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【第97回大分大会展望】明豊、大分商など有力校多数な今年の大分を抜け出すチームは?

2015.06.18

 第97回高校野球選手権大分大会の組み合わせが決まった。今年は有力校が散らばっており、また抜きん出た実力を持ったチームはなく、横綱が不在。だが、どのチームも一定以上の実力があり、見所のある夏になりそうだ。ここで今回の大分県の状況を占っていきたい。

攻守に総合力が高い明豊が一歩リードか

大庭樹也(明豊)

 第1シードの明豊は、開幕戦に登場する楊志館日田の勝者と対戦することとなった。明豊は、大型二塁手として名をはせてきた大庭樹也が遊撃へ転向。現役時代(智辯和歌山)は遊撃手出身で、守備について奥深い理論を持つ川崎監督の下、内野手としてのイロハを学ぶ大庭はさらに進化を遂げてきた。打線では、大庭に加え、スイングスピードが速さがウリの巧打に加え、三塁、外野はどこまでも守れる工藤俊哉、1年生ながらクリーンナップを打つ杉園大樹が加わったことで、打線に厚みが出てきた。

 投手陣では左腕・前田剛、140キロ近い速球を投げ込む2年生右腕・山中大輝、右サイドから緩急自在、制球力が高い吉元仁志で勝負する。攻守に総合力が高く、選手層が厚いので、明豊が一歩リードしているといえるが、県内では抜きん出た実績を残していないのが不安材料で、本戦まで勝負強さを発揮することができるか。

 ちなみに明豊の赤峰淳部長は楊志館出身で、昨秋から練習試合では3度対決するほどの関係ぶり。今年は昨夏から主力で、今年は主将としてチームを引っ張る古澤和哉が注目。三塁、ライトを守り、勝負強い打撃を持ち味とする打者である。
楊志館第127回大分県高校野球選手権(以下 県予選)でベスト8に進出していて、見応えのある対決になりそうだ。

 もう1つの第1シード校の杵築は、県予選で優勝。サイドの松原毅が安定した投球を披露。また一発を打つ長打力もあり、チームを引っ張る。また岩根大地須賀光星といった中心選手の活躍も鍵を握る。その杵築は、佐伯豊南・佐伯鶴岡・新佐伯豊南の連合チームと玖珠美山の勝者と対戦。

 第2シードの注目は、最速148キロの速球を誇る森下暢仁擁する大分商であろう。6月6日の東海大相模との練習試合で好投し、森下の投球を見ようと集結したスカウトの前で大きくアピール。さらに攻守に高いセンスを秘める遊撃手・川瀬晃も投手を務める。最後の夏へ向けて、投打の総合力を高め、2年ぶりの夏の甲子園を目指す。由布別府青山・別府翔青の勝者と対戦する。

 大分工も、投打にバランスが取れた好チームで、主力打者の倉永敦志が中心とした打線は破壊力があり、さらに投打でワンランクレベルアップを果たすことができれば、優勝候補に名乗り出てくるだろう。初戦は三重総合竹田と対戦する。

■大分県の野球部訪問の記事はこちらから!
【野球部訪問】明豊高等学校【後編】(2015年02月12日公開)
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第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!
[page_break:明豊を完封した佐伯鶴城もさらに躍進なるか]

明豊を完封した佐伯鶴城もさらに躍進なるか

小川貴史(佐伯鶴城)

 第3シードで、県予選準優勝を決めた佐伯鶴城も、エースで、主力打者である小川貴史明豊打線を完封したように、守備のチーム。小川は130キロ半ばながらコントロールが高く、キレのあるカットボールを武器にする。
柴田誠監督は、「投打のバランスがとれた総合力の高いチーム」を目標にしている。また選手たちも、自分の役割をよく理解しており「考える野球」を実践できる選手が多く、それが県予選の準優勝につながったのであろう。夏へ向けて、機動力に磨きをかけ、安打はなくても点をもぎ取るチームを目指している。初戦は別府商大分南の勝者と対戦。

 また第136回九州地区高等学校野球大会大分県予選優勝(以下 九州予選)を決め、九州大会出場を果たした鶴崎工2006年以来の夏の甲子園を狙う。主力は、巧打者・安藤駿が中心となって強力な打線を築き上げてきた。鶴崎工は、好投手・並川健也擁する日本文理大附と、この春に野球部が創部された大分国際情報の勝者との対戦が決まり、どちらが勝ち上がっても面白いカードになりそうだ。

 九州予選明豊を破り準優勝の臼杵は、羽田龍晟松嶋廉岡部京三朗の3投手の継投で目先を変えて勝負するチーム。敵からすればなかなか厄介な戦略を取るチーム。初戦は大分高田と対戦する。勝利すると、第3シードの大分情報科学と対戦予定で、面白いブロックとなっている。

 個人の能力を見れば、第3シードの柳ヶ浦が楽しみな素材の選手が多い。186センチの大型右腕・鴨打翔太、強打者の古田佑一郎と能力が高い選手が揃っている。藤蔭大分西の勝者と対戦。藤蔭は4月に行われた第127回大分県高等学校野球選手権大会 県北・久大支部予選柳ヶ浦で3対2で勝っている。それだけにこちらも好カードが実現しそうだ。

 県内それぞれ能力が高い選手がいるチームが多く登場し、どの学校が勝ち上がってもおかしくない年となっている。7月5日に開会式が行われる大分大会。開幕試合は、7月8日に、[stadium]別大興産スタジアム[/stadium]にて楊志館vs日田の一戦が行われ、熱戦が繰り広げられる。順調に進めば、7月25日に決勝戦を迎える。今年、大分を勝ち上がったチームは中々骨のあるチームとして甲子園に姿を現してくれそうだ。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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