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21世紀枠 各地区候補 紹介!桐蔭(和歌山)

2014.12.21

21世紀枠 各地区候補 紹介!桐蔭(和歌山)

 第87回選抜高校野球大会の21世紀枠の各地区候補9校が発表された。高校野球ドットコムでは、各候補校の推薦理由と地区選考状況を1校ずつ紹介をしていく。第6回は近畿地区の桐蔭を紹介!

 近畿地区:桐蔭(和歌山・県立)

・高校別データ:桐蔭
・学校創立:1879年 生徒数:877人(男子424,女子453)
・野球部創部:1897年 部員数:19人(女子マネージャー4名を除く)
・甲子園出場回数:春15回 夏20回
秋季和歌山大会ベスト8

【推薦理由】

 前身は1879年(明治12年)創立の旧制和歌山県立和歌山中学校、戦後「桐蔭」に名称を変え、今年で創立135年を迎える県下有数の伝統校である。これまでに博物学者・南方熊楠氏、慶應義塾大学教授で経済学者の竹中平蔵氏、和歌山県知事・仁坂吉伸氏など、数多くの知識人や著名人を輩出している。「文武両道」と「改革と伝統」を校訓に、普通科と数理科学科を併設。

 2007年には中学校を開校し併設型中高一貫教育を導入した。現役国公立大学合格率67%を誇る県下随一の進学校である。2003~2005年のスーパーサイエンススクール研究指定に引き続き、2013年からは全国に先駆け「中高一貫教育校に於けるキャリア教育の推進」をテーマに研究開発学校の指定を受け、先進的に研究開発を進めている。部活動も全般に活発で、陸上競技・科学部・ESSなどは毎年安定して全国大会に出場を果たしている。文字通り「文武両道」を実践しつつ、これからの日本や世界を舞台に活躍できるグローバルリーダー育成をトータルに目指している。

 硬式野球部は、1897年(明治30年)の創部以来117年を数える全国的にも有数の古豪であり、高校野球の黎明期から常にその発展に寄与し続けてきた。夏の選手権大会に連続14回を含む20回出場。そのうち優勝2回、準優勝3回、ベスト4入り4回の実績を残し、1921年22年には初の選手権大会連覇を達成した。その1922年にはグラウンドに大スタンドが完成し、皇太子殿下(後の昭和天皇)がご来校され試合を観戦された。選手権地方大会には第1回から途切れることなく連続出場を果たしている全国15校の中の1校でもある。春の選抜大会には連続11回を含む15回の出場。そのうち優勝1回、準優勝1回、ベスト4入り2回を数える。これまでに故西本幸雄氏を始め3名の野球殿堂入りを果たしたOBを輩出している。

 伝統ある野球部で野球をしたいという生徒は少なくないが、入学選抜の競争率の高まりや、併設中学校からの内部進学による外部募集枠定員の制限などの理由から、ここ数年は部員数が低迷している。施設面、練習時間などとともに制約を余儀なくされた状況にも関わらず、「全力疾走」をチームモットーに、より効果的で密度の高い練習を日々実践し、ここ数年は夏の選手権和歌山大会ベスト4入り2回、ベスト8入り2回など、着実に力をつけてきた。2年生7名、1年生12名で挑んだ今秋の県下新人戦では、この大会を制した初芝橋本に準決勝で惜敗したものの、投打がしっかりとかみあってベスト4入りを果たした、近畿大会出場を懸けた県二次予選準々決勝では、後に優勝し、近畿大会ベスト8に進出する箕島と対戦。エース伊澤由紘の粘り強い投球と、5番・橋中基岐のタイムリー二塁打で終盤まで3対1とリードをするも、8回裏に些細なミスをきっかけに大量点を献上し、5対7で惜敗した。

 硬式野球部は現在、全員が国公立大学への進学を希望している。授業への前向きな取り組みや積極的なホームルーム活動など、野球を通じて培った高い集中力と強い精神力で自己の進路実現へ向けて力強く文武両道を実践できている。トレーニングに使用する秋葉山や名所・和歌浦の片男波海岸周辺の清掃活動なども積極的に行い、高校生らしい挨拶や素行について地域の方々から好評をいただいている。地域に密着し、先人が築いて来られた輝かしい伝統のもとで「文武両道」に全力で取り組む姿勢は、「高校野球ここに在り」とまさに我らの在るべき姿を示してくれる。桐蔭の活躍が高校野球100年、また「紀の国わかやま国体」を迎える2015年、和歌山県人に元気と活気を与えてくれることを確信し、今回の推薦となった。

【地区選考状況】

 近畿地区の理事会は11月25日(火)に行われた。まず各府県の候補決定に至った状況と、推薦理由を発表。6府県ともに、「文武両道」を目標とされ、各学校の教育目標を十二分の達成された公立高校の模範という印象で一致した。そして推薦項目の一つ一つを協議・議論した結果、姫路南(兵庫)と桐蔭(和歌山)に絞られた。

 桐蔭は、県大会優勝の箕島に5対7と惜敗したが、試合内容も良く、部員数は少ない中で挑み、最後まで投打をかみ合わせて戦った。その姿勢を築きあげたのが、恵まれない環境での集中した練習にあった。学校の伝統と歴史においても県下公立隨一の進学校であり、野球を通じての実践は進路実現に向け文武両道を達成している。そういった功績は来年高校野球100周年を迎えるに当たって原点ともいえる活躍であったと、姫路南よりすべてにおいて密度の高い評価がされ、満場一致で桐蔭が近畿地区の21世紀枠候補として推薦されることが決まった。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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