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【第97回鹿児島大会展望】3年振りの甲子園を目指す神村学園を軸に鹿児島実、樟南、れいめいを中心に展開!

2015.06.22

 第97回全国高校野球選手権鹿児島県大会の組み合わせ抽選会が6月20日、鹿児島市の鶴丸高校文化館で行われた。今大会の出場校は2つの連合チームを含む76チーム80校。大会は7月4日に鹿児島市の[stadium]県立鴨池球場[/stadium](雨f天時は[stadium]鴨池ドーム[/stadium])で開会式があり、[stadium]県立鴨池球場[/stadium]、[stadium]鴨池市民球場[/stadium]の両球場で20日まで(雨天順延)夏の甲子園を目指した熱戦を繰り広げる。

 開会式の選手宣誓は大口図師 悠人主将(3年)が務める。
抽選会では参加校の投票でシード校が選出され、神村学園樟南れいめい出水中央鹿児島実鹿児島城西、鹿児島大島、国分中央の8校がシードとなった。このあと残りチームが抽選し、対戦カードが決まった。
春センバツ出場、NHK旗争奪鹿児島県選抜高校野球大会優勝(試合レポート)の第1シード神村学園が頭一つ抜けている印象はあるが、「頭一つ」の差などは勢いづいたチームなら簡単に覆せるのが夏だ。2年生の元気が良い樟南れいめい出水中央の北薩勢、捲土重来を期す鹿実などシード勢を中心に、侮れない力を秘めたチームは多い。第3シードれいめいが初戦で昨夏の覇者・鹿屋中央と対戦するなど、序盤からシード校といえども気の抜けない好カードが多いのも特徴的だ。組み合わせを4つのパートに分けて大会の展望を述べてみる。

【神村学園―国分中央パート】神村学園優位か、序盤で番狂わせがあるか!?

北庄司 恭兵(神村学園)

 このパートではシード神村学園の優位は揺るがないだろう。エース北庄司 恭兵(3年)をはじめ、新里武臣(3年)、内田雅輝(2年)と実戦経験豊富な投手陣がそろっており、注目度ナンバーワンのスラッガー山本 卓弥(3年)ら打線も力があり、上位から下位までどこからでも点が取れる。
以前は守備のミスから崩れることが課題だったが、そういう試合も少なくなってきた。センバツの初戦で大敗した(試合レポート)雪辱を晴らすためにも県予選は盤石の強さを発揮して勝ち上がりたいところだ。この神村学園に序盤で番狂わせを起こす可能性があるのは、大隅の雄・尚志館、同じ南薩地区の強豪・加世田あたりか。

 第8シード国分中央は夏の強さに定評がある。データを駆使して大胆な守備のシフトを敷いたり、機動力を駆使した攻撃など、斬新な野球で鹿児島球界に新風を起こした。ただし、国分中央が8強に勝ち上がるためには、初戦の薩摩中央をはじめ、名将・中迫 俊明監督率いる鹿児島川内、夏に強い鹿児島南鹿屋国分中央と並ぶ姶良・伊佐地区の雄でシード校に選ばれてもおかしくない実力校・加治木工などが待ち構えており、どこが8強になってもおかしくない展開になりそうだ。

【鹿児島実―出水中央パート】鹿児島実、学校創立100周年目に大会制覇なるか

 シードの出水中央鹿児島実が力的には抜け出ている。出水中央は、昨夏以降のこの1年間、県大会で8強以上の安定した成績を残している。エース溝口 凌平(3年)を中心にした堅守に定評があり、守りからリズムを作る野球が持ち味。NHK旗争奪鹿児島県選抜大会(以下、NHK旗大会)準決勝では神村学園を最も追い詰めた(試合レポート)。1960年夏出水商以来、55年ぶりの出水市からの甲子園を目指す。

 今年が学校創立100周年となる鹿児島実第92回大会ぶりの優勝に向けて調子を上げてきている。リードオフマンの室屋 太郎(3年)、2年生スラッガー・綿屋 樹らを擁する看板の強力打線に加えて、投手陣では最速140キロ台の直球を持つ右腕・橋本 拓実(3年)が成長したことで、大きな柱ができた。地方からの初出場が相次ぐ中、名門校の捲土重来を期す。

 これに続くのは右腕・上塩入 健斗(3年)、左腕・神薗 康太(3年)の2本柱を擁する薩南工、強力打線を持つ種子島、古豪復活の足掛かりをつかみたい鹿児島商あたりか。
出水中央と初戦で対戦する鹿屋農もエース・小城 博輝(3年)ら好左腕を擁しており、春は出水中央と0対1の接戦(試合レポート)を演じただけに、侮れない力を持っている。鹿児島松陽―薩南工、鹿児島国分―鹿児島商は注目した初戦のカードだ。

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【僕らの熱い夏】市立鹿児島玉龍高等学校(2015年06月19日公開)

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第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!
[page_break:【れいめい―鹿児島城西パート】安定感のあるれいめい、この1年間で唯一神村学園を破った鹿児島城西!/【大島―樟南パート】守備からリズムを作る樟南、大島]

【れいめい―鹿児島城西パート】
安定感のあるれいめい、この1年間で唯一神村学園を破った鹿児島城西!

火ノ浦 明正(れいめい)

 春20年ぶりの優勝で、第3シードに選ばれたれいめいは、1980年以来35年ぶりの甲子園(当時は川内実として出場)を目指す。
春の県大会4本塁打のリードオフマン・火ノ浦 明正(3年)がけん引する打線は間違いなく県下トップクラスだろう。杉安 浩(3年)、河北 光生(3年)の右腕2本柱の投手陣も安定感がある。初戦の対戦相手は昨夏の覇者・鹿屋中央。現チームの実力は未知数だが、気の抜けない相手であることは間違いない。ここに勝っても、昨秋ベスト4の出水、強力打線と「足攻」が持ち味の徳之島、試合巧者・伊集院などが待ち構えており、初戦からエンジン全開で勝ちに行くことが求められそうだ。

 第6シード鹿児島城西昨秋の準優勝以降、NHK旗大会ともベスト8止まりと伸び悩んでいるが、この1年間の公式戦で唯一神村学園を破った県内唯一のチームであり、潜在力は高い。豊富な投手陣の中で、しっかりとした柱が出てくることが夏の戦いのカギになりそうだ。このほか、昨秋4強の加治木、好左腕・林 健斗(3年)を擁する奄美鹿屋工なども注目校に挙げておく。

【大島―樟南パート】守備からリズムを作る樟南、大島

 春、NHK旗大会準優勝で第2シードを勝ち取った樟南は、伝統の投手を中心にした守備からリズムを作るそつない野球が持ち味だ。
2年生エース・畠中 優大に加え、NHK旗大会でもう1人の2年生左腕・浜屋 将太が先発で使える目処が立ち、投手起用に厚みが出てきた。バッテリーをはじめ2年生が主力で、上園 健弥主将、4番・落合 進太郎ら3年生が精神的な柱になってチームをけん引し、2年ぶりの大旗を手繰り寄せたいところだ。初戦で当たる鹿児島情報は好投手がそろっており、昨夏の新人戦では敗れているだけに、ここでリベンジして勢いをつけたいところだ。

 第7シード鹿児島大島も守備の安定感は県下トップクラス。昨春のセンバツを経験した前山優樹(3年)、左腕・渡秀太(2年)ら失点を計算できる投手陣と鉄壁の守備から攻撃のリズムを作る。このパートでは左の好打者が揃う鶴丸昨夏ベスト8の川内商工、投打にまとまる鹿児島、南薩の強豪・枕崎川辺なども虎視眈々と上位進出を狙っている。

 鹿児島玉龍武岡台の鹿児島市内勢対決は1回戦屈指の好カード。鹿児島工も勢いに乗ったら面白い存在だ。

(文=政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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