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第53回 第94回全国高校野球選手権大会総括2012年08月24日

【目次】
[1] 史上初の同一カード決勝戦 強さを維持した両校の健闘が光る
[2] 常にうならされた堅守・東海大甲府、緻密な試合運びを見せた明徳義塾
    歴史的記録と強烈な記憶を残した桐光学園・松井裕樹
[3] 試合時間1時間59分、先頭打者本塁打4本、56本が示す先行逃げ切り型スタイルの急増

史上初の同一カード決勝戦 強さを維持した両校の健闘が光る

▲藤浪 晋太郎(大阪桐蔭)

 史上初の同一カード決勝戦は大阪桐蔭が3対0で光星学院を再び下し、2年ぶり7校目の春夏連覇を成し遂げた。それにしても両校、全く相手を寄せ付けない強さだった。勝ち上がり方が実に淡々。大きな波乱もなく、自分たちのペースで勝ち上がった。このブレのない戦い方だからこそ、2連覇を成し遂げ、そして三季連続決勝進出を成し遂げたのだろう。

 全国トップレベルの強さを2年近く維持するというのは並大抵のことではないのである。それだけに両校はここまで勝ち進んだだけでも大きな価値がある。大阪桐蔭の連覇が出来た要因。一番はエース藤浪 晋太郎が絶対的な実力、安定感を備えたことだ。

 去年の藤浪はスピードが145キロ前後。スライダー、フォークを投げ分け、既に全国クラスの実力が備わっていた。しかし終盤になると甘い球が増え、打ち込まれる傾向があり、甲子園をあと一歩で逃してきた。終盤に打ち込まれやすい。全国制覇を狙う大阪桐蔭にとっては一つの懸念材料だった。

 しかしセンバツからこの夏にかけて成長した姿を見せ、特にこの夏の投球は高校生レベルでもずば抜けた投球を見せた。常時140キロ後半の速球を高低に投げ分ける技術を備え、スライダー、縦スライダー、フォークの精度はさらに増し、一試合通して出来るスタミナがついた。

 そして正捕手・森 友哉が打者の狙いを外す絶妙なリードで、藤浪の持ち味を活かしたのも見事だった。夏は打高投低の傾向が強まり、今年は大会2位の56本塁打を飛び出すなど、投手受難の大会。その中で、藤浪は防御率0.50、奪三振率12.25、被安打率3.50と文句付けようがない成績を残した。如何にして彼が別格の存在であったかが伺える数字であろう。最強の投手が期待通りの結果を残し、全国の頂点に登ったのである。

 そして打線は森 友哉田端 良基だけではなく、2回戦でホームランを打った笠松 悠哉決勝戦でホームランを打った白水 健太と下位からでも得点が取れる打線であることをアピール。投打が絡みあっての春夏連覇。素晴らしいチームであった。

 光星学院は勝負所を逃さない果敢な猛打は今年も健在であった。特に3番田村 龍弘、4番北條 史也のクリーンナップは圧巻であった。田村は173センチとは思えないほどの威圧感のある構えから、甘い球は豪快に振り抜き、そして難しい球は執拗にカットし、コンパクトなスイングで、窮屈な内角を捌く巧打も披露し、4番北條は懐の深い構えから、ゆったりとタイミングを取って、右腕を強く押し込んだパワフルなスイングで、大会記録にあと1本に迫る4本塁打。うち3本塁打がバックスクリーンと内容があり、そして強烈な印象を与える本塁打ばかりであった。北條は決勝まで打点を叩きだす勝負強さを発揮し、4番打者としての働きを全う。光星学院打線も相手を寄せ付けない強さがあった。

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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