Column

準決勝を迎える春季東京都大会!試合に先がけ見どころをチェック!

2018.04.26

注目の伝統校対決!カギを握る好調の日大三・中村、早稲田実・野村


両校のキーマン野村大樹選手(早稲田実業)と中村奎太選手(日大三)

 高校野球の枠を超えて、社会的な関心を集めた早稲田実日大三のナイター決勝から1年。両雄が今度は準決勝で相まみえる。

 今年は早稲田実清宮幸太郎(日本ハム)、日大三櫻井周斗(DeNA)、金成麗生(トヨタ自動車)らがいた昨年に比べると小粒の印象もあるが、戦力の質は、勝るとも劣らない。

 日大三はセンバツの後、都大会初戦の都立文京戦で苦戦するなど、序盤はぱっとしなかったが、徐々にエンジンがかかってきた。チームの活力源となっているのが、二刀流の中村奎太。4回戦、準々決勝では12回投げて失点は1。打つ方でも2試合連続で本塁打を放っている。それに1番の金子凌は、同じく4回戦、準々決勝の2試合で、6打数5安打と当たっている。3回戦以後、4番の大塚晃平に長打がないのが気になるが、どこからでも得点ができるのが強みだ。

 ただし今までは力の差があるチームとの対戦であった。早稲田実戦は、真価が問われる一戦になる。

 早稲田実は、準々決勝で関東一を破り勢いに乗る。野村大樹の特大の一発に続き、生沼弥真人野田優人が本塁打を放つ。投げては雪山幹太が6回を被安打5、奪三振7、自責点2と好投。池田徹が3回を自責点0に抑えた。

 この大会では1番・茅野真太郎、9番・江本達彦らの打撃も好調。投手陣は雪山を軸に池田、左の石井豪赤嶺大哉と充実している。

 清宮が抜けて、小粒になった感はあるものの、投打ともに選手の層は厚くなっている。清宮、野村さえマークすればという感じがあった昨年のチームより、相手チームとしては、むしろ対策が立てにくいのではないか。

 とはいえ、主将で4番の野村が打つとチームが勢いづくだけに、早稲田実のキーマンは野村になるのではないか。それに雪山にとっても、投手としての正念場だ。

 夏の前哨戦でもあるこの一戦。互いに探り合いの部分もあるだろうが、注目度が高い伝統の一戦だけに、好ゲームを期待したい。

[page_break:勢いに乗る両チーム。創価・菊地、国士舘・赤川の江戸川中央シニア対決も注目]

勢いに乗る両チーム。創価・菊地、国士舘・赤川の江戸川中央シニア対決も注目


江戸川中央シニア対決となった赤川輝選手(国士館)と菊地郁也選手(創価)

 準々決勝では東海大菅生を破った国士舘帝京を破った創価の対決も興味深い。

 特に創価は、帝京相手にあわやコールドという圧勝だった。2年前の夏、菊地郁也浪川広之藤井隼門脇誠の4人の1年生を擁して西東京大会の4強に進出した時、創価時代の幕開けを予感させたが、その後は、結果を出せないでいた。

 彼らが3年生になったこの春は、眠れる獅子が目を覚ました感じだ。特にエースで4番の菊地は、投げる方では制球が安定し、ブレがなくなってきた。

  上位を打つ経験豊富な4人に引っ張られる形で、捕手で8番打者の若林裕司ら下位打線も活躍。攻撃に厚みが出てきた。

 国士舘石井崚太井田尚吾草薙柊太の3人の左腕の存在が大きい。準々決勝の東海大菅生戦では、先発の井田は不調であったが、石井がロングリリーフをし、草薙が最後の1回を締めるといったように、実力のある投手が、相互に補い合いながら試合を作っている。

 

 打線も3番・倉田和明、4番・門間大樹を中心に上位下位、切れ目がなく、ベテラン・永田昌弘監督の指導の下、相手の隙を突く走塁にも磨きがかかっている。

 また3人の左腕をリードし、打順は下位ながら攻撃面でも活躍している赤川輝は、創価のエースで4番の菊地郁也とは、江戸川中央シニアのチームメイトだった。互いをよく知る2人の対決も注目だ。

 春季都大会の4強が、全て西東京勢になるのは、2006年以来12年ぶりだ。投手力、守備力、打力のどれをとっても、1人、2人に依存しない、バランスのいいチームが残った。準決勝に勝てば、関東大会出場が決まる。強豪校と公式戦で戦う関東大会は、選手にとって貴重な経験になる。夏の大会を意識しながらも、準決勝らしい緊張感のある試合を期待したい。

文=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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