Column

2015年の高校野球を占う【徳島編】 「ストップ ザ 鳴門」へ挑む城南、川島、そして海部

2015.02.26

 2010年2011年川島・徳島城南が2年連続21世紀枠での甲子園初出場を果たしたことにはじまり、以後は鳴門が夏と合わせ4季連続甲子園出場。昨年も名門・徳島池田が22年ぶりに聖地に校歌を響かせるなど、5年連続でセンバツに歩を進めていた徳島県勢。
が、昨秋は夏春甲子園連続を狙った鳴門、5年ぶりのセンバツを見据えた川島、そして5年前と同じく県大会を制した徳島城南がいずれもベスト4の壁に阻まれ、6年ぶりにセンバツのない春を迎えている。

 ではこの夏、直近4年間で春5勝4敗・夏4勝4敗と甲子園での安定した成績に加え、国体でも2011年徳島商2013年鳴門がベスト4進出を果たしているなど、四国勢をリードする徳島の反転攻勢はなるのか?1997~2000年の徳島商以来、県勢2度目の4年連続夏の甲子園出場を狙う鳴門を誰が止めるのかも含め、動向を探っていきたい。

4年連続を狙う鳴門、着々と戦力整備中

河野 竜生(鳴門)

「ウチは弱いですから」。森脇 稔監督の口癖である。が、このフレーズは4季連続甲子園出場、2012年春甲子園ベスト82013年夏甲子園ベスト8国体ベスト4を成し遂げた黄金期においても変化はなかった。つまり、この言葉は決して額面通りに受け取ってはいけないということである。

 実際、県大会で9回二死から3点差をひっくり返し辛くも3位、四国大会2回戦敗退に終わった昨秋ですら、戦力的には四国でも屈指だ。投げては最速137キロ左腕の河野 竜生に、秋は不調に終わったが最速139キロ右腕の中山 晶量、最速137キロ右サイドの尾崎 海晴の「1年生トリオ」。打っては1年生4番・手束 海斗(中堅手)の強打。守っては二塁送球2秒を切る佐原 雄大(1年)の強肩。とくに1年生選手の能力は全国と伍しても決して劣っていない。

 何よりも彼らには先輩たちから受け継いだ「練習から試合を想定し、実戦では練習のようにリラックスして臨む」という最大の武器がある。図らずも昨秋四国大会敗退後に指揮官が指摘した「謙虚さ」。これを厳しさに定評のある冬練習で培えたならば、彼らの4年連続甲子園出場は、さらにくっきりと見えてくるだろう。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
県立池田高等学校(2014年03月15日公開)
県立鳴門高等学校(2013年05月08日公開)
県立城南高等学校(2011年02月04日公開)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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[page_break:「ストップ ザ 鳴門」へ挑む城南、川島、そして海部]

「ストップ ザ 鳴門」へ挑む城南、川島、そして海部

宮本 誠士(川島)

 昨秋は県大会準決勝で鳴門を破り準優勝、四国大会でも1勝をあげた川島。5年前のセンバツを確かな蓄積にして「育てながら勝つ」手法を選択する北谷 雄一監督の名タクトにより、今季も制球力に優れる左腕・宮本 誠士や左打ちの大型遊撃手・大堀 雄平(いずれも2年)など、個性あふれる選手たちがそろっている。今後は悲願である夏の甲子園初出場へスタミナ面を強化したいところだ。

 一方、最速137キロ右腕の林 大嘉(2年)、俊足巧打・全力プレーが光る左打ち二塁手・森山 翔太(2年)などこちらも県内屈指のタレントたちを擁し、森山はじめスタメン9人中4人を占める徳島中央シニア出身者ら、コミュニケーション能力の高さで4年ぶりに昨秋県大会を制した徳島城南も、「ストップ ザ 鳴門」の筆頭格。中学時代はエース1番だった若原 正樹(中堅手・2年)ら潜在能力を備える選手たちがどれだけ伸びしろを出せるかが、夏の初栄冠へのカギになる。

 そして、忘れてはいけないのは海部である。一昨年秋昨秋共に四国大会出場まであと一歩に迫るベスト4、加えて昨秋の3位決定戦では鳴門に対し9回裏二死まで3対0とリード。正に土俵際まで追い込んだ実績は伊達ではない。

 持ち味の制球力に加え、変化球の切れ味を備えた旧チームからのエース右サイド・上野 大成(2年)、地区特有の高い身体能力を存分に示す主将・遊撃手の戎谷 元気(2年)らが最大ポテンシャルを発揮できれば、春、そして夏の大躍進も十分可能だろう。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
県立海部高等学校(2014年04月28日公開)
生光学園高等学校(2010年12月31日公開)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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[page_break:注目選手も続々、混戦模様の春が来る]

注目選手も続々、混戦模様の春が来る

福本 真治(生光学園)

 昨秋のべスト4の4校をここまでは紹介してきたが、その他の学校にも注目選手がいる。まず、投手で最注目は阿南工の最速139キロ右腕・片山 雅斗(2年)である。「中学校まではほとんど投手経験はなかった」片山だが、阿南工入学後、着々と投手のノウハウを吸収し、今では四国屈指の右腕に成長。昨秋県大会では序盤の失点が響き、徳島城南の前に初戦敗退に終わった悔しさを力に変え、春には「勝てる投手」への第一歩を踏み出すつもりだ。

 また、徳島城北の笠井 康平(2年)も最速136キロをマークする右腕。生光学園の181センチ・福本 真治(2年)や、徳島北尾崎 修志(2年)は、旧チームからエースナンバーを背負う責任を最上級生で結果につなげたい。

 野手でも徳島商では昨年11月の「第6回体力・技術向上研修会」でベースランニング14秒02のタイムを叩き出した平野 善常(2年)、高橋 広監督の早稲田大野球部監督就任により、春季大会では佐藤 豪部長が監督職を務める鳴門渦潮では、昨夏に三塁手のレギュラーを奪うと、攻守に溌剌とした姿をみせた住田 聖磨(2年・主将)。

 穴吹では弟の和真(1年)をリードと強打で引っ張る平岡 拓巳(2年・主将)や俊足二塁手の森下 天(2年)。昨春のセンバツ経験者である徳島池田・喜多 正史(2年・主将)も長らく抱える腰痛が回復していれば、左腕投手としての登板含め、大きな可能性を託したい選手だ。

 ちなみに春季県大会は2月20日(金)に抽選会。予定では3月21日(土)から4月3日(金)まで、[stadium]オロナミンC球場[/stadium]と[stadium]JAアグリあなんスタジアム[/stadium]を使用し熱戦を展開。そして優勝校と準優勝校は5月2日(土)から3連戦で[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]において開催される春季四国大会に出場する。

 はたして夏のシード権争いも含め、31校の中でどこが頭1つ抜け出すのか?混戦模様の春の風に乗り、徳島球児が大いに奮闘してくれることに期待したい。

(文・寺下友徳

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
県立鳴門渦潮高校(2012年04月10日公開)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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