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【第97回沖縄大会展望】有力校がバランス良く散り、昨年以上の激戦区に!

2015.06.13

 高校野球100年の記念の年となる、第97回全国高校野球選手権沖縄大会の組み合わせ抽選会が9日に行われ、第1シードの興南から順に糸満、沖縄宮古、沖縄尚学とクジを引き、続いて各校の主将らが次々と封筒を開けていった。昨年の沖縄尚学のように、絶対的な強さを持つチームがない今大会。3年生たちにとっては集大成であり、最後の夏が迫る沖縄大会の展望を見ていくことにする。

5年ぶり出場を目指す興南

比屋根 雅也(興南)

 春季県大会優勝、招待野球でも近畿大会王者である神戸国際大附を6対1で下した興南が頭一つ抜けだす。南部地区でトップクラスの知念から10点をもぎ取ると、試合巧者読谷には7回まで苦しむも、8回裏に死球を挟む7連打で大量7点を取る。続く3回戦ではコザが誇る豪腕・内間 敦也から7得点を挙げるなど、秋までとは全く違う打線へと変貌。

 投手陣も隙がなく、魅惑のサウスポー比屋根 雅也が、46回を投げて防御率0.39の好成績。九州大会においても、福岡工大城東を相手に18奪三振(延長12回)の快投を演じれば、熊本親善交流大会から頭角を現した宮里 匡輝が、九州学院(7回)、熊本工(1回)、神戸国際大附属(6回)を相手にし防御率ゼロの好投を見せた。だが待ってほしい。そんなシード興南でも足をすくわれかねない相手が出てきそうなのだ。

 沖縄石川のエース浜川 優馬がそう。1年生から投げ続ける浜川は、経験値が豊富。さらにこのでは、足をさらに上げるダイナミックなフォームへと変わり、準々決勝までの4試合22イニングを投げて被安打は僅かに7、投球回数を上回る奪三振25、自責点1で防御率は0.41、奪三振率は10.23と比屋根と比べても遜色ない成績をおさめているのだ。打っては16打数8安打で打率5割のタイシンガー ブランドン 大河他、力のある投打が揃う。その他にも、16強の北中城八重山新人中央大会4位の那覇16強で沖縄石川を苦しめた美来工科など実績を残している高校も上位を伺う。

夏3連覇を目指す沖縄尚学

中村 将己(沖縄尚学)

 こちらも、春季県大会3位新人中央大会覇者沖縄尚学が頭一つリード。チーム打率が3割を切る(.294)など「打てないチーム」と嘆く比嘉 公也監督だが、春の大会では中村 将己が打率.389、松元 孝平は.400と1、2番は十分他校の脅威でもあった。それに続くクリーンアップの奮起と、下位打線が粘ってトップに返せば、夏の選手権沖縄大会3連覇も十分視野に入ってくる。投手陣では、の防御率1.10のエース神里 廣之介を中心に、山城 悠輔や左腕諸見里 俊と、夏を前にして計算が立つピッチャーが揃いつつある。準決勝まで進んで、興南に春のリベンジを果たせるか!?

 春の県大会沖縄尚学と対戦した那覇商。その試合で8回2失点と好投した奥平 丈士らは、先に行われた商業高校野球大会でも中部商を準決勝で下した。2001年、宜野座がベスト4に進んだセンバツ大会の主将である安富 勇人監督の手腕にも注目だ。

 新人中央大会3位の前原は、1年からバッテリーを組む西野 光人徳盛 辰樹や、平良 竜、そしての沖縄宮古戦で松川 竜之丞から3安打を放った謝花 良陛ら光る選手が大勢いる。
北山vs具志川は1点を争う好試合となりそう。さらに好カードとなるのは、中部地区選手権大会優勝の普天間と、昨年の秋ベスト8の八重山商工。高身長の與那原 大剛八重山商工の各打者がどう攻略するか!?

■コラムに登場する学校の野球部訪問はこちらから!
興南高等学校【前編】(2015年05月29日公開)
興南高等学校【後編】(2015年05月30日公開)
沖縄尚学高等学校(2014年03月13日公開)
県立美里工高等学校(2014年03月12日公開)
沖縄尚学高等学校(2012年08月29日公開)
県立美里工業高校(2012年04月30日公開)
県立糸満高校(2012年04月29日公開)
県立中部商業高校(2012年04月27日公開)
県立浦添商業高等(2010年06月19日公開)
県立小禄高等学校(2010年06月18日公開)
■この夏にかける熱い思いを伺いました!
県立首里高等学校(2015年06月09日公開)
県立南部商業高等学校(2015年05月27日公開)

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第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!
[page_break:糸満は春夏連続を目指すも、強豪続出 / 春準優勝の宮古に待ったをかける秋優勝の中部商]

糸満は春夏連続を目指すも、強豪続出

大城 龍生(糸満)

 一番の激戦区で、全く先が読めないのが、この第2シード糸満ブロックだ。

秋の県大会
準優勝しただけでなく、並み居る九州の強豪を終盤で追いつき突き放して準優勝したばかりでなく、春の九州大会でもベスト4まで勝ち進むなど、やはり実績はナンバーワンの糸満天理に敗れたものの(試合レポート)、センバツを経験した彼らの目には、プレッシャーなど微塵も感じないほどの精神力が蓄えられている。

 通常の1番池間 誉人、2番岡田 樹、3番大城 龍生だった打線が、神戸国際大附を招待した野球では、2番岡田、3番に池間、4番大城龍と入れ替えてもあった。どちらがより繋がるのか。沖縄を代表する名将となった上原 忠監督の、見ていてワクワクさせるスピード感にあふれるタクトにも注目が集まる。

 その糸満と2回戦での対戦を所望するのが美里工秋の県大会で2試合連続10得点など、チーム打率は.353をマーク。サイドからキレのあるボールを投げるエース久田 真輝は、春の県大会では敗れたものの、興南打線を僅か1点に封じた。

 2013年の一年生中央大会覇者浦添商も左腕天久 太翔が健在。打線も繋がり、商業高校野球大会では3試合で24得点を挙げて優勝した。さらにさらに、このブロックには3つの、何とも贅沢なカードが生まれてしまった。

 8強の小禄vs同4位の豊見城8強の名護vs連続16強のコザ。そして、4強で、県の21世紀枠代表にも選ばれた首里と、新人中央大会決勝沖縄尚学を苦しめた嘉手納が対戦するのだ。その他にも16強の与勝や、新人中央の南部地区1位でもある知念、その他宜野湾もしぶとさがある。そんな激戦区であるここに、今夏の前に沖縄県高校野球連盟へ正式に加盟し、初参戦となるKBC学園未来沖縄高校が入った。恐れを知らない1年生12名が見せるプレーと、那覇商連続で甲子園へ導いた闘将神山 昂監督の采配も楽しみだ。

春準優勝の宮古に待ったをかける秋優勝の中部商

前田 敬太(中部商)

 春の県大会準優勝の沖縄宮古がシード。八重山は甲子園出場(2006年八重山商工)を果たしたが、沖縄宮古からはまだとあって、現ナインに掛ける島の野球ファンの期待も大きく、主戦の松川 竜之丞の肩に全ての命運が掛かっていると言っても過言ではない。決勝興南戦こそノックアウトされてしまったが、あの日のマウンドは決して体調は万全では無く、準決勝までの5試合(42回2自責点)の防御率0.43が彼そのものだと言えよう。その沖縄宮古の夢に「待った!」をかける一番手が秋の県大会覇者である中部商だろう。

 秋にブレイクした前田 敬太は、北山戦で圧巻の16三振を奪うなど覚醒。防御率1.59として頂点に立つと、九州大会でも勝利を収めた。その前田と並ぶ柱が伊波 和輝。こちらも、12回を投げて防御率0.75。タイプが違い、それぞれ計算出来るこの両右腕の存在は、チームにとっても心強い限りだろう。

 その他では浦添商を相手に1点差ゲームを演じた真和志と、その浦添商を倒してベスト8入りした宜野座が好カードとなる。力を徐々につけてきた沖縄南部工や西原球陽沖縄水産らも虎視眈々と勝利を狙う。秋の県大会で、首里中真 慶大と延長15回の死闘を演じた読谷富田 敦己も注目の一人だ。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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