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すべてが激戦の予感しかない甲子園準々決勝4試合の見どころを徹底紹介

2022.08.18

すべてが激戦の予感しかない甲子園準々決勝4試合の見どころを徹底紹介 | 高校野球ドットコム

 連日、熱戦が繰り広げられてきた第104回全国高校野球選手権は18日、いよいよ準々決勝を迎える。

 激戦が予想される4試合の見どころを徹底的に紹介したい。

仙台育英は愛工大名電の機動力を封じることができるか?愛工大名電はリリーフエースの起用が鍵か

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愛工大名電・有馬、仙台育英・尾形

第1試合 仙台育英(宮城)vs愛工大名電(愛知)

 ともに複数投手陣を擁し、機動力をウリとする点では共通しているが、躊躇なく継投をしてきた仙台育英に対して、愛工大名電は、これまで有馬 伽久投手(3年)を引っ張ってきた傾向にある。仙台育英打線としては、序盤から有馬を捉えていきたいところだ。

 仙台育英は、愛工大名電が機動力野球を使うだけに、3回戦同様、左腕投手が鍵になってきそうだ。古川 翼投手(3年)、斎藤 蓉投手(3年)が愛工大名電の各打者の弱点を突いた投球ができるか。

 さらに強肩の尾形 樹人捕手(2年)のスローイングや、ランナーケアも鍵になってくる。

 愛工大名電は、走攻守で躍動している二塁手の市橋 昂士内野手(3年)がキーマン。勝負強さを発揮し、仙台育英を追い詰めていきたい。

 投手起用のポイントとして、有馬が途中で降板する可能性が高いことを考えると、リリーフ起用が鍵となる。まず期待したいのが、岩瀬法樹投手(3年)だ。

 130キロ後半の速球に、スライダー、ツーシーム、カットボールなど、多彩な変化球を駆使して抑える投手。走者を背負った状態でも、難なく投げられるメンタルの強さが魅力で、この岩瀬をどの場面で投入するかがポイントだ。

 試合展開としては、シーソーゲームが期待される。序盤から投手戦となれば、2点〜4点勝負。または、試合がいきなり動けば、5点〜7点勝負のゲームになるのではないだろうか。

浅野翔吾vs山田陽翔は名勝負になる予感も…全国制覇を狙う近江は投手運用が鍵となる

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近江・山田、高松商・浅野

第2試合 高松商(香川)vs近江(滋賀)

 

 この試合で注目は、2回戦で2打席連続弾を放ち、話題となった高松商浅野翔吾外野手(3年)と、甲子園通算10勝、98奪三振と、3回の甲子園出場で、歴代上位の通算成績を残す近江山田陽翔投手(3年)という、今年の高校野球を代表するスター同士の対決が実現することだ。

 浅野はこれまで勝負を避けられる傾向にあったが、ここは山田と浅野の力と力の勝負が繰り広げられることが予想され、高校野球史に残る名勝負が期待できそう。

 山田はおそらく浅野に対してフルスロットルで勝負する。140キロ後半の速球と140キロを超えるツーシームで勝負する投球が期待される。

 一方、浅野は今年のアマチュア球界でもトップクラスの能力を誇る山田相手にどんな打撃を見せるか。対応力が試される試合でもある。

 2人の対決以外では、滋賀県勢初の優勝を狙う近江は、山田の負担をいかに減らせるかについても考えないといけない。

 山田の球数を抑えて、勝てる試合を1試合作りたいところだ。それを踏まえると、準々決勝ではいろんな投手を試せるチャンスではある。

 近江のベンチ入り投手は、ここまで2試合に登板している左腕・星野 世那投手(3年)をはじめ、大型右腕・小島 一哲投手(3年)、左の技巧派・ 外義 来都投手(3年)、期待の好左腕・河越 大輝投手(1年)と楽しみな投手はいる。

 山田以外の投手を起用するのであれば、夏の甲子園でのマウンドを経験している星野の登板が有力。ここで星野が神ピッチを見せれば、近江は戦いやすい展開になる。

 打線では山田以外に左の好打者たちがどれだけ仕事を行い、山田につなげるかがキーポイントとなる。

 高松商はその思惑を崩す強打を見せていきたい。俊足・浅野を中心に機動力を絡め、失敗が多かったバントをしっかりと決め、着実に点を重ねて近江にプレッシャーを与えていきたい。

 両チームの攻撃力、戦略などをいろいろ勘案して、5点〜8点勝負の展開になるのではないか。


大阪桐蔭は難敵・下関国際相手にどう戦うべきか?王者撃破へ向けて下関国際のキーマンになるのは?

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大阪桐蔭vs下関国際

第3試合 大阪桐蔭(大阪)vs下関国際(山口)

 大阪桐蔭にとっては強敵との対戦だ。下関国際は大会前にも優勝候補・大阪桐蔭に対抗できる8チームの中で名前を挙げさせていただいたチームの1つ。

 理由として、140キロを超える2投手、左腕・古賀康誠投手(3年)と、右腕・仲井 慎投手(3年)の存在がある。大阪桐蔭がやや苦手としている左腕の本格派がいる。

 さらに大阪桐蔭の過去の敗退パターンを振り返ると、速球派のリリーバーに抑え込まれた試合が多い。下関国際の投手陣には、大阪桐蔭を抑える条件が揃っているのだ。

 また、戦術が多彩で、巧打者も多く、タフな試合になることは間違いない。先発が予想される古賀は、3回戦で大阪桐蔭打線を無失点に抑えた二松学舎大附(東東京)・布施東海投手(3年)が見せた緩急自在の投球ができるかどうかが鍵となるだろう。

 また大阪桐蔭の各打者の傾向を踏まえた守備シフトも考えられ、打たせて取る投球も重要となる。

 逆に大阪桐蔭サイドは、左腕・前田悠伍投手(2年)の投球が鍵となる。左の好打者が多く、仕掛けることが多い相手には、牽制も優れた前田がやはりキーマンとなる。

 投球内容も、左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップを使え、さらに高校生としてはハイレベルなカットボールを使える。前田が先発となれば、中3日での登板。もし二松学舎大附戦が苦しい試合展開となって前田を起用していれば、中1日だった。この差は大きい。それだけに3回戦で完封した川原の復活は大きかった。

 打線は1番・伊藤 櫂人内野手(3年)の働きが鍵になる。ミート力だけではなく、相手のスキを突いて、果敢に次の塁を狙う積極的な走塁姿勢でチームに勢いをもたらしている。

 また、狙い球が絞りきれず、3回戦では思うような結果を残せなかった松尾 汐恩捕手(3年)が超高校級捕手に相応しい結果を残すことを期待したい。

 試合は3点〜5点勝負の展開になるのではないだろうか。

聖光学院は5人の中心打者が機能するか?九州学院は予想を上回る強打を発揮できるか?

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九州学院・村上、聖光学院・山浅

第4試合 聖光学院(福島)vs九州学院(熊本)

 ともに勝てば初のベスト4進出となるこの一戦。聖光学院は攻撃力が高く、1番赤堀颯内野手、3番安田淳平外野手、5番山浅龍之介捕手の3年生トリオと、2番髙中一樹内野手、4番三好元気外野手の2年生コンビの計5人は、敦賀気比戦で14安打中、10本を記録した。

 夏の甲子園だけではなく、これまでの公式戦でもこの5人が機能して試合をひっくり返している。聖光学院サイドとしてはこの5人を武器に、九州学院投手陣を攻略していきたいところだろう。

 エース・佐山未來投手(3年)は3回戦で打線の援護もあり、7回でマウンドを降りた。史上最高の成績を残すには、大量援護で、早い回で降りられる展開にしたい。

 左腕・小林 剛介投手(3年)、アンダースロー・小松 桜吏投手(2年)も控えているが、彼らが先発するというよりも、佐山が試合を作って、リードして彼らにつなぐパターンのほうが落ち着きやすいと考えているだけに、投手起用は注目だ。

 九州学院は打線の状態も上がってきた。注目スラッガー・村上慶太内野手(3年)も2試合連続で安打を放っており、この試合でも勝負強い打撃で結果を残せば、一気にチームが勢いづく。

 村上の前後を打つ3番・ 園村 慧人外野手(3年)、5番・ 松下 翔内野手(3年)、6番・後藤 大和外野手(3年)も勝負強い打者で、予想を上回る強打を見せれば、聖光学院を破る可能性は十二分にある。

 3回戦で完封勝利を記録した直江 新投手(2年)は、この試合も快投とまではいかなそう。とはいえ、守備自体は安定しているので、ピンチの場面で守り、最少失点に凌いで、接戦で後半戦に持ち込みたい。

 ベスト4最後の試合を決める一戦として名試合になることを期待したい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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