侍ジャパンU-18代表 一次候補30名を徹底考察!【野手編】
6月20日、侍ジャパンU-18代表候補30名が発表された。前回は投手を中心に考察を深めたが、今回は野手を中心に考察をしていきたい。
勝てる捕手2人を選出 ただ打力に不安
小泉航平選手(大阪桐蔭)
【捕手】2名
東亮汰(三重三重)3年 171/77 右右
小泉航平(大阪桐蔭)3年 179/74 右右
捕手については、選抜での実績を高く評価された形だ。東亮汰(三重三重)は計4投手を粘り強くリードし、4強に導いたリード、キャッチング技術が高い。打ってもしぶとい打撃を持ち味にする捕手だ。
小泉航平(大阪桐蔭)は総合力が高い好捕手。これほどマークされてでも大阪桐蔭が勝てるのは、小泉の繊細なリードがあってこそ。さらにスローイングタイム1.9秒台を計測する強肩も魅力で、しぶとい右打ちも見逃せない。
2人とも経験豊富な捕手で、勝たせる捕手として期待できる。ただ木製バットを使うアジア大会では、打撃面で不安を感じさせる。
打撃面、捕手のリードセンスを兼ね備えた捕手として、石橋康太(関東一)、野村大樹(早稲田実業)の2人は代表候補として注目すべき選手である。石橋は高校通算52本塁打を記録している打撃に加え、スローイングタイム1.9秒台の強肩、ストッピング能力の高さ、さらに強打の捕手としてはかなり思考力が高い捕手。あとは捕手として激戦区の東東京を勝ち抜くことができるか。今年の関東一は絶対的な柱がいないだけに石橋の捕手的素質が試される夏にもなる。
野村は春季大会終了時点で高校通算50本塁打を超える長打力だけではなく、相手の配球を読む思考力の高さがあり、レベルが高い投手相手にも対応できる打撃力は今年の右打者でもトップクラス。捕手としてもリード、スローイング技術、ストッピング技術は昨年に比べて格段の進歩を見せている。侍ジャパンU-15代表も経験しており、国際大会の経験も豊富だ。
東京の強打の捕手コンビは、日本代表に選ぶに相応しいパフォーマンスを見せることができるか、注目したい。
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内野手はこれ以上ない精鋭11名が集結
一次候補入りをした浜田、日置、根尾、野村選手
【内野手】11名
野村佑希(花咲徳栄)3年 185/90 右右
日置航 (日大三)3年 176/78 右右
小松勇輝 (東海大相模)3年 172/67 右左
林 晃汰 (智弁和歌山)3年 181/88 右左
太田 椋(天理)3年 181/70 右右
中川卓也 (大阪桐蔭)3年 175/78 右左
根尾昂 (大阪桐蔭)3年 177/78 右左
大阪桐蔭 山田健太(大阪桐蔭)3年 183/83 右右
小園海斗(報徳学園)3年 178/79 右左
濱田太貴 (明豊)3年 176/76 右右
小幡竜平 (延岡学園)3年 180/73 右左
野村佑希(花咲徳栄)は、高校通算60本に迫るスラッガー。昨年に比べてファーストストライクを捉える技術が高まり、怖い打者となった。強肩が光る三塁守備も必見。投手としても140キロ後半の速球を武器にする投手でもあり、ショートリリーフとしても期待できる。
日置航 (日大三)は一発を秘めた長打力、ここぞという場面で打てる勝負強さ、安定性のあるスローイングが持ち味のショートストップ。日置の魅力は気配りができるところで、ポイントとなる場面の投手に対しての気遣いが素晴らしい選手。今年は能力が高い遊撃手が多いが、精神的なムラが少なく、代表選手にいれば頼もしい選手である。夏へ向けて攻守両面でさらなるレベルアップを期待したい。
小松勇輝 (東海大相模)は東海大相模のアグレッシブベースボールを体現した遊撃手。一発と巧打を兼ね備えた打撃力、シングルヒットでも外野手のもたつきを見れば二塁へ駆け込む走塁意欲の高さと、ロースコアが予想される国際大会で、小松のような選手はとてもありがたい存在。課題を挙げるとすれば守備面。スローイング技術を高め、攻守で隙が無い選手となってほしい。
林 晃汰 (智弁和歌山)は高校通算40本塁打を超える長打力、強肩を売りとしたサード。アクションが大きい打撃フォームもだんだん無駄がなくなり、確実性が増してきた。選抜では思うような打撃ができなかっただけに本領発揮なるか。
太田 椋(天理)はスピーディな動きが光る大型遊撃手。特に守備力については、今年の高校生遊撃手の中でもトップレベルのものがある。一発を秘めた打撃も本格化しつつある。ライバル・智辯学園を追う存在として、攻守ともにハイパフォーマンスを発揮できるか。
中川卓也 (大阪桐蔭)は連覇を狙う大阪桐蔭の主将。隙を作らせないチーム作りを行う中川のキャプテンシーの高さは、即席でチームを作らなければならない代表チームにおいてありがたい存在。勝負所で結果を残す勝負強さや、完成度の高い打撃技術、必死さが見える三塁守備が光る。中川は昨冬、大阪府選抜として台湾に遠征。木製バットを使い、20打数9安打を記録しているのも見逃せない。
根尾昂 (大阪桐蔭)は投げては140キロ後半の速球、打っては高校通算24本塁打の長打力と、野球選手としての能力の高さはトップレベル。このまま夏でも活躍すれば選出される可能性は高い逸材だが、起用法が試される選手だといえる。
大阪桐蔭 山田健太(大阪桐蔭)は近年の代表チームと比較しても最もスケールを兼ね備えた二塁手ではないだろうか。高校通算21本塁打の長打力、183センチの大型にしては身軽な二塁守備は見どころがある。さらに一塁・三塁も守ることもできる。今までにないタイプだけに夏まで文句なしの活躍を見せたいところだ。
小園海斗(報徳学園)は昨年、2年生ながら世界大会を経験したことが大きなアドバンテージとなっており、体が大きくなり長打力が増し、得意の一歩目が速い遊撃守備も健在。今年はショートストップのレベルが高いが、国際大会の経験の豊富さを考えれば小園が選出される可能性は高い。夏ではどんな活躍を見せるだろうか。
濱田太貴 (明豊)は高校通算45本塁打を記録した長打力だけではなく、初対戦の140キロ台の直球を投げる投手に対しても難なく対応してしまう対応力の高さが魅力。普段から木製バットで練習をしており、金属バットと変わらないぐらいの打撃を見せるという。ただ内野を守る機会が少なくほとんどが外野。それでも、濱田の打撃は世界でも通用するだけの技術は持っている。
小幡竜平 (延岡学園)は、左右関係なく安打を記録できる打撃技術の高さ、グラブ捌きと強肩を売りとした遊撃守備と攻守ともに完成度が高い選手だ。精神的にムラがない選手だが、もっとがむしゃらさを見せてほしい。そういうところが出れば、突き抜けた活躍を見せることができる選手ではないだろうか。
今年は遊撃・三塁を中心に逸材が集まるが、国際大会で戦うことを考えると、今回候補になった11人を脅かす総合力を持った内野手は全国でもなかなかいないが、春季東北大会で3本塁打を打って話題となった杉澤龍(東北)は攻守ともに優れたショートストップ。一発を秘めた長打力と広角に打ち分ける打撃力と軽快な二塁守備が光る横浜 斎藤大輝、高校通算40本塁打を超える高山遼太郎(健大高崎)は、三塁を守れる中川、林、山田、野村佑よりも三塁守備が上手く、スローイングが強い。
例年、内野手の枠は5名~6名。かなり激しい争いとなりそうだ。
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外野手3名も精鋭 このままいくか、東海大相模の森下がどこまでアピールできるか?
過去最高のパフォーマンスに期待したい藤原恭大(大阪桐蔭)
【外野手】3名
蛭間 拓哉(浦和学院)3年 174/81 左左
梶田 蓮(三重)3年 169/66 右左
藤原 恭大(大阪桐蔭)3年 181/78 左左
蛭間 拓哉(浦和学院)は、県大会決勝で9回裏に同点弾など土壇場での勝負強さが光る強打の外野手。またセンターの守備から見せる強肩も魅力だ。
梶田 蓮(三重)は選抜で20打数8安打を記録し、大ブレイク。この8安打は好投手相手に記録したものであり、レベルの高さを証明した。さらに俊足で、走塁・守備力も高く、木製バットにすんなりと順応できそうな予感をさせる。
藤原 恭大(大阪桐蔭)はケガが完治し、ますます手が付けられない選手となった。高校通算26本塁打の長打力、センターから見せる圧倒的な強肩。果敢に次の塁を盗むベースランニングと走攻守三拍子揃った大型外野手として、この夏は過去最高のパフォーマンスを見せていきたい。
この3人の対抗馬は森下翔太(東海大相模)となるだろう。高校通算50本塁打を超え、スローイングも強く、代表候補入りしてもおかしくない選手だが、選抜での不調や選抜後の公式戦で思うような活躍ができていない。今回は左打者が候補に多く選ばれているだけに右打ちの大型外野手として、大爆発を期待したい。選抜でたびたびファインプレーを連発した左向 澪(智辯学園)の外野守備の高さ、脚力の高さは十分に日本代表クラスだ。
今回、選ばれた30名がさらに成長を見せるのか。それとも新たなニューヒーローが登場するのか。
今回のアジア選手権の代表選手は18名。激しい競争を制し、最強の18名が編成されることを期待したい。
文=河嶋宗一