第95回全国高校野球選手権大会展望 甲子園に集結した逸材たち(投手編)
注目度NO.1右腕は最速157キロ右腕・安楽だ!
安樂智大投手(済美)
甲子園は47都道府県を勝ち抜いた強豪校が集結する。この夏も将来楽しみな逸材たちが甲子園に集結した。投手、野手を順番に注目選手を紹介していきたい。
今年の注目度No.1は済美(愛媛)の安樂 智大(2年)だろう。やはり157キロが強烈である。愛媛大会準決勝の川之江戦で157キロをマーク。プロの一流投手に匹敵するようなスピードである。ただ安樂はスピードだけではない。抜群の制球力に加え、キレのある変化球を交える投手である。 縦横のスライダーに加え、新たに100キロ前後のカーブを身に付け、緩急を使える投手に成長。愛媛大会では40.1回を投げて46奪三振。失点はわずか5失点。その安楽は大会7日目第2試合に登場する。選抜で4試合連続完投し、決勝戦で敗れ、号泣した。この夏は勝つための投球に徹し、笑顔で終えたい。
開幕日から好投手が登場する。初出場の有田工(佐賀)から古川 侑利(3年)に注目。エースで4番を務める古川は最速146キロを計測する右の本格派。打者としても打率.412を記録し、投打で注目を浴びる。第2試合に登場する日本文理のエース・飯塚 悟史(2年)。185センチの長身から143キロを計測する。大阪桐蔭相手に全力で立ち向かってほしい。
第3試合はオールドファン待望の箕島(和歌山)から182センチの長身右腕・須佐見 将馬(3年)に注目。和歌山大会では33イニングを投げてわずか2失点と抜群の安定感を示している。対する日川(山梨)の山田 基樹(3年)は194センチの長身から140キロ台の速球を計測する大型右腕。山梨大会では最速146キロを計測。甲子園でスケールある投球を披露することが出来れば、一気に評価が高まりそうだ。
[page_break:瀬戸内・山岡、前橋育英・高橋。将来楽しみな投手が続出]瀬戸内・山岡、前橋育英・高橋。将来楽しみな投手が続出
東克樹投手(愛工大名電)
2日目第1試合に登場する愛工大名電(愛知)の東 克樹(3年)は40イニングを投げてわずか3四死球という抜群の制球力が光る好左腕。真上から振り下ろすオーバーハンドで、140キロ前後の速球を制球力投げるリリースポイントの良さがある。
大会3日目は星稜(石川)のエース・岩下 大輝(2年)は2年生ながら140キロを超える直球とフォークを武器にする本格派右腕。防御率1.07と抜群の安定感が光る。宿敵・遊学館を抑え見事甲子園出場に貢献した。初出場の奈良桜井(奈良)はエース・竹野 康平(3年)に注目。180センチの長身から切れのある直球、カーブを投げる技巧派左腕。勝利を導く粘り強い投球を魅せたい。
福井商(福井)は1年夏から甲子園出場経験を積む中村 文英(3年)に注目したい。1年夏の甲子園では荒削りながら140キロを計測した速球派右腕。今では最速146キロまで伸ばし、キレの有るスライダーに加え、縦の変化球を交え完成度の高い投手へ成長。プロのスカウトを惹きつける投球を見せるか注目したい。
大会4日目には上田西(長野)は、第2試合で登場の福知山成美(京都)は最速140キロ台の速球を投げ込む右の本格派・仲村渠 康太(3年)に注目。準決勝、決勝で2試合連続完封を成し遂げた投球を全国の舞台で発揮したい。原動力初出場の西脇工(兵庫)のエース・翁田 勝基(3年)は球持ちの良いフォームから投げ込む伸びのある140キロ前後の直球、縦横のスライダーを内外角にピタッと投げ分ける制球力が光る。力強さと巧さを兼ね備えた好投手で、西脇工旋風を巻き起こすことができるか。その西脇工と対する石見智翠館(島根)は182センチの大型左腕・田部 稜太(3年)に注目。田部は42.2回を投げて45奪三振を奪っている。ポテンシャルの高さを示すことができるか
大会5日目からは前橋育英(群馬)の高橋 光成(2年)に注目。関東大会決勝戦で浦和学院と対戦。4失点完投負けは喫したが、潜在能力の高さは示した。最速144キロの直球にスライダー、カーブ、フォークを披露。長身投手にはバランスの良いフォームが光っていた。この夏は最速148キロまで伸ばした。この世代は安樂だけではないということを見せて欲しい。
前橋育英と対する岩国商(山口)はエース・高橋 由弥(3年)は最速140キロの直球、スライダー、チェンジアップ、スクリューを軸に今年の選抜では履正社を完封。テクニックが光る技巧派左腕という印象を受けたが、この夏は力強さが増しているか。
山岡泰輔投手(瀬戸内)
大会6日目には2年ぶりの甲子園出場の原動力となった横浜(神奈川)の伊藤 将司(2年)は成瀬善久(ロッテ)を彷彿とさせるようなフォームからキレのある130キロ台の直球、カーブ、チェンジアップ、スライダーを打ちにくいコースへ投げ分ける。淡々と打者を打ち取り、決勝の平塚学園戦で完封を成し遂げた。第2試合に登場する日大三は身長は160センチ台ながら140キロ台の速球を連発する大場 遼太郎(3年)、148キロ右腕・三輪 昂平(2年)の二枚看板を要する日大三(西東京)。初出場の彦根東(滋賀)はエース・平尾 拓也(3年)に注目。130キロ台の直球、キレのある変化球で狙い球を絞らない投球を得意とする好左腕だ。
花巻東(岩手)は岸里 亮佑(3年)に注目。投手として140キロ超の速球を投げ、高校通算30本塁打を放つ長打力が光る男だ。
第4試合は瀬戸内(広島)の山岡 泰輔(3年)は躍動感あるフォームから常時140キロ台の直球、鋭い変化を見せる縦横2種類のスライダー、カーブを投げ分け、広島大会では58.1回を投げて64奪三振、失点は僅かに5失点と抜群の内容。今大会注目の一人である。瀬戸内と対する明徳義塾(高知)はエース岸 潤一郎(2年)に注目。常時140キロ前後の直球、縦の変化球をバリエーションとする好投手。両投手が持ち味を発揮すれば、終盤まで投手戦が展開されそうだ。
大会7日目第1試合に登場する初出場の富山第一(富山)は140キロ台の速球、キレのある変化球を投げ分けるエース宮本 幸治(3年)に注目だ。済美と対戦する三重(三重)は140キロ台の直球を投げる政木 拓真(3年)は県大会1試合の登板にとどまったが、甲子園では出番がありそうだ。
(文・河嶋 宗一)