Column

世代を代表する投手が集結した第87回選抜大会 【注目投手編】

2015.02.17

 今年の選抜は、投手についてはその世代を代表する投手が集結した年といえる。新3年生、新2年生の注目投手を挙げていきたい。

注目度ナンバーワンは高橋 純平。高橋に続くプロ注目の5投手たち

高橋 純平(県岐阜商)

 大会注目度ナンバーワンと呼べそうなのが、県立岐阜商高橋 純平だ。普段は、140キロ前半ぐらいだが、ここぞという場面で、140キロ後半~最速152キロの直球でねじ伏せるなど、力の入れ加減が出来る投手。細身で、肩ひじが柔らかく、バランスの良い投球フォーム。伸びしろの大きさが魅力で、一冬超えてどこまでスケールアップし、実戦度が増しているか。評判通りの投球を見せれば、大会終了後には、複数の球団がドラフト最上位候補に高橋純をリストアップする可能性がありそうだ。

 高橋純に次いで注目度があるのが、平沼 翔太敦賀気比)、佐藤 世那仙台育英)、高橋 奎二龍谷大平安)、坂口 大誠(奈良大付)、小川 良憲近江)。この5人が今年のドラフト候補に名を連ねる可能性は十分に持っているだろう。

 平沼は、140キロ前後の速球、スライダー、カーブ、チェンジアップと球種は多彩で、なおかつ両サイドに投げ分ける制球力の高さもあり、投球も繊細なのが魅力。野手としても注目されており、バットコントロールも良い。そして俊足でもある。平沼は投手に必要な繊細さに加え、野手に必要なアジリティも備えているのだ。投打で注目したい選手だ。

 佐藤はフォークを軸にコンビネーションを組み立てる高度な攻めを実践。縦の変化の対応に慣れていない打者にとっては、佐藤のフォークは脅威。さらにストレートの球威を高めることがカギになるだろう。

 高橋奎は、左腕ならばトップクラスの実力を持った選手。右足を高々と上げるフォームはタイミングが取りづらく、140キロ前後の速球でも振り遅れしやすい。落差のあるカーブ、チェンジアップのコンビネーションがハマると、高校生としてはかなり打ち難い。また劣勢時でも動じない精神力の強さもある。速球のスピード、コントロール、変化球のキレ味がさらに増してくると、島袋 洋奨興南~中大~福岡ソフトバンク)のような攻略が難しい実戦派左腕に成長する可能性がありそうだ。

 坂口は、左足を高々と上げるフォームでも、伸びのあるストレートをコントロール良く投げられるのが最大のウリ。今年にかけて、さらにスピードが伸びて、武器となる変化球を1つ見出すことができれば、さらにステップアップすることができるだろう。

 小川は、右サイドの速球派。昨夏の甲子園で、140キロ前後の速球、カットボールをコンビネーションに組み入れて、18イニングでわずか1失点と安定感抜群の投球を見せた。昨秋の近畿大会ではやや疲労が見えたが、一冬超えて、去年よりパワーアップした姿を見せることができるか。

【コラムに登場した選手のインタビューは以下から!】
敦賀気比高等学校 平沼 翔太投手 「目指すは世代ナンバーワンピッチャー!」
中央大学 島袋 洋奨 選手(興南高出身)

第87回選抜高校野球 特設ページ

このページのトップへ

[page_break:実績十分な八戸学院光星の3投手、潜在能力の高さを秘める第二の投手たち]

実績十分な八戸学院光星の3投手、潜在能力の高さを秘める第二の投手たち

中川 優(八戸学院光星)

 八戸学院光星は、3人の投手陣に注目。投球が上手い中川 優、手足が長いフォームから角度ある速球を投げ込む左腕・呉屋 開斗、最速145キロの速球を投げ込む八木 彬の成長に期待したい。

 最速140キロの直球を投げ込む森 奎真(豊橋工)、制球力が高い大澤 志意也東海大四)、右足を高々と上げるフォームからクロスファイヤーで勝負する田中 寛大英明)、130キロ後半の速球、キレのあるスライダーをテンポ良く投げ分ける上西 嵐満宇部鴻城)、最速143キロを計測する高橋 晟一朗米子北)、右サイドから140キロ近い速球を投げ込む伊勢 大夢九州学院)、右サイドから投げ込む直球は130キロ前半だが、スライダー、シュートを駆使する鈴木 健矢木更津総合)も注目だ。

 また、控え投手という立場であるが、注目すべき投手も多い。まず能力的なモノは非常に高い岸田 康太(二松学舎大付)は、140キロ中盤の速球を投げ込み、今年の東京都でも1、2を争う速球派右腕だ。また勝俣 翔貴東海大菅生)の控え投手だが、投球術が光る羽生 優太東海大菅生)、フォームの完成度が高く、春には140キロ超えが期待できるサラサル・アレキサンダー・英二近江)、140キロ近い速球を投げ込む木場 優大宇部鴻城)、1年から実戦を経験した中西 幸汰英明)もエースの田中とともに盛り上げる。

第87回選抜高校野球 特設ページ

このページのトップへ

[page_break:夏春連続甲子園出場に導いた大江 竜聖、防御率0.00の早川 隆久の両左腕に注目]

夏春連続甲子園出場に導いた大江 竜聖、防御率0.00の早川 隆久の両左腕に注目

大江 竜聖(二松学舎大付)

 2年生投手で目を向けていくと楽しみな投手がずらり。その中でも実績十分なのが大江 竜聖(二松学舎大付)だ。昨夏の甲子園でデビューし、度胸満点な投球を見せた大江は、秋でも7試合に登板。秋季大会3回戦早大学院戦で15回無失点に抑えるなど、エースとしてチームを引っ張った。球速も140キロを超え、小柄ながらも、パワフルな投球が期待されている。

 その他注目するのが、早川 隆久木更津総合)。早川は昨夏、レギュラー相手に打撃投手を務めていたところ素質を見込まれ、投手に転向。投手歴は浅いが、その分伸びしろが大きいのが魅力。早川は出所が見難く、さらに常時130キロ前半を超える投球で、球速表示以上にキレがあり、制球力も高い。打ち崩しにくい要素を備えている投手で、秋季大会は8試合に登板し、3完封で防御率0.00と驚異的な成績を残している。スカウト好みのタイプだろう。

 また中学時代、15Uのメンバー入りし、最速138キロのストレートとキレ味鋭い変化球のコンビネーションで勝負する実戦派左腕・鈴木 昭汰常総学院)も注目。また鈴木に続く投手として、130キロ後半の速球を投げ込む樫村 雄大も注目だ。静岡のエース・村木 文哉は細身だが、横振りのフォームから、130キロ後半の速球を投げ込む。一冬超えて、体力強化でストレートのレベルアップを果たしたい。

 ポテンシャルの高さでは山崎 颯一郎敦賀気比)がトップレベル。188センチの長身を生かして投げ込む135キロ前後の速球には角度がある。一冬超えて、ポテンシャルの高さを披露してほしい。近畿大会大阪桐蔭を破る(試合レポート)好投を見せた森浦 大輔天理)はしなやかなフォームから繰り出す130キロ前半の速球、落差のある変化球が魅力で、一冬超えてどこまでパワーアップしているか注目してみたい投手だ。
 

 今年は新3年生、新2年生とも世代のトップを走る選手が多い。特にドラフト候補に挙がる投手は選抜での投球が高卒プロにつながる可能性は大いにある。ぜひ秋よりも成長した姿を見せて、今年の選抜を盛り上げてほしい。

(文・河嶋 宗一

第87回選抜高校野球 特設ページ

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

「無欲すぎて就職希望だったところを……」紅林弘太郎(オリックス)、恩師が明かす高校3年間

2024.04.23

波乱の春季千葉大会!木更津総合、習志野、市立船橋、成田の強豪が夏ノーシードに回る事態に!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!