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窮地を脱して「三冠」へ王手をかける 神戸弘陵女子硬式野球部【前編】

2019.07.24

明後日26日開幕!全国高等学校女子硬式野球選手権大会出場 応援企画(全3回)

 創部6年目ながらすでに6度の日本一を経験している神戸弘陵女子硬式野球部。春季リーグで最優秀投手賞に輝いた龍田美咲(京都フローラ)をはじめ、プロや大学で活躍するOGも多数いる。

 全国で女子野球部が増えている中で着実に実績を積み重ねている神戸弘陵のこれまでの歩みや取り組みなどについて迫った。

今年こそ3冠を狙っていく!

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神戸弘陵女子硬式野球部の集合写真

 男子は春4回、夏1回の甲子園出場経験がある神戸弘陵
 その全てに監督、コーチとして関わった石原康司監督が2014年の創部当初から指揮を執っている。部の歴史は浅いが、その戦績は輝かしい。

 創部3年目の2016年に全国高等学校女子硬式野球選手権大会で初の全国制覇に輝くと、女子硬式野球ユース大会で3連覇、全国高等学校女子硬式野球選抜大会で2連覇とそれぞれ連覇を継続している。

 昨年のチームはユース大会と選抜を制して3冠に王手をかけていた。しかし、夏の選手権ではまさかの初戦敗退。「勝負の怖さを味わいました」(石原監督)と勝つことの難しさを実感させられた。

 現3年生は入学時から良い選手が揃っており、石原監督もこの代で「そこそこ結果を出したい」と思っていたという。当初は「この学年で一つ優勝したい」と考えていたが、その前の代で2冠したことでその上である3冠を目指すことになった。

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[page_break:2冠を達成も、夏に向けて気持ちを引き締める]

2冠を達成も、夏に向けて気持ちを引き締める

窮地を脱して「三冠」へ王手をかける 神戸弘陵女子硬式野球部【前編】 | 高校野球ドットコム
ベンチ前に集まる神戸弘陵女子硬式野球部の選手たち

 新チームとして臨む最初の公式戦は8月のユース大会。しかし、大会直前にエースの佐伯絵美(3年)がヘルニアで戦線離脱となってしまう。いきなり窮地に立たされたが、決勝までは約1週間あり、勝ち進むことができれば最後の1イニングで佐伯を投げさせることができるかもしれないとチームが一つになった。

 投手陣は控えの池上明里(3年)と松本桃(3年)が佐伯の不在をカバー。初戦の開志学園戦を5対4の接戦でものにすると、その勢いで順調に勝ち進む。「一球に込める想いが熱くて、絶対に優勝するんだというのが伝わってきました」と佐伯は仲間の活躍を頼もしく見守っていた。決勝の岐阜第一戦では5点リードの7回二死で佐伯が登板。最後の打者から三振を奪って大会3連覇を勝ち取った。

 ユース大会で優勝した時のことを「夢のようでした。嬉しいというよりも仲間に感謝という気持ちでした」と振り返る佐伯。「仲間への恩返し」をテーマに掲げて冬場は練習に取り組んでいたという。春の選抜では佐伯がユース大会の借りを返す働きを見せた。1回戦から全ての試合を投げ抜き、1失点の大活躍。7日間で5試合を戦うというハードスケジュールだったが、「その時は1試合に懸けていたので、全部投げている感じはしなかった」(佐伯)と疲労は全く感じていなかったそうだ。

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チームを率いる石原康司監督

 決勝のクラーク記念国際戦では「残塁が多く、前半に攻めきれなかった」(石原監督)と0対0の展開が続いたが、「点を取られる気はしなかったので、負ける気はしなかったです」と佐伯は最後まで絶好調だった。
 打線は好投する佐伯を援護できていなかったが、7回裏の二死一、三塁から副主将・米谷奈月(3年)適時打でサヨナラ勝ち。殊勲の一打を放った米谷は「冬にやってきたことが全部報われる瞬間だったので、嬉しかったです。チームが一つになるようにやってきて、最後にみんなで一緒に喜べたので、冬頑張ってきた甲斐があったなと思います」と優勝の喜びをかみしめた。

 「どちらの大会もドラマチックだった」(石原監督)という形で2冠を達成した神戸弘陵。夏の選手権を勝てば3冠達成となるが、昨年の苦い経験もあり、そう簡単に成し遂げられるものとは考えていない。米谷も「夏は春以上に厳しい戦いになる」と気を引き締めている。

後編は本日18時に公開!お楽しみに!

【後編を読む】新戦力も整い、最後は「嬉し涙を流す」 神戸弘陵女子硬式野球部【後編】

文=馬場 遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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