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【第97回三重大会展望】三重県の野球ライターに聞いた今夏の戦力分布!注目はいなべ総合と菰野!

2015.07.07

 昨年夏、三重三重が甲子園準優勝(試合レポート)。強豪県という立ち位置を確かなものにするためには、かなり重要な第97回三重大会が始まる。今回は三重県の高校ライターのお二人に夏の大会状況についてお話を伺いました。ここでしかない貴重な情報が満載。三重の高校野球をご覧になる方ならずとも、必見です。

Aゾーン:4冠を狙ういなべ総合、昨夏準V経験者が多く残る菰野の一騎打ちか?

倉田 祐輔(いなべ総合)

――三重県の高校野球ライターのお二人に三重の今夏の展望について伺っていきます。まずこのAゾーンですが、注目校はどこでしょうか?

A:やはり注目は第1シードのいなべ総合です。秋季大会1年生大会春季大会と全てを制しており、4冠目の夏大会制覇に挑みます。

――いなべ総合にはどんな選手がいるのでしょうか。

B:今年は3人の左腕が中心です。エース倉田 祐輔、140キロ近いストレートが武器の祝 大祐、打ちにくいカーブが特徴の内山 昌高ら3人の左腕に安定感があります。更に右の山内 智貴水谷 優と投手陣は豊富です。

A:倉田は中学時代、好投手として評判が高かったのですが、いなべ総合に進学後は一時投手を断念し1年生大会ではファーストとして出場。当時の背番号1は内山でしたが、その後は祝が台頭。
倉田は2人の影に隠れていたのですが、尾崎監督の指導のもと再び投球練習を再開。秋の県大会では背番号1を背負い大活躍。倉田・内山・祝の左腕トリオは切磋琢磨し互いを高めていく良い関係です。

B:またどこからでも点が取れる打線に守備も堅く、全体的にバランス良く安定しているチームでありますね。

―― 野手陣のレベルも高いんですね。本当に総合力が高いチームと感じられます。

A:例年投手陣に比べやや弱いと言われてきた打線も、元中日ドラゴンズの西川 明副部長の指導の効果からか打球音からして例年とは違います。
攻守の要・ショートの伊藤 将大は名将尾崎監督からも「野手の教え子としては1、2を争う選手」と評価が高い選手です。他にも市川 晃大秦 琢真加藤 絋大、控えながら先月の練習試合で県立岐阜商高橋 純平から本塁打を放った太田 恭輔と巧打長打おりまぜた多彩な攻撃は相手にとって脅威でしょう。

―― 野手陣も人材が揃っているいなべ総合。このゾーンにいなべ総合に対抗できるチームはありますでしょうか?

B:やっぱり対抗は昨夏の準優勝メンバーが8人残る菰野ですね。

A:私は優勝候補の筆頭と考えています。エースで4番の三重 山田 大樹を筆頭に永田 将也横井 希の140キロ超の快速球トリオに加え、抜群の制球力を誇り春季四日市地区予選で第4シードの三重海星を完封した桐村 渉が山田に次ぐ活躍をするのではと期待しています。
先のいなべ総合と同様に例年菰野も投高打低のイメージがありましたが今季の菰野いなべ総合と同様に打線も強力で、関係者の中には菰野の打線が三重県で一番でしょうとの声もあるほどで、山田の他にも肥田 卓也小林 祐哉、2年生の藤沢 昂楽岩下 裕次郎など昨夏から主軸を打つ経験豊富な選手が多くどこからでも点が取れるのが強みだと思います。

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[page_break:Bゾーン:海星、宇治山田商、稲生、桑名工と強豪がずらり]

―― 同ゾーンに菰野がいるとは、なかなか熾烈なブロックですね!それでもいなべ総合に対抗できる戦力が出てきているように感じました。他に面白いといわれている学校はどこでしょうか。

B津田学園ですね。なんといっても注目は通算40本を越える本塁打を放つ出口 匠です。投手としても速球が140キロを超えますし、投打の柱です。さらに俊足でパワーのある悦田 聖也濱田 大輔の両2年生にも注目です。

A:守備位置のコンバートもあった様ですが個々の選手のスキルはいなべ総合に匹敵すると言われており、その潜在能力が開花すれば、Aゾーンを勝ち上がって行っても不思議ではないと思っています。その津田学園に秋春と地区予選代表決定戦で勝ち県大会に駒を進めている桑名工も侮れないです。
春季大会は登板回避していたエースの左腕・辻 悠人が故障から復帰し、不在中に急成長をみせた2年生右腕・伊藤 汐良との2枚看板は強力。打撃陣も一発長打の期待できる大型選手や脚が速く小技の効く選手も多く得点能力は高いですし、面白いチームです。

Bゾーン:海星、宇治山田商、稲生、桑名工と強豪がずらり

―― 三重海星が入ったブロックはいかがでしょうか。

渡邉 勇斗(海星)

A:第4シードの三重海星ですが、新チームスタート当初、期待されていたがいまひとつ結果が出せないでいたエース・渡邉 勇斗が調子を上げて来て春先とは見違えるほど成長してきたのは大きい。
球速や制球力も向上しただけではなく、先月末の練習試合の智辯学園戦で1対0と完封勝ちした試合は、2度の満塁のピンチを気迫あふれる投球で抑えきりました。以前なら崩れそうな場面でも踏ん張れる、精神面での成長が見受けられました。
打線も印田 拓海犬飼 康太郎などの中心選手が故障から復帰しベストメンバーが組める様になり畳み掛ける攻撃が期待できますし、守備も若林 蒼太捕手を中心とし堅実な守備を誇ります。ただ送りバントや走塁面では、いなべ総合菰野と比べ精度が低く感じられるので、本番までにどこまで精度を高められるかが上位進出への鍵になると思います。

―― ありがとうございます。他はどんなチームが注目でしょうか。

濵田 一成(宇治山田商)

Bベスト8で2年前の1年生大会ではいなべ総合を破り優勝している宇治山田商ですね140キロを超え直球の制球が良いエース久保 弘我が何処まで調子を戻せるかが鍵。打たせて取る安定したピッチングの右サイド濵田 一成は、春の大会四日市西戦でノーヒットノーランを達成。2年生右腕の山本 永貴と投手陣は豊富。岡井 建斗野村 蒼意など打線も侮れないです。
初戦は昨秋ベスト8の鈴鹿で、1回戦屈指の好カードです。鈴鹿のエース・寺島 拓海が昨夏も経験しており、実績豊富な投手です。

A:他に昨夏ベスト4の稲生並木 健人キャプテンを中心とした打撃が良く、また大型横手投げの川北 光輝と快速球投手の坂 拓郎を擁する四日市西も上位進出を伺えるチームだと持っています。また菰野と初戦で対戦するは、松川 正賢酒匂 巧岡本 大範など去年からの経験者が多く嫌な相手になると思います。

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[page_break:Cゾーン:津商、松阪商など魅力あるチームが鎬を削る/Dゾーン:3連覇を狙う三重は戦力をしっかりと整備]

Cゾーン:津商、松阪商など魅力あるチームが鎬を削る

―― ここまで左側のブロックを見ていきましたが、右側のブロックを見ていきましょう。気になる学校はどこでしょうか。

濱岡 輝成(松阪商)

B準優勝・東海ベスト4の第2シード津商ですね。このチームはエース坂倉 誠人が中心。丁寧で打たせて取るピッチングで球数を抑え連投も出来ますが、後ろには石川 雄基織家 一貴と好投手も控えており、厚みがあります。内野は高橋 朋希小河内 健吾江川 雄人と攻守に光る2年生が中心。東海大会前に江川が怪我で戦線離脱しており、夏に間に合うかどうか復調が懸念材料ではないでしょうか。

A津商は宮本監督を慕い入部してくる選手が多く部の雰囲気は良いです。この春も30人近く入部したが誰1人辞めていないのは誇りですと指導者の方も仰っていた。公式戦を見てると楽しそうにやっているが、楽しいだけではあれだけ上手くはならない。礼から始まりランニングなどのアップは、宮本監督の自衛隊に居る友人に指導して貰ったそうで厳しい鍛錬があってこそののびのび野球だと思います。

B松阪商ベスト4と仕上がりは上々。56年ぶりの甲子園を目指します。春の大会準々決勝前に骨折で戦線離脱したエースで4番の濱岡 輝成が復帰し、通算30本塁打を越える西村 幸範上田 聖也など打線も強力です。

――中々骨のあるチームが揃っていますね。

Dゾーン:3連覇を狙う三重は戦力をしっかりと整備

――さて昨夏甲子園準優勝した(試合レポート)三重三重ですが、今年の戦力はいかがでしょうか。

B:やっぱり三重三重は県内でも頭一つリードしていると思います。まず投手陣ですが、140キロ台の球速を投げ、エースとして引っ張って来た中津 友志が春の大会前に怪我でベンチから外れていましたが、ようやく復帰し、最近ではロングイニングも投げ、球速も戻りつつあります。
春の大会ではエースナンバーを付けていた2年生の本格派右腕の斉藤 隼大も140キロを超えるストレートを武器に、調子も上向き。この夏新たにエースナンバーを付ける右サイドの三輪 航平は最も安定している。他に末良 隼也・2年生の藤田 朋樹と投手陣は豊富。打線は甲子園でも本塁打を放った山井 達也北出 敦也小西 康介も復帰し上位から下位まで強力。戦力が揃い最も勢いに乗っている。夏の三重大会3連覇の可能性は大だと思います。

A:順当に行けば三重三重と2回戦であたる近大高専も強そうですね。

B近大高専は投打に中心の大型右腕、西田 昴洋を擁します。また山崎 翔太日野原 麟太郎などそれぞれタイプの違う投手陣も豊富ですし、3年ぶりに復帰した伊藤監督は選手達からの人望も厚く、チーム雰囲気も良く三重三重としても嫌な相手です。

A:私は四日市工が2番手と推します。四日市工は1年夏から活躍していたキャプテンの近澤 康平遊撃手と太田 直哉捕手が最終学年を迎え、チームの柱として成長、投手陣も佐野 涼太河瀬 裕次伊藤 準など持ち駒は豊富で、好リードの太田捕手がそれぞれの持ち味を上手く引き出しています。
順当に行けば2回戦であたる制球が良くシンカーが武器の右サイド脇田 拓海を擁する皇學館も好チームで、昨年秋の県大会では2対0で四日市工が完封勝ちしていますが、この夏も好ゲームが期待出来ます。

B昨秋3位東海大会も経験した津西はエース伊藤 航希を軸に、長谷 健太郎杉野 稜太の3枚看板と好投手を揃えます。打線も前田 聖紀平 拓己など好選手が揃っています。

A津西は2年前の1年生大会で三重三重に勝っており、当時観戦していた三重三重ファンから「2年後あたりたくないな」との声が出るほど強く感じましたね。

B:他には、140キロを超える直球が持ち味の福西 喬がいるなど、好投手が集まる。相可は好投手の増田 央にリード良く肩も強い中田 遼のバッテリーも良くこちらも注目です。

――最後に三重県の高校野球ライターのお二人に大胆な予想をしていただきました!

A:私はいなべ総合菰野の勝者が三重大会を制すると予想します。ちなみに菰野対三重三重の決勝となれば3年連続同一カードで、3度目の正直で菰野が優勝か、2度あることは3度あるで三重三重の優勝か、ことわざ決勝となりそうですね。

B:私は三重三重が三重県初の夏の3連覇を果たすと予想しています。

―― お2人ともありがとうございました!大会は7月10日から開幕。四日市vs四日市南が開幕カードとなります。これを読めば、今年の三重の高校野球はばっちりと楽しめそうです!

 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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