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【高知展望】明徳義塾「V9ロード」を止めるのは誰か

2018.07.14

明徳義塾「V9ロード」を止めるのは誰か

【高知展望】明徳義塾「V9ロード」を止めるのは誰か | 高校野球ドットコム
V9を目指す明徳義塾

 1名の尊い命が失われ、物的被害も甚大だった「平成30年7月豪雨」からの復旧途上にある高知県。そんな最中、7月14日(土)に8時半よりより[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]で「第100回全国高等学校野球選手権記念高知大会」は開会式を迎える。

 
 

 今年も昨年同様、連合チームは高知丸の内室戸、高知清水・幡多農窪川の2チームが参戦し、31校28チームが参加。7月26日(木)13:00からの決勝戦まで27試合の熱戦が展開される。

 

 同大会最大の焦点はやはり昨年まで高知大会8連覇を続ける明徳義塾の9連覇と、それを第2シード・高知、第3シード・高知商、第4シード・土佐を含む27チームがいかにして止められるか。そこで今回は一年間の大会結果と6月30日に決まった組み合わせを踏まえ、「明徳義塾V9ロード」を止めにいくチーム、逸材たちを紹介していきたい。

 

開催地
[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium] 1回戦~決勝戦
[stadium]高知市営球場[/stadium] 1回戦
入場料金:大人500円 中学生・高校生100円 小学生以下無料
開会式:7月14日(土)8:30 [stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]
1回戦12試合:7月14日(土)~16日(月・祝)
*14日(土)
[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium] 3試合 9:00開始
[stadium]高知市営球場[/stadium] 3試合 9:00開始
*16日(月・祝)
[stadium]高知市営球場[/stadium] 2試合 10:00開始

2回戦8試合:7月16日(月・祝)・20日(金)・21日(土)
[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]
7月16日(月・祝)・20日(金) 3試合 9:00開始
7月21日(木)2試合 10:00開始
*7月17日(火)~19日(木)授業のため休養日
準々決勝4試合 7月22日(日)・23日(月)[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium]
2試合ずつ 2日間とも10:00開始
<7月24日(火)休養日>
準決勝2試合 7月25日(水)[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium] 10:00開始
決勝戦:7月26日(木)[stadium]高知県立春野運動公園野球場[/stadium] 13:00開始

<2017年夏~ここまでの高知県大会結果>

第99回全国高等学校野球選手権高知大会
*第1シード:明徳義塾、第2シード:高知中村、第3シード:高知中央、第4シード:岡豊
優勝:明徳義塾(8年連続19回目)
甲子園は2回戦で前橋育英(群馬)に1対3で敗戦
準優勝:梼原
ベスト4:岡豊、高知中村
ベスト8:高知南高知宿毛工宿毛

高知県選抜大会(新人戦)予備戦を行い16チームが本大会参加

*シード(本大会から出場)明徳義塾、高知中村、梼原岡豊高知土佐高知中央高知商
優勝:高知(2年ぶり21度目) 
準優勝:明徳義塾
ベスト4:高知追手前高知商
ベスト8:高知中村、高知工高知中央岡豊

秋季高知県大会
 
*第1シード:高知第2シード:明徳義塾 第3シード:高知商 第4シード:高知追手前(第3シード・第4シードは抽選で決定)

優勝:明徳義塾(2年ぶり19回目)
秋季四国大会5年連続29回目の出場・決勝戦で英明(香川1位)を破り2年連続9回目の優勝
明治神宮大会年2連続7回目の出場・決勝戦で創成館(九州・長崎)を破り36年ぶり2度目の優勝
準優勝:高知
秋季四国大会3年ぶり32回目の出場・準々決勝で英明(香川1位)に敗退
3位:高知追手前
秋季四国大会4年ぶり2回目の出場・1回戦で大手前高松(香川2位)に延長13回敗退
4位:高知商
ベスト8:高知中村、宿毛伊野商梼原

 

センバツ出場
明徳義塾(3年連続18回目)
センバツでは1勝をあげ3回戦で日本航空石川(石川)に1-3で敗戦
高知(5年ぶり18回目)
センバツでは2回戦(初戦)で明秀日立(茨城)に1-10で敗戦
高知追手前はセンバツ21世紀枠補欠校2位

春季高知県大会 県大会シード制なし
優勝:高知商(5年ぶり26度目)
春季四国大会順位決定戦 明徳義塾8×-7高知商
高知2位校で春季四国大会出場(5年ぶり26回目)・1回戦で鳴門(徳島1位)に敗退
*春季四国大会代表校順位決定戦予備戦 明徳義塾2-0高知
春季四国大会高知県1位校・明徳義塾(5年連続23回目の出場)
1回戦で大手前高松(香川1位)に敗退
準優勝:土佐
ベスト4:宿毛高知西
ベスト8:伊野商土佐塾、高知中村、須崎

高知県総体野球の部 予備戦を行い16チームが本大会参加>br/>
*シード8校(本大会から出場)明徳義塾高知高知商宿毛土佐高知追手前伊野商、高知中村
優勝:明徳義塾(3年連続23度目) 
準優勝:高知
ベスト4:土佐高知小津
ベスト8:高知中村、安芸宿毛高知商

[page_break:明徳義塾、大黒柱の自律と野手陣競争で「V9」の先へ]

明徳義塾、大黒柱の自律と野手陣競争で「V9」の先へ

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市川 悠太(明徳義塾)

<第1シード:明徳義塾ゾーン>

 明治神宮大会を制し、高校日本一を獲得した昨秋から一転、センバツは日本航空石川にサヨナラ3ランを浴び、春季四国大会も大手前高松の前に準決勝敗退と不満足な春に終わった明徳義塾。このような停滞状態を打破すべく、馬淵 史郎監督は5月県総体以降の練習試合で野手陣の新戦力を積極的にテストした。

 

 結果、今大会ではリード、キャッチングに長ける畑中 士典(3年・捕手・175センチ75キロ・右投右打・大阪交野リトルシニア<大阪>出身)が背番号「2」を奪取。三塁手も孫入 陸(3年・168センチ70キロ・右投右打・橿原ボーイズ<奈良>出身)がレギュラーの最短距離にある。

 

 もちろん、高校通算30本塁打を悠々と超えた4番・谷合 悠斗(3年・左翼手・180センチ90キロ・ヤング岡山メッツ<岡山>出身)ら主力選手は健在。全国を見据え、確実に厚くなった。

 

 一方、5月の沖縄県高野連招待試合で最速を148キロに更新した侍ジャパンU18代表候補・市川 悠太(3年・185センチ75キロ・右投右打・高知市立潮江中出身)は、7月11日に行われた関西(岡山)との練習試合ではNPBスカウトのスピードガン測定で149キロを連発するなどさらに進化中。「通常の状態」ならば県レベルでの大量失点はまず考えられない。

 

 よって、対戦相手が勝機を見出すためには市川を「通常以下」にするプレッシャーが必須。エース・川久保 奨騎(2年・179センチ80キロ・高知市立城北中出身)の制球力が生命線の高知中央、いずれも小技を使った試合運びを得意にする高知工宿毛工。まずは失点を抑えて勝機を見出したい高知丸の内・室戸連合と高知高専。そして、小さく鋭いスイングと丁寧に低めを突く左腕・谷脇 優哉(3年・167センチ72キロ・左投左打・四万十市立中村中出身)を軸に、県立校トップの安定度を誇る宿毛が束になって明徳義塾に立ち向かいたい。

[page_break:土佐の黄金下級生たちがキーマンに]

土佐の黄金下級生たちがキーマンに

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土佐ゾーンに入った伊野商

<第4シード:土佐ゾーン>

 第4シードの土佐は予想スタメン中4名が下級生。しかし、この下級生たちはいずれも粒ぞろいだ。エースの横田 啓悟(2年・176センチ87キロ・右投右打・高知大学教育学部附属中出身)は重いストレートとフォークボールに加え、パワフルな打撃も持ち味。1年生で中軸を張る松谷 大輝(一塁手・右投右打・172センチ76キロ・志村ボーイズ<東京>出身)は、中学時代「NOMO ALL JAPAN」にも名を連ねた実力者である。

 

 ただ、このブロックには実力者が多い。ベスト8常連の伊野商と春の県大会では好遊撃手・山本 大地(3年・167センチ64キロ・右投左打・高知市立南海中出身)を主将に準決勝まで勝ち上がった高知西とは、いきなり土佐への挑戦権をかけて戦う。

 

 高知農と長身左腕・河邑 進之介(3年・182センチ79キロ・左投左打・土佐塾中出身)がいる土佐塾も実力は拮抗。また、4年ぶりの夏1勝を目指す高知海洋と、10年間夏初戦の壁に跳ね返されてきた高知東工との一戦も興味深いものとなりそうだ。

[page_break: 激戦ゾーンでセンバツ出場・高知の「試合勘」はいかに?]

激戦ゾーンでセンバツ出場・高知の「試合勘」はいかに?

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対外試合禁止処分の明けいきなりの実戦機会となる高知

<第2シード:高知ゾーン>

 

 俊足強打の松本 亮太郎(3年・中堅手。179センチ70キロ・右投左打・高知市立愛宕中出身)を切り込み隊長に据え、県総体で高知商を撃破し4強入りの高知小津は、こちらも俊足が随所に光る澤田 堅(3年・遊撃手・160センチ56キロ・右投左打・日高村佐川町学校組合立加茂中出身)がいる県内公立校の雄・岡豊と初戦で激突。昨年高知大会準優勝の梼原は、変則左腕・下元 侑征(3年・172センチ62キロ・左投左打・須崎市立須崎中出身)を絶対的エースに、50メートル走6秒0の2年生・細木 隆之介(中堅手・180センチ67キロ・右投両打・須崎市立朝ケ丘中出身)リードオフマンに、今大会は単独チームで臨む須崎工と対戦する。

 

 そしてセンバツの雪辱を期す第2シード・高知は、今大会が1ヶ月の対外試合禁止処分の明けいきなりの実戦機会となる。投手陣は当初先発の一角と見込まれていた侍ジャパンU-15代表経験を持つ右腕・濵田 世(1年・180センチ74キロ・右投右打・高知中出身)が開幕前日に登録メンバーから外れた一方で、センバツ直前で左足首を骨折した主将・島内 優成(3年・捕手・173センチ73キロ・右投右打・高知中出身)はすでにブルペンでの捕球を開始。今大会では「12」を背負ってベンチ入りする彼のキャプテンシーがチームの生命線となりそうだ。

 

 が、打線の実戦経験不足はいかんともしがたい不安材料。彼らにとって安芸と最速140キロ右腕・野村 隆喜(3年・179センチ67キロ・右投右打)、強打を誇る中岡 大晟(3年・中堅手・175センチ65キロ・右投右打)の高知市立潮江中コンビがいる高知東との勝者と対戦する初戦の入りは、例年よりもいっそう難しく、かつ慎重を期するものとなるだろう。

[page_break: 高知商の敵は相手に加えて「過密日程」]

高知商の敵は相手に加えて「過密日程」

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高知商

<第3シード:高知商ゾーン>

 学校創立120周年、野球部創立100周年のメモリアルイヤーを2006年以来23回目の夏甲子園出場で飾りたい高知商。最速140キロ右腕・北代 真二郎(3年・180センチ88キロ・右投右打・香美市立鏡野中出身)、高校通算20本塁打も視野に入れる近澤 幸祐(3年・中堅手・177センチ77キロ・左投左打・高知市立愛宕中出身)、守備力はすでにレギュラーメンバーの中でも秀でている西村 貫輔(1年・三塁手・165センチ65キロ・右投右打・南国ヤングマリナーズ出身)など、タレントの力自体は甲子園出場に値するものだ。

 

 ただ。彼らは対戦相手と同時にもう1つの敵「過密日程」とも戦わなければならない。初戦の7月21日(土)を勝利したとしても準々決勝は23日(月)・準決勝・決勝戦は25日(水)からの連戦。6日間で4試合を勝ち抜かなければ聖地には到達できない。第3シードが決定した時点から今日まで、そこを強く意識して日々の練習に取り組めたかが、最終的に結果を左右する要素となるだろう。

 

 その他、昨年のセンバツでもマルチ安打を放った県内屈指のショートストップ・大﨑 凛(3年・179センチ72キロ・右投右打・高知県立中村中出身)ら3年生に、複数選手が抜擢された1年生を融合させて臨む高知中村は、須崎高知商への挑戦権をめぐり激突。清水・幡多農・窪川連合と安芸桜ケ丘は実力が接近している。

 

 そして、センバツ21世紀枠四国代表まで歩を進めた高知追手前。春以降は満足いく戦いができておらず、初戦の高知南も高チームであるものの、魂の最速137キロ左腕・岡林 倖生(3年・171センチ68キロ・左投左打・高知市立潮江中出身)と、先月にけがからの復帰を果たした中山 歩武(3年主将・捕手・165センチ65キロ・右投右打・日高村佐川町学校組合立加茂中出身)が本調子に戻れば、高知商をも抑えられる存在。一昨年の高知中村、昨年の梼原と続いた高知大会ノーシード県立校決勝戦進出の筆頭候補であることは間違いない。

 

文=寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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