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第45回明治神宮大会記念大会 大会総括 「神宮大会で活躍した逸材を一挙紹介!」 

2014.11.20

第45回記念明治神宮野球大会

 仙台育英が2年ぶり二度目の優勝を決めた第45回明治神宮大会。今大会で光る活躍を見せた選手を紹介していきたい。

評価を上げた佐藤世那、勝俣翔貴。春に復活を期待したい平沼翔太

優勝投手となった佐藤 世那(仙台育英)
来春には更なる活躍を期待したい

 今大会、一番株を上げたのが佐藤 世那仙台育英)だろう。独特のテイクバックから繰り出す140キロ前後の速球は手元でも伸びがあり、ストレートの質の高さから本格派とイメージしたくなるが、投球内容を見ると技巧派な一面を見せている。佐藤は2種類のフォーク、スライダーを投げ分け、打者の反応を見ながら、ストレート中心で攻めるべきか、フォークで投げるべきかを考えながら投げている。

 投球の基礎は出来ているので、あとはストレートを如何にレベルアップさせることが出来るか。テイクバックが大きいフォームなので、球速が増すほど、故障へのリスクが気になるところだ。ケアを万全に行って、来年1年故障なく過ごし、パフォーマンスを伸ばすことが出来れば、ドラフト指名候補に浮上する可能性は秘めているだろう。

 また、投打でアピールしたのが勝俣 翔貴東海大菅生)だ。130キロ後半の速球に加え、落差あるスライダーでゴリ押しする投球が持ち味。そして勝俣の最大のウリはスタミナだ。準々決勝の静岡戦(試合レポート)では、序盤に球数を重ねながらも、後半になっても130キロ後半を計測。結局、200球近く投げ、完投勝利した。そしてこの試合では打者としても活躍し、弾丸ライナーで右翼席に飛び込む当たりを放った。野手としての評価が高いが、来年は投打両面のレベルアップを期待したい。

 選手権ベスト4右腕・平沼 翔太敦賀気比)は、英明戦(試合レポート)で6回途中でマウンドを降りる悔しいマウンドとなった。そして球速も最速139キロ止まりと不調だった。恐らく甲子園秋季大会国体北信越大会と公式戦が続き、じっくりと練習する時間がなかったのだろう。

 それだけにオフから来年3月までの期間は平沼の才能を伸ばす重要な時期だ。甲子園時には常時140キロ台の直球、キレのある変化球を両サイドに自在に投げ分けており、その投球は、高校2年生右腕の中ではずば抜けた完成度を持っているので、来年はさらなる進化を期待したい。

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[page_break:山﨑颯一郎、森浦大輔の1年生投手の活躍も光った今大会]

山﨑颯一郎、森浦大輔の1年生投手の活躍も光った今大会

将来性の高さをアピールした山崎 颯一郎(敦賀気比)

 右足を高々と上げるフォームから威力ある速球を投げ込む田中 寛大英明)は今大会不調で、球速は最速136キロ止まりだったが、右打者の内角に決まるクロスファイヤーと膝元に決まるチェンジアップの落差のキレが光った。

 東海大四のエース・大澤 志意也(2年)は、球速は135キロ前後だが、コントロールが実に安定しており、キレのあるスライダー、カーブ、チェンジアップを制球よく投げ分けている。その投球センスは昨年のエース・西嶋 亮太を彷彿とさせる。

 宇部鴻城はコールド負けしたものの、2人の投手が目をひいた。右スリークォーターから130キロ後半の速球、キレのある変化球を投げ分ける投球が光ったエースの上西 嵐満(2年)と、同じく右腕から130キロ後半を計測した木場 優大(2年)。
2人とも、来年の夏にかけて140キロ超えが期待できそうな投手だ。また九州学院のエース・伊勢 大夢は右スリークォーター気味のフォームから最速140キロを計測し、速球と変化球を丹念につく投球が光った。

 1年生では、188センチの長身から135キロ前後のストレート、曲がりの大きいカーブを投げ込む山﨑 颯一郎敦賀気比)が、何処まで伸びるか楽しみな逸材だ。

 また静岡のエース・村木 文哉は182センチ68キロと細身ながら、右スリークォーターから130キロ後半を計測している。微妙に揺れ動く球筋も魅力で、身体が出来てくれば楽しみな投手だろう。

 また近畿大会大阪桐蔭を破った天理の1年生左腕・森浦 大輔も、左オーバーから投げ込む130キロ前半の速球にキレがあり、さらに縦の変化球のキレ味も良く、将来性が高い左腕だ。

第45回記念明治神宮野球大会

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[page_break:野手の逸材が集結!その中でもトップクラスの活躍を見せた平沢大河(仙台育英)]

野手の逸材が集結!その中でもトップクラスの活躍を見せた平沢大河(仙台育英)

走攻守のスキルの高さを存分に示した平沢 大河(仙台育英)

 今大会は野手の逸材が多かったが、その中でもトップクラスの活躍を見せた仙台育英平沢 大河だ。 

 神宮大会の3試合すべて安打を記録し、決勝戦(試合レポート)では本塁打を記録。176センチ71キロと細身だが、非常にパワーがあり、さらに体が出来れば、長打が期待できるだろう。また守備範囲の広い守備、三塁打のタイムが11秒02と基準を大きく上回る俊足も魅力である。
守備の確実性を高め、どんな時でも全力疾走をする姿勢を徹底すれば、来年のドラフト指名候補に挙がる存在になるだろう。また4番郡司 裕也(2年)のパワフルな打撃も光った。

 神宮大会までの公式戦で12本塁打を記録した強打の静岡は、好選手が実に多かった。4本塁打を記録した安本 竜二(2年)はパワフルな打撃が目についたが、守備のスピード性を上げていきたいところ。
また、守備力の高さが光る堀内 謙伍(2年)は、東海大菅生戦(試合レポート)で4安打を記録した。その他、抜群のスピードを記録した鈴木 将平(1年)もおり、この3名は来春以降の活躍が楽しみな選手達である。

 バットコントロールが秀でた打者としては敦賀気比篠原 涼(2年)も面白い選手だ。速球、変化球と自在に対応し、高い出塁が期待できる好打者だ。英明森山 海暉(2年)も130キロ後半の速球に対しても振り遅れせず、的確にミートできるのが強みだ。

 明治神宮大会準優勝浦和学院は1年から出場経験のある津田 翔希(2年)の守備力の高さ、また広角に打ち分ける打撃が光った。同じ遊撃の東海大四冨田 勇輝(2年)は右、左に打ち分ける打撃技術がウリ。守備の確実性を高めれば、さらに目をひく選手になるだろう。

 緒戦で敗れたが、近畿大会優勝天理はスラッガー・坂口 漠弥(2年)、常に出塁が期待できる好打者・貞光 広登(2年)、一塁までの塁間3.9秒台で駆け抜ける俊足が光る舩曳 海(2年)の3人が、来年以降も注目野手として名前が挙がる存在になるだろう。

 強打の九州学院敦賀気比戦(試合レポート)で本塁打を記録した中原 力也(2年)、またスタメンでは最も対応力の高さが光る友田 晃聡(2年)、神宮大会では不発だったが、それまでの公式戦で3本塁打を放った松下 且興(1年)も今後の成長が楽しみな選手だ。

 また敦賀気比の1年生ショート・林中 勇輝は178センチ68キロと細身だが、確実性の高い打撃、長打力、軽快な守備、肩の強さ、俊足と走攻守三拍子揃った逸材だ。体の成長とともにどこまで伸びるか楽しみな選手だ。
 

 この大会を機に来年の春の甲子園では、各選手が一回りも二回りも大きく成長した姿を見せてくれることに期待したい。

 (文=河嶋 宗一

第45回記念明治神宮野球大会

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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