Column

開幕直前!年々レベルアップしている沖縄県を勝ち抜くのは?【大会展望・前編】

2018.06.21

 ついに100回目の夏がやってくる。
 第100回全国高等学校野球選手権記念沖縄大会の抽選が12日、北中城公民館にて行われた。春季優勝で第1シードのKBC学園未来沖縄は沖縄工業と対戦。以下、第2シード興南豊見城南、第3シードのコザは中部商業、そして第4シード沖縄尚学沖縄水産とぶつかることが決まった。殆どの高校に優勝の可能性が高く、年々レベルが拮抗している沖縄大会では、シードの優位性など無いに等しいのかも知れない。そこをあえて承知で、大会の展望を述べてみようと思う

未来沖縄ブロック:打倒未来沖縄に燃える学校がひしめく


春の王者 未来沖縄

 秋季8強の具志川商糸満、春季8強の美来工科、秋春8強の沖縄工業とベスト8組みが王者KBC未来沖縄の打倒をもくろむAブロック。
 秋季大会で一年生ながらKBC学園未来沖縄打線を6奪三振2失点に抑えた具志川商のサウスポー新垣瑠依。春の初戦でリベンジを誓うKBC学園未来沖縄に12安打を放たれ敗れたが、自責点は僅かに3。1勝1敗の決着を2回戦で果たせるかもしれない機会に目を輝かせていることだろう。対する北中城は結果が伴っていないものの、春の普天間戦で8回2失点と粘投した長嶺慶助を中心に守り抜き、1点勝負に持ち込みたい。

 沖縄宮古は春の北山戦で2失点完投、敗れた宜野座戦でも5回途中から登板し、4回2/3イニング3安打7奪三振無失点の長身エース與那覇達也の出来が上位進出のカギ。対する南部農林は長いこと部員不足に悩まされてきたが、この記念大会で単独出場する。

 秋、沖縄水産に1点差、春もコザに1点差と上位校との差が殆どない美来工科。一本立ちした比嘉竜聖は、球威アップとともに試合を作ることに長けてきた。打線は昨年ほどの破壊力はないが、チャンスを確実にものにする玄人野球は健在だ。対戦する那覇工業は、秋季大会で対戦した首里と互角の勝負を繰り広げた。左腕當間海舟をはじめ我那覇恭斗新垣陸斗の力ある2年生に注目。2012年13年、宜野座の監督として2年連続九州大会に出場した東亮監督と、2001年の選抜高校野球大会でベスト4入りした当時の宜野座の主将だった安富勇人部長。沖縄高校野球の次世代を担う若手二人の采配と起用法で大物喰いといきたい。

 普天間のキーマン仲本光希。秋は沖縄水産打線を8回2失点、春も宜野湾打線を9回2失点と計算が立つだけに打線の奮起が期待される。対する西原國吉健太與那嶺絃安座間喜佳ら打力に秀でる。仲本vs西原打線という見ごたえのある戦いとなるだろう。

 宜野座真和志は投手戦となるか。宜野座松田周は春、美来工科を相手に8回2失点。真和志上原航も秋、同じ美来工科打線を向こうに回して7回2/3イニング1失点。両投手の出来が試合を左右する。

 那覇商小禄の1回戦は春と全く同じとなった。このときは那覇商が7対0のコールドで勝利。6回までノーヒットピッチングをした2年生永山和輝と秋、沖縄尚学戦で先発し9回2失点(自責点1)と王者を苦しめた左腕當銘壮大ら投手陣と合わせ、渡具知奨希平良彰悟ら打撃陣の力は大きく、那覇商の優位は動かないだろう。小禄は春からどこまで戦力を立て直したか。小禄は2年前、春の1回戦で8点差をつけられた大敗後、直後の夏でベスト4入りしたことがあるだけに野原監督と選手たちの底力に期待したい。

 秋にベスト8入りし野球部対抗競技会でチーム1位に輝いた糸満。春は思わぬ苦杯をなめただけにこの夏に懸ける思いは強いだろう。玉城宙夢金城龍史郎と2年生山城真平の投手陣や前野史佳ら打撃陣の能力は高く、秋に沖縄尚学と1点差ゲームを演じた力をこの夏で爆発させたい。対する美里は戦力的に厳しいが、失点は最小限で食い止めるなど粘り抜いて諦めない野球で前評判を覆したい。

 第1シードKBC学園未来沖縄は、オーバースローとサイドスローを器用に投げ分ける宜保翔の活躍で春を制した。そこに本来の投手二枚看板である新垣龍希と2年生伊波洋一が投げられるまでに復活。より一層、選手の層を厚くして臨む最後の夏に死角はないように映る。春の王者に土をつけると臨むのが沖縄工業。一年生中央大会の決勝でぶつかった両雄が最後の夏の初戦であたるとは誰も予想出来なかったのではないだろうか。下地海斗西原拓海前里大樹のライトハンドトリオに前城弥中村義幸のサウスポーコンビと投手陣は層が厚い。打線では新城幹稀棚原龍太朗の1,2番コンビが出塁し王者にプレッシャーを掛け続けたい

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沖縄尚学ブロック:1回戦屈指の好カードが実現の激戦ブロック!


注目の沖縄尚学vs沖縄水産

 1回戦屈指の好カードの中で最も注目を集める頂上カードが、秋の優勝校沖縄尚学vs同4強の沖縄水産だ。沖縄尚学は投打で柱となる知念大成の出来がカギを握る。と同時に、知念がマウンドに上がるときに捕手としてリードする池間大智も勝敗を左右する。一年生中央大会で優勝し、現チームの主力でもある水谷留佳奥原海斗の2年生の力も大きい。対する沖縄水産上原一帆がキーマンとなるか。秋の連戦を癒すため、春はマウンドを譲り4番として打撃に専念。KBC学園未来沖縄戦では他の投手陣が打ち込まれ敗れたが、夏は照準を合わせてくるだろう。「沖水」の古豪復活、そして20年振りの聖地帰還へ。その申し子のレフティーが名門沖尚の壁を突き破るか。

 沖縄石川は投の伊波和輝、打の山田大悟を中心に新人中央大会優勝。秋もベスト4入り。春は思わぬ敗退だったがその負けを糧に夏に臨む。対する沖縄日本ウェルネス高校沖縄キャンパスは沖縄県高野連に加盟したばかり。3年前のKBC学園未来沖縄も昨年の沖縄カトリックも一年生だけで臨んだ最初の夏は厳しかったが、沖縄日本ウェルネス高校沖縄キャンパスはどのような戦いを見せるのか。

 浦添工は春、僅か部員18名だけで前原との延長12回を互角に戦った。エースの伊藤光を中心に守りを大事にした粘りと打撃練習の成果を見せられるか。対する読谷は春、初戦で糸満を撃破。糸満打線を僅か3安打1失点に抑えた東江辰郎が良いピッチングを見せ続ければ、秋の3回戦と同じくこの夏の3回戦でも沖縄尚学と当たる可能性があるだけに、いい形で初戦をものにしたい。

 一昨年の春は糸満を、今年の春は北部農林を二桁得点で下した北谷。少ない人数ながら徐々に力をつけつつある。対する具志川は秋8強の具志川商と僅か1点差。部員の大半を占める2年生たちの力で夏の初戦を勝利で飾りたい。

 春ベスト8進出の前原南風原戦7回ゼロ封。浦添工戦では4回から登板し7回無失点。続く八重山農林戦では先発し7回を投げ失点ゼロ。ミスターゼロの中西海斗(2年生)のピッチングに注目が集まる。興南戦で登板し9回4失点(自責点3)と好投した末吉泰宜ら投手陣の安定感が光る前原。沖縄宮古工は粘り強い戦いが望まれる。

 秋春と連続でKBC学園未来沖縄に敗れた豊見城。秋、7回と1/3を投げ2失点と形を残した2年垣花香太らで沖縄向陽打線を抑えたい。沖縄向陽は山田正之ら投手陣の踏ん張りで春、沖縄水産を相手に延長へ突入。1点差ゲームを繰り広げただけに古豪豊見城を倒して波に乗りたい。

 北山は細身で185cm以上ある長身の金城洸汰、180cm100kgの巨漢仲村周真という投打の2年生看板が魅力。昨年の一年生中央大会で同校初の決勝進出を果たした二人が迎える夏。どこまでやれるか楽しみだ。対戦する那覇西は秋6失点、春二桁失点と守りの急務が課題。投手陣をはじめ、どこまで整備されたか。

 沖縄南部工は秋の1回戦から春は2回戦へ。八重山商工は秋の2回戦から春は3回戦へと両校ともに成長のあとを見せた春だった。八重山農林戦で8回3失点(自責点2)の沖縄南部工の上原大雅が、春の陽明戦で3安打した大嶺士優や、2安打3打点をマークした中山光一郎八重山商工打線にどう立ち向かうか。

文=當山雅通

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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