第85回選抜の選考を振り返る【近畿、中国、四国、九州 編】
地区 | 高校名 | 都道府県 | 出場回数 |
---|---|---|---|
近畿 | 京都翔英 | 京都 | 初出場 |
報徳学園 | 兵庫 | 2年ぶり19回目 | |
大阪桐蔭 | 大阪 | 2年連続6回目 | |
龍谷大平安 | 京都 | 5年ぶり37回目 | |
履正社 | 大阪 | 3年連続5回目 | |
大和広陵 | 奈良 | 28年ぶり2回目 | |
中国 | 関西 | 岡山 | 2年ぶり12回目 |
広島広陵 | 広島 | 3年ぶり23回目 | |
岩国商 | 山口 | 初出場 | |
四国 | 高知 | 高知 | 2年連続17回目 |
鳴門 | 徳島 | 2年連続8回目 | |
済美 | 愛媛 | 9年ぶり2回目 | |
九州/沖縄 | 沖縄尚学 | 沖縄 | 5年ぶり5回目 |
済々黌 | 熊本 | 55年ぶり4回目 | |
創成館 | 長崎 | 初出場 | |
尚志館 | 鹿児島 | 初出場 |
近畿地区 枠6・候補校17
勝利を喜ぶ京都翔英ナイン(12,秋季近畿大会より)
■ 報徳学園(兵庫県)
エース・乾陽平のボールのキレは抜群で、秋季大会全体の防御率は1.00。近畿大会ではNO1の投手であると高評価を得た。打線もシャープなスイングで長打力も兼ね備えており、加えて盗塁や犠打など手堅く隙のない野球スタイルを見せる総合力の高いチームという声が多かった。
■ 大阪桐蔭(大阪府)
甲子園春夏連覇を果たした旧チームの主力が4人残り、安定した戦いぶりを見せた。ただ課題は投手力の整備で、打線も柔らかくて力強いものの、やや繋がりに欠ける部分が見受けられた。それでも一冬を超えての成長が楽しみと付け加えられた。
■ 龍谷大平安(京都府)
大会に入り一戦毎に力をつけたと評された。エースの福岡拓弥は変化球を巧みに操り、コントロールも良く失点の少ない安定した投手。打線も犠打を多用し着実に得点をするまとまったチーム。
■ 履正社(大阪府)
伝統である、きめの細かい着実に塁を進める攻撃は健在。左本格派・東野龍二の走者を出しても後続を断ちきるしぶといピッチングを見せる集中力も加味されて、ベスト8組で最初の選出となった。
■ 大和広陵(奈良県)
ラスト1枠は奈良勢の2校に初戦で敗れた神戸国際大附と関西学院を加えて検討されたが、140キロの直球を誇る1年生エース・立田将太のいる同校が選出された。立田は県大会4試合で失点0、近畿大会でも失点3と好投。将来が非常に楽しみと高評価を得た。打つ方でも立田が中心になるが、繋がりの乏しさが春へ向けての課題であるという声もあった。
補欠1位 天理
大和広陵に県大会で勝ったものの、近畿大会でのコールド負けが響いて補欠校となった。
補欠2位 神戸国際大附
優勝した京都翔英に競り合いを演じた点で、初戦敗退ながら補欠校となった。
中国地区 枠3・候補校14
中国大会を制した関西(12,秋季中国大会より)
■ 広島広陵(広島県)
全員野球で粘り強く、精神的に強いチームと評された。エースの下石涼太は174センチ70キロの体だが、最速144キロの直球にキレがあり、度胸のあるピッチングを見せる。春へ向けては緩急をつけたピッチングが課題としてあがった。攻撃では旧チームからのメンバーがクリーンアップに座り破壊力もある。全体ではコンパクトに逆方向へ良く打つ印象があった。守りは決して派手ではないが、体の正面に入る基本に忠実なプレーが見られる。
■ 岩国商(山口県)
同じ山口の岩国と争ったが、お互いが敗れた準決勝の試合内容が決め手になって岩国商が3校目として選出された。エースの高橋由弥は左スリークォーターから投じられる直球にキレがある。さらに鋭いスライダーも武器で、中国大会では1回戦と準々決勝で連続完封した。3試合、11得点15安打で打撃向上が課題として残った。
四国地区 枠3・候補校11
優勝して歓喜の高知ナイン(12,秋季四国大会より)
■ 鳴門(徳島県)
昨夏のレギュラー5人が残り、1番から9番まで息が抜けない打線。さらに1球目から積極的に打ってくる印象が残った。秋季大会全体にチーム打率は3割8分9厘の『渦潮打線』は健在という声が多かった。エースの坂東湧梧は、低めを丁寧に突く粘り強いピッチングで打たせて取るタイプ。山下地区別小委員長は、今後体重がつけばおもしろい投手と評した。
■ 済美(愛媛県)
準決勝での接戦と、投手力、地域性がポイントになって、3校目に選出された。登録メンバーに1年生が10人いる発展途上のチームという印象が強かった。チームの特徴は、四国地区NO1投手と評される1年生エースの安樂智大。186センチ84キロの体格で、秋季大会7試合に登板して防御率が1.74。奪三振は87個に達した。直球が速く、球種も多彩だが、緩急をつけたピッチングが課題に挙がった。準決勝では8回まで15三振を奪い4対1で鳴門にリードしていたが、9回に三連打と失策などで逆転サヨナラ負けを喫した。チームとしては攻撃力のアップもテーマになる。
九州地区 枠4・候補校18
昨秋の九州王者・沖縄尚学(12,秋季九州大会より)
打線は1番の諸見里匠をはじめとした積極的な打撃、機動力を生かした走塁が際立つ。ただ、ヒット数の割にタイムリー打が少ないのが気になる部分という印象が残った。それでも決勝の済々黌戦で、大竹耕太郎投手を9回に打ち込み圧倒した打撃は、全国大会で十分通用に戦えるとの声もあった。
■ 済々黌(熊本県)
夏の甲子園を経験した左腕・大竹耕太郎が投打の中心となり、ソツのない攻撃と堅実な守備が光ったと評された。九州4試合全てで完投した大竹は140キロ近い直球と、カーブ、スライダー、チェンジアップを使い分け打者を翻弄した。打線はコンパクトなスイングを心掛け、セーフティバントやエンドランなどこのチームらしい攻撃を展開した。投手が安定しているだけに、打線のレベルアップを図れば全国大会でも十分期待できるという評価を得た。
■ 創成館(長崎県)
ベスト8組も加え6チームで検討されたが、2年連続ベスト4の同校が3校目に選出された。準決勝で大敗したが、大会注目の右腕・大野拓麻は鹿児島情報、久留米商といった県1位校を含む3試合連続の完封を遂げた。バックの守備陣もともに大いに評価できるとの声も大きかった。さらに試合の中で頑張る姿が前年のチーム以上に感じたという意見があったことも、選出のポイントになった。
■ 尚志館(鹿児島県)
同じく準決勝は大敗だったが、練習の7割を打撃に費やし、今大会でも集中打を見せた文字通りの『攻撃型チーム』と評された。こちらも佐賀北、長崎日大の1位校相手にビッグイニングを作って逆転で連勝したのは見事だと称賛された。右腕の吉國拓哉は全3試合で完投。内、外角を強気で押し、要所を粘り強く凌いだ投球が光った。課題は3試合で9失策した守備陣の整備と、9安打しながら完封された済々黌戦の反省。好投手と対戦したゲームでの対抗策を期待したい片岡地区別小委員長は話した。大隅半島からの甲子園は春夏通じて初めてで、この地域の球場達の球児たち大きな励みとなるとも付け加えられた。
補欠1位 熊本工
優勝した沖縄尚学に惜敗したチーム力は評価のポイントになった。
補欠2位 宮崎日大
145キロの直球を中心に思い切りの良いピッチングをする甲斐翼が柱。ただ連投で力尽きたスタミナを課題にしてほしいという声もあった。