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木更津総合の優勝で幕が閉じた2018年春季千葉県大会!各校の戦いを総括!

2018.05.13

【配信したレポート一覧(準々決勝以降)】

準々決勝:習志野vs八千代松陰

準々決勝:専大松戸vs流通経大柏


準々決勝:木更津総合vs志学館


準々決勝:千葉黎明vs拓大紅陵


準決勝:木更津総合vs千葉黎明


準決勝:習志野vs専大松戸


3位決定戦:専大松戸vs千葉黎明


決勝:木更津総合vs習志野

強力打線で勝ち上がった木更津総合、県内屈指の投手陣で勝ち上がった習志野

木更津総合の優勝で幕が閉じた2018年春季千葉県大会!各校の戦いを総括! | 高校野球ドットコム
優勝を決めガッツポーズの白井竜馬(木更津総合)

 今年の千葉は木更津総合の優勝で幕を閉じた。関東大会前へ向けて、春の大会を総括していきたい。

 県大会優勝を収めた木更津総合は、初戦で成田と接戦を演じ、シード権獲得を決めると、幕張総合志学館には2試合連続でコールド勝ち。準決勝では千葉黎明との接戦をものにし、決勝ではすべて先制点を挙げていた習志野を相手に序盤から試合を優位に進め、6対2で習志野を破り、10年ぶりの優勝を決めた。勝ち進むごとに内容が良くなるところはさすが王者であった。

 今年の木更津総合投手陣は、秋にベンチ入りしていた峯村、根本太一の両速球派右腕がベンチ外。非常に苦しいやりくりの中、エース・白井 竜馬が右サイドに転向し、主砲の野尻幸輝が投手を兼任する形となり、県大会ではこの2人がほぼ投げ抜く形となった。白井は初戦の成田戦で先発した後、決勝までリリーフ登板を重ね、安定したピッチングを見せた。決勝戦ではテクニックにたけた習志野打線を相手に2失点完投勝利を見せ、大きな成長を見せた。野尻は俗にいう「野手投げ」ながら、最速140キロのストレート、スライダーのコンビネーションで打たせて取る投球に徹した。大会では3試合に先発し、登板を重ねるごとに安定感が増した。夏前に起用できる投手が多くなったのは収穫といえる。

 野手では4番・山中 稜真が11打点を記録。成田戦で2本塁打をはじめ、ここぞという場面での勝負強さが光った。さらに1年春から試合に出場しつづける野尻も準決勝の千葉黎明戦で決勝本塁打を放つなど計8打点を記録し、頼もしさが出てきた。他では長打・俊足・強肩を兼ね備えた3番・東 智弥も昨年より著しく成長を見せてくれた。打線も、投手陣も成長を見せ、大きな成果が残った大会といえるだろう。

 準優勝の習志野は、エース・古谷拓郎、技巧派右腕・佐藤将聖、2年生右腕・飯塚 脩人の3投手の実力は県内トップクラス。古谷はストレートが140キロを超え、スライダー、カーブを自在に投げ分け安定感抜群のピッチングを見せた。そして今大会は飯塚が成長を見せ、最速142キロのストレートの威力は古谷以上。粗削りながら、楽しみな速球派だ。

 打線は曲者の1番・根本翔吾、2番・鈴木空吾の曲者コンビと大会9打点を記録した柏木貞治がうまく機能した。また下位打線にもパンチ力ある打者が揃い、下位からでも点をとれるのが習志野の怖さ。課題を上げるとすれば、4番打者の役割の確立。試合を決める一発を打てる4番打者なのか、つなぎ役に徹する4番打者なのか。この春を見る限り、それを見出すことができていなかった。4番打者も機能するようになると、さらに怖い打線になるはずだ。

[page_break:多くの投手が台頭した専大松戸と強力な2本柱で勝ち上がった千葉黎明]

多くの投手が台頭した専大松戸と強力な2本柱で勝ち上がった千葉黎明

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関東大会への順位決定戦で6回無安打・12奪三振を記録した杉田智也(専大松戸)

 3位になった専大松戸は3番・昆野海翔が7打点、4番・今里凌が8打点、5番・石川祐が5打点とクリーンナップがしっかりと機能した。この3人だけではなく、今年の専大松戸は各打者の打力が高く、どこからでも点が取れる強みがある。

 そして持丸監督が課題としていた「投手力」。県大会を見る限り、その課題は克服しつつある。地区予選まで右アンダーだった横山陸人が県大会では右サイドとなり、球速が20キロほどアップ。伸びのある130キロ中盤の速球を武器に、関東大会出場がかかった準々決勝で完投勝利を挙げ、大きく成長を見せた。また、順位決定戦で6回無安打の投球を見せた杉田智也中央学院戦で完投勝利を挙げた武田龍信など3人が完投勝利と、投手陣の顔ぶれは充実。夏までに、139キロ右腕・古川信之介の復活、新1年生の台頭があると、競争は激化し、投手陣のレベルは一段と上がることだろう。

 4位の千葉黎明は、1点差勝利が2試合と、しぶとく勝ち進んで関東大会出場を決めた。今年はエース・渡部 翔太郎、2番手・林直樹が力投を見せた。渡部は球速が135キロ前後ながら、120キロ台のスライダー、フォークをコンビネーションに投球を組み立て、しっかりと試合を作った。林は準決勝の木更津総合戦で先発。最速143キロのストレートとキレ味鋭い変化球で8回途中まで投げて10奪三振の好投を見せた。夏勝ち上がるうえで、この2人の投球がカギとなるだろう。

 大会終盤で守備の乱れから失点することが多く、夏ではしっかりと克服したい課題である。

[page_break:流通経済大柏、志学館などベスト8以下の好チームたち]

流通経済大柏、志学館などベスト8以下の好チームたち

木更津総合の優勝で幕が閉じた2018年春季千葉県大会!各校の戦いを総括! | 高校野球ドットコム
秋季大会に続き、今大会でもの快投を見せた高坂綾(流通経済大柏)

 ベスト8に残った学校を見ていきたい。流通経済大柏は秋までエースとして投げていた高坂綾を待機させ、2年生の千葉嵐、右腕の岡本遼などが先発し、継投策でつなぐ投手運用を行った。結果的にベスト8まで進出し、3試合を経験できたのは大きいといえるだろう。高坂は千葉明徳戦で最速142キロのストレートと120キロ後半のスライダーをコンビネーションに3回7奪三振の好投を見せ、格の違いを見せた。打線は巧打者が揃い、着実に点を重ねるチームとなった。秋優勝の拓大紅陵は課題となった投手力を解消できず、千葉黎明に逆転負け。夏へ向けて県内上位校に対抗できる戦力をしっかりとつけていきたい。

 志学館は課題としていた打力がパワーアップ。2試合でコールド勝ちするなど、成果を見せた大会となった。ただ投手陣は、準々決勝の木更津総合戦で5回コールド負けしたように、投手力が課題。ストレートの威力は県内トップレベルの最速142キロ右腕・加藤 泰晴の進化を期待したい。八千代松陰はエース・清宮 虎多朗が準々決勝の習志野戦で9失点と、リベンジはならなかった。失点以上に気になったのは平均球速。ほとんどが130キロ中盤で、ボールの走りが今一つだった。夏はそのポテンシャルの高さを発揮できるか、注目していきたい。

 シード入りした学校では、選抜出場の中央学院はエースの大谷 拓海が1試合も登板せず、2年生の畔柳 舜、右サイドの西村陸に経験を積ませた。これは昨年に選抜出場した東海大市原望洋金久保優斗と同じパターン。夏へ向けてどう仕上げていくのか注目していきたい。2年生中心のメンバーが揃った千葉経大附。下級生の時からの経験者が多い千葉敬愛は、県内注目の大型サイドハンド・箱山慶人日体大柏)を攻略して勝ち上がり、夏へ向けて怖いチームとなりそう。集中打で畳みかける幕張総合、2年生スラッガー・西野 将佳擁する安房などに注目だ。

 ノーシードでは優勝した木更津総合と接戦を演じた成田は要警戒。2試合で6打点を挙げたプロ注目の好捕手・田宮 裕涼を軸とした打線は強力で、投手陣ではエース・仲澤龍良は130キロ前半ながら、球速表示以上の勢いを感じさせる切れのあるストレートを投げる本格派、そして君津商戦でリリーフした荒張 直也も136キロを記録し、夏には140キロ越えを期待したい。

 千葉明徳は2回戦で拓大紅陵に敗れたが、最速144キロ右腕・宮崎宏哉、多古戦で2本塁打を放った清水健斗、強肩強打の外野手・福井玲央など選手一人一人のポテンシャルの高さは、県内上位の学校の選手と比べてもひけをとらない。夏へ向けて攻守の精度を突き詰め、甲子園を目指したい。

 そして1回戦で敗れた多古は大型遊撃手・浅野 晃生、二塁手・大野 靖也に注目していきたい。

 今年の春も、県内上位に入ったチームだけではなく、シード入りを逃した学校にも実力あるチームが多かった。また、この春、140キロ越えを確認できたのは、7名。投手のレベルは全国トップレベルといえるほど好投手が多かった。

 今年の夏も「戦国千葉」を予感させるそんな大会だった。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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