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2015年の高校野球を占う【北北海道編】 旭川地区、十勝地区も混戦!ダークホースはクラーク記念国際!

2015.02.28

 過去5年間、すべて違う学校が甲子園に出場している北北海道。今年の北北海道はどんな1年になるのか。また各支部の注目校を紹介していきたい。

東海大四と競り合いを演じた北見工が一歩リードか

紀國 駿介(北見工)

 今年も本命なき混戦状態が続きそうだ。飛び抜けた学校がない分、どこのチームにもチャンスがある。実際、過去5年間、北北海道から春夏合わせて7度の出場機会があったが、すべて違う学校が切符をつかんでいる。 10年夏旭川実11年夏白樺学園12年春女満別12年夏旭川工13年春遠軽13年夏帯広大谷14年夏=武修館。甲子園出場は決して遠い夢ではない。

 一番の注目株は、21世紀枠候補校に選ばれた北見工だ。投手陣がしっかりしている。1年生エースの中川裕元は180センチの長身から130キロ後半の直球を投げ、制球力に優れている。昨秋の北海道大会1回戦では、強豪校の札幌第一に10安打を許しながら、粘り強い投球で2失点完投勝利を挙げた。昨夏エースだった紀國 駿介(2年)も控える。右肘を痛めて、昨秋は背番号9を背負ったが、北海道大会2回戦では函館工に3失点完投勝利した。

 2枚看板がフル回転しての快進撃は、大きなインパクトを与えた。とくに、昨秋の北海道大会準々決勝・東海大四戦は9回二死からの逆転負けという“悲劇”もあって、語り草になっている。2対1と1点リードで迎えた9回裏、二死二塁、平凡な内野ゴロで試合終了と思いきや、失策を発端にサヨナラ負けした。結果的に東海大四優勝して、センバツ出場を決めただけに、選手たちは72年夏以来となる甲子園をグッと近くに感じたはずだ。

 近年、北見勢の躍進が著しい。12年春には女満別13年春には遠軽が甲子園に出場した。北海道高野連の小嶋 仁章専務理事は「指導者が勉強会を開いたり、連係を密にして、地元の子供たちを大事にしている成果が出ているのではないしょうか」と指摘する。能力の高い選手は札幌の高校に進学することもあったが、最近は地元に残る傾向が強くなっている。

 この北見支部で今年6月13、14日、北海道高野連の主催で大阪桐蔭を招いての招待試合が行われる。北海道の出場校は、昨秋北海道大会東海大四のほか、道東地区(北見、十勝、釧根の各支部)を代表して北見工白樺学園中標津が選ばれた。地方のチームにとって、悩みの種は遠征の負担だ。昨夏甲子園を制覇した大阪桐蔭を迎えての招待試合は、本番の夏を直前に控えたチームにとって願ってもない経験の場となる。出場できないチームにとっても、全道や全国レベルの試合を生で見られるメリットは大きい。この夏、北海道内各地で大阪桐蔭効果を期待したい。

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【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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旭川地区、十勝地区も混戦!ダークホースはクラーク記念国際

中野 祐一郎(白樺学園)

 さて、他支部に目を向けると、旭川と十勝のレベルが高い。昨秋の旭川支部を勝ち上がったのは旭川工旭川龍谷だが、旭川実旭川明成旭川大高の私立勢も総合力では劣らない。07年春甲子園出場の旭川南、近年力をつけている富良野の躍進にも期待したい。旭川はどこのチームが代表を奪っても不思議ではない激戦区だ。

 十勝は白樺学園が一歩リードしている。エースの中野 祐一郎(2年)は、身長182センチの速球派。192センチの河村 説人(2年)も控えており、投手力は安定している。昨秋の北海道大会準々決勝札幌日大戦では1得点に終わった打線も得点機は作っており、総合力は高い。

 ダークホースとして注目したいのは、昨年創部したばかりの空知支部のクラーク記念国際だ。創部と同時に佐々木 啓司監督が就任。駒大岩見沢を甲子園に12回導いた名将の下には、各地から選手が集まりつつある。この冬には、本格的な室内練習場が完成。4月には寄宿舎、10月には専用球場が完成予定と強化体制は着々と整っている。1年生だけで臨んだ昨秋は支部2回戦で滝川西に3対9で敗れたが、三浦 雄一郎校長が「3年以内に甲子園」と力を込める言葉が現実になる日はそう遠くないかもしれない。

 以下、支部毎に見ていこう。

【空知支部】
昨秋の支部代表になった滝川西のエース・高桑 涼(2年)は右横手からの丁寧な投球が持ち味。昨秋の北海道大会でも好投した。滝川工のほか、岩見沢東岩見沢緑陵の岩見沢勢が追いかける。部員が2学年に増えるクラーク記念国際がどこまで上位に食い込むか。

【旭川支部】
例年安定したチーム力を誇る旭川工は、髙沼 拓海(2年)、櫻田 凌太(2年)、西谷 颯真(1年)の3投手が昨秋の北海道大会のマウンドを踏んだ。旭川龍谷旭川実旭川明成旭川大高旭川南など実力校が揃っている。

【名寄支部】
昨秋の支部代表になったのは、北海道大会常連の稚内大谷。身長184センチの大型右腕・遠藤 暉世己(1年)は直球と縦のスライダーを武器にする。今後の成長が楽しみだ。

【北見支部】
前述したように支部全体のレベルが着実に上がっている。21世紀枠候補校に選ばれた北見工のほか、遠軽女満別北見北斗と力のあるチームがしのぎを削る。

【十勝支部】
白樺学園を追うのは、13年夏甲子園に出場した帯広大谷昨秋の北海道大会に出場した帯広三条や、帯広柏葉の公立勢も侮れない。

【釧根支部】
昨秋の支部代表は釧路北陽中標津だったが、両校ともに北海道大会では初戦敗退した。昨夏甲子園に初出場した武修館や、釧路工の巻き返しが予想され、混戦模様だ。

 5年連続で出場校が変わっているというのは、それだけ北北海道の各校のレベルは拮抗している証拠。今年はどんな戦いが展開されていくのだろうか。

(文=石川 加奈子

今回のコラムに登場した高校の野球部訪問はこちらから!
旭川工業高等学校(2011年02月04日公開)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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