【第97回福島大会展望】V9を目指す聖光学院の牙城を崩すことができるか?
第97回福島大会の組み合わせが決まった。現在、聖光学院が夏8連覇中。今年V9を目指す聖光学院の牙城を崩す学校はあるのか?というのが福島県を見る上でのポイントになるだろう。聖光学院の今年のチームを紹介しつつ、有力校を紹介していきたい。
本番を見据えて東北大会に臨んだ聖光学院は準備万端
森久保 翔也(聖光学院)
優勝候補に挙がる聖光学院。春季東北大会で斎藤 智也監督は今年のチームについて、
「まだチームが成熟しておらず、なかなか本来の力を発揮できない状態が続きました」
と公式戦の場で力を出すことができないのが課題と話していた。東北大会初戦で柴田に8対2で勝利し、「ようやく打つ方も当たりが出てきた」とコメントを残したが、2回戦で花巻東に4対7で敗れ、改めて投打に課題を残す大会となった。
ただ決勝の舞台となる[stadium]あづま球場[/stadium]で戦えたことに、
「この東北大会は夏のリハーサルだよと選手たちに話しました。この6月に練習試合よりずっと緊張感がある公式戦を戦えたことは大きかった」
と話すように、この東北大会の経験が聖光学院の力をつけていくことは間違いない。
個人を紹介すると、昨夏の甲子園経験者で技巧派右腕の今泉 慶太、2012年のエース・岡野祐一郎に憧れ、投球スタイルもどことなく似ている最速140キロ右腕・森久保 翔也、2年生左腕の鈴木 拓人と投手陣の層は厚く、打者では核弾頭・村崎 龍馬、好打者・佐藤 都志也など上位下位切れ目のない打線が特徴で、攻守ともに隙がない。初戦は、勿来工と対戦する。
初戦・いわき総合と対戦する第2シードの日大東北は、まとまりのある投球で勝負する好投手・岩城 光、昨年から経験している齋藤 未来、強打の一塁手・佐藤 旦と粒ぞろいの一陣で、昨秋の準々決勝は聖光学院を破り、東北大会まで進出しており、今年の福島勢では唯一、聖光学院に勝利経験がある。この春は1回戦で敗れたが、やはり有力校であることは間違いない。
第3シードのいわき光洋は、右腕・水谷 秀道がゲームメイクし、攻守の要で二塁手・佐治 拓海、正捕手・西巻 啓汰を中心とした破壊力ある打線で春季大会準優勝を果たした。初戦は守備が持ち味の白河実と対戦する。
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磐城、福島商などの公立勢も健闘を見せることができるか
草野 隼人(磐城)
第4シードの磐城は、俊足巧打の1番打者・大西 真平、パンチ力のある三塁手・草野 隼人を中心に切れ目のない打線を展開。投げてはゲームメイクができる下宮 優希、下宮以上の速球を投げ込む戸田 開斗と投打にバランスが取れたチームだ。2年生の主力が多く、爆発力で勝ち進んでいきたい。初戦は磐城農と対戦する。
第5シード、東日本国際大昌平の140キロ台を計測するエース・藤田 拓朗は、昨秋の東北大会の花巻東戦で15回を投げ切るほどのタフネスがウリ。なんといってもどの打者もフルスイングする姿勢が印象的で、リーダーシップが高く、クリーンナップを打つ小田 幸樹を軸とした打線は強力。さらに総合力を高め、上位進出を狙う。初戦は平工と対戦する。
第6シードの福島福島商は、この春、聖光学院に1対2の接戦を演じた好チーム。左腕・安田 椋平、右腕・半沢 成の二枚看板がウリ。さらに高橋 俊が伸び、投手陣の層が厚くなった。福島福島商は須賀川との対戦が決まり、初戦から厳しい戦いが予想されそうだ。
初戦で喜多方桐桜と対戦する第7シードの光南は、エース左腕・星 雄太朗が140キロ近い速球を投げ込む本格派で、昨秋は星の快投により東北大会に出場。この夏は投打に磨きをかけて夏に臨む。
第8シードの学法石川は、茨城県出身で攻守の要である2年生ショートストップ・鞆谷 翔や、完成度が高い根本 光一郎、速球派右腕・ 桑原 良拓など個人の能力が高く、躍進が期待できる好チームだ。初戦は須賀川桐陽と対戦する。
ノーシードで注目なのは、強肩強打の捕手・松田 信太朗がチームを引っ張る郡山。初戦は若松商と対戦。聖光学院ブロックに入っており、怖い存在である。
大会は7月9日に開幕。開幕カードは福島西と福島の対決から始まり、順調にいけば、7月24日が決勝と比較的早い日程で進んでいく。
全体的に強豪が散らばった今大会だが、やはり聖光学院が有力候補なのは間違いない。ただ、接戦を演じている日大東北、福島福島商などもあるので、そういった学校が大きく力を伸ばすことができれば、聖光学院の牙城を崩すことができることは間違いない。昨夏は日大東北が延長11回の激闘の末あと一歩で敗れたとはいえ、非常に見応えのあるゲームを展開した。今年も白熱した戦いを見せてほしい。
(文=河嶋 宗一)
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