの学校が決勝に勝ち進むことになる。もし決勝までに帝京、関東一が敗れれば、ノーシード同士の決戦となる。混戦模様となった東東京を制するのは一体どのチームか?ノーシードからの優勝となれば2013年の修徳以来の快挙。最後まで見離せない大会になりそうだ。
(文=河嶋 宗一)
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