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宿敵同士の再戦か?それともジャイアントキリング達成か?【秋季沖縄県大会準々決勝 展望・前編】

2019.09.26

 69回目を数える沖縄県高校野球秋季大会は24日、3回戦を終えベスト8が出揃った。新人中央大会覇者の沖縄水産をはじめ、本部美里工と新人4強のうち3校が順当に勝ち上がってきた中で、部員僅か13名の八重山農が旋風を巻き起こすなど、大会を通して成長してきたチームも多い。そこで8強がぶつかる準々決勝を中心に、ここから上の展望を書いてみようと思う。

ジャイアントキリングを起こす可能性あり

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好調の與儀哲(嘉手納)

 第1シードの沖縄水産。前評判の高さは、前チームをも凌ぐようだ。圧巻だったのはやはり3回戦の興南戦だろう。秋の大会4年連続で決勝進出をきめてきた興南を、10-2のコールドで飲み込んだ。中部商戦を合わせ、12イニングで21得点!

 興南戦の初回、レフトへの先制二塁打を放った好打者の呼び声高い4番内原が、7打数4安打3打点。しかもチーム打率はなんと.492。ここ近年で間違いなくトップの数字であろう。どこからでも得点することが出来る、最恐打線。誰に聞いてもいま一番強いチームとの声がかえってくる。それが沖縄水産だ。

迎え撃つ嘉手納は、例年のような力強さは無い。しかし大会を通して成長してきたチームのひとつ。投打で柱となる新垣は成績こそパッとしないが、身体能力の高さを随所で感じさせる。3回戦の八重山戦では最終回に再登板し、138kmをマーク。ショートとしての守りにも不安はあるが、球際の強さを披露。いわゆる、スイッチが入ると手がつけられない選手のタイプではないかと個人的に思う。

 脇を打線では1,2番を務める久場・與儀哲のコンビが好調。2,3回戦での2人の成績は15打数9安打6打点と、沖縄水産打線に劣らない。4番を務める新垣が3試合で8打数5安打。

この両者の対戦。8-2で沖縄水産有利と読むが、嘉手納の三人が120%の力を発揮したならば。ジャイアントキリングを起こす可能性はあると見る。

新人4強の本部が私学の雄・沖縄尚学に挑む

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打線を引っ張る1番の島袋(本部)

新人4強の本部は、美来工科戦では21安打と打ち勝ち、普天間戦では1-0ゲームを制するなど、力強さと我慢強さが同居する素晴らしいチームに仕上がった。打線を引っ張る1番の島袋は9打数7安打4打点と、手がつけられないほど好調を維持。

 普天間戦で完封リレーをした幸地と川田の二枚看板は制球こそ課題だが、粘りのピッチングを見せる。中でも長身の川田は被打率.195、奪三振率8.00と非凡。新人中央でも興南の打者10人に対し1安打しか許さなかったその右腕で、もう一つの私学の雄、沖縄尚学をも飲み込むか!?

新人中央大会で沖縄水産に4-11で敗れた沖縄尚学は、本部戦に勝ってリベンジを目論む。

 今秋、10回と2/3イニングを投げ被打率.108、16奪三振と好調の大湾もいるがやはりエースは永山。浦添商戦では2回から登板した永山は、そのまま9回まで投げきり11奪三振をマーク。その永山は新人中央大会での沖縄水産戦では投げなかっただけに、本部戦でも永山抜きで勝ち、万全の状態で沖縄水産戦にぶつけたいのが比嘉監督ではないだろうか。

 打線の中心は3番與谷。これまで7打数3安打、4つの四死球を含め出塁率の高さを示している。4番の崔に本来の当たりが戻ってきたなら、というところか。

この両者の対戦、5-5と全く読めない。どちらが勝っても不思議ではない。それほどまでに本部の今回の強さは本物なのだ。ただし、両者が死闘を繰り広げ、総力戦の末に準決勝へ勝ち進んだとするならば、(沖縄水産嘉手納に勝ったとした場合)決勝に進むのは難しいだろう。本部なら幸地・川田二枚看板のうちどちらか。沖縄尚学なら永山。主戦投手を出来るだけ温存するためにも打線が助けてやりたい。

(記事=當山 雅通

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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