夏のセンターポジションへ!「ガチの」大阪桐蔭に香川の4校が挑む!
昨年は早稲田実(西東京)・清宮 幸太郎(現:北海道日本ハムファイターズ)の2アーチが話題を呼び、三本松・夏の甲子園ベスト8へのターニングポイントとなった「香川県高等学校野球連盟招待試合」。2010年・興南(沖縄)を迎えてのスタート以来、春は9回目。今や香川県を超え、四国地区高校野球の夏到来を告げる風物時となりつつある。
では、今年はセンバツ王者、秋春近畿大会王者・大阪桐蔭(北大阪)を2年ぶりに招き、6月16日(土)・17日(日)の両日開催される同大会はどのような展開になるのか?今回は最新情報も交え、夏の香川県、さらに全国のセンターポジションを目指す5校の展望をお伝えしたい。
「ガチの」大阪桐蔭、2年ぶり2度目の香川県降臨
根尾 昴(大阪桐蔭)
<日程>
試合会場:[stadium]レクザムスタジアム[/stadium](高松市) 招待校:大阪桐蔭(北大阪)
6月16日(土)
10:00開始 大阪桐蔭vs大手前高松
13:00開始 大阪桐蔭vs藤井学園寒川
6月17日(日)
10:00開始 大阪桐蔭vs高松商
13:00開始 大阪桐蔭vs英明
入場料は一般500円、中学生・高校生200円、小学生以下は無料
まず断言する。今回の大阪桐蔭は大手前高松・小豆島(高松商・志度戦は雨天中止)と対戦した2年前と比べ、はるかに「ガチである」と。というのも去る6月9日・10日に赴いた愛知県高野連招待試合で大阪桐蔭は東邦・桜丘には連勝も、中京大中京、愛産大三河には連敗。今大会はネジを締め直して臨んでくることは確実だからだ。
となれば選手たちも相当な意気込みで香川県春季大会順位上位4校に対峙するはず。根尾 昴(3年・遊撃手兼投手)、藤原 恭大(3年・中堅手)らのプロ注目選手、飯田 光希(3年・捕手・徳島東リトルシニア<徳島>出身)、俵藤 夏冴(3年・遊撃手・今治中央ボーイズ<愛媛>出身)といった四国凱旋選手の動向はもちろん、北大阪大会登録ボーダーライン上の選手たちがどういった成果を残すかにも着目したい。
そして24選手が登録されている大阪桐蔭の当初登録背番号「15」には、はじめて1年生メンバーが。その選手は昨年の「アジアチャレンジマッチ2017」でも侍ジャパンU-15の主力として活躍した仲三河 優太(右投左打・投手・177センチ77キロ・小山ボーイズ<栃木>出身)である。2年前の小豆島戦で根尾 昴がベールを脱いだ[stadium]レクザムスタジアム[/stadium]で仲三河がデビューし、どのようなパフォーマンスを示すのかにも注目だ。
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三本松の軌跡再び、大阪桐蔭から下剋上狙う4校
加茂 優太(藤井学園寒川)
昨年、2002年の尽誠学園以来15年ぶりとなる香川県勢夏甲子園8強進出を果たした三本松。振り返れば快進撃のきっかけは、この香川県高野連招待試合だった。
早稲田実相手に理想的なチームバッティングで2点を奪い、佐藤 圭悟(現:立正大1年)も自らの特長を駆使しての完封。そして第1シードで戦った香川大会では招待試合スタート以来シード校として初の甲子園出場を果たし、聖地でも2勝。彼らは夏に向け同大会の活かし方、意義を周囲に知らしめたと言ってよい。
それから一年。三本松の軌跡に続くべく、4校もそれぞれの強みで大阪桐蔭からの下剋上を狙っている。対戦順に紹介したい。
まずは4チーム中、唯一2年前に対戦経験を持つ大手前高松。山下 裕監督は「いくつかのパターンの中で、最終的に5失点以内に抑えていきたい」継投策を軸に、今まで一塁手だった主将・山本 大輔(3年・右投左打・178センチ77キロ・綾歌町立綾南中出身)の右翼手起用も視野に入れ、と、夏に甲子園初出場、さらに聖地で勝つための策を追究していく。ちなみにこの週、大手前高松のBチームは大阪桐蔭Bチームと大阪府内で対戦予定。総合的な戦力強化で春の県大会優勝・四国大会初優勝の流れを昇華させる構えだ。
藤井学園寒川・佐竹 茂樹監督も「継投でいきます」と春県大会準優勝の原動力となったタイプの違う投手たちを惜しげなく使うことを明言。最速145キロ2年生右腕・加茂 優太(右投右打・170センチ64キロ・大阪生野リトルシニア<大阪>出身)の登板は終盤のショートイニングとなりそうだが、投手陣が最少失点に抑えれば3年ぶり3度目の甲子園出場への視界が開けてくる。
昨秋は四国大会4強。春は県大会3位の高松商は昨年11月の県高野連招待試合では春の関東大会王者・健大高崎(群馬)にサヨナラ勝ちするなど、県外チームには無類の強さを発揮する。その試合でサヨナラ打の藤川 眞嘉(3年・捕手・173センチ87キロ・右投右打・高松市立山田中&ALL高松<ソフトボール>出身)を4番におく切れ目のない打線と、春季大会後の左ひじ不調から背番号「11」を背負うまでに快復した香川 卓摩(2年・投手・左投左打・167センチ56キロ・東かがわリトルシニア出身)をはじめとする投手陣を融合させ、22年ぶり夏甲子園への基盤を作りたい。
そしてセンバツ出場の英明・香川 智彦監督は5月末より最速143キロ右腕・黒河 竜司(2年・右投右打・180センチ75キロ・高松市立屋島中出身)の女房役に主将の千原 凌平(3年・右投右打・171センチ82キロ・京都木津川リトルシニア<京都>出身)を指名。「黒河はコントロールがいいので、あとは自分次第。緩急や内角球をうまく使っていきたい」と語る高校通算30本塁打の主砲のリードが春夏連続甲子園、7年ぶり3度目の夏甲子園出場へのキーとなる。
[page_break: 「次の100年」見据え、「100回目の夏」助走へ] 「次の100年」見据え、「100回目の夏」助走へ
山本 大輔(大手前高松)
なお、今大会では「高校野球200年構想」とも連動した企画も用意された。16日(土)の2試合終了後には小学生以下を対象に当日受付80人程度限定(参加無料・グローブ持参・保護者同伴条件)イベントでグラウンドを開放。大阪桐蔭の指導陣、選手らが参加し、キャッチボール・ストラックアウトで交流する。
「野球経験のあるなしは関係なく、気軽に参加してほしい。これをテストケースに今後は夏の香川大会での導入も考えています」(香川県高等学校野球連盟・小野 裕作理事長)。いわばその意味では香川県、全国のセンターポジションを狙う「100回目の夏」と同時に「次の100年」への助走とも言える「香川県高等学校野球連盟招待試合」。
私たちはこの大会を通じ、全ての参加チーム、参加選手たちが粘り強く、今ある最高のパフォーマンスを発揮すること。そして先に高校野球の未来像が見えてくることを大いに期待しつつ、4試合を見守ろうではないか。
(文=寺下 友徳)