Column

佐久長聖と松商学園が軸か?追いかける実力校もずらり!

2018.04.12


高山選手(日本ウェルネス)

 

秋は新鋭ウェルネスが初制覇

 昨年秋の長野県大会をおさらいしておきたい。優勝は創部1年半(当時)の長野日本ウェルネス信州筑北、2位は昨夏の県準優勝時のスタメンが5人残った佐久長聖、そして3位は昨夏の覇者、松商学園だった。総合力、選手層の厚さから今シーズンも佐久長聖松商学園を軸にした展開が予想される。

 長野日本ウェルネスの快進撃は見事だった。松商、長野日大で甲子園14勝の名将、中原英孝監督が創部から2年足らずで県の頂点に導いた。個々では決して突出した能力を備えているわけではないが、1年時から投げ続ける右スリークォーターの高山蓮を中心に粘り強く守り、好機では小技を絡め、たたみ掛ける攻撃がさえた。松商を地区予選と県大会で2度破るなど強豪校にもひるまなかったのは、ベテラン中原監督の手腕によるものだ。

 長野日本ウェルネスの主力の3年生が、入部当初から1期生として試合経験を多く積んでこられたのは秋の段階ではアドバンテージと言える。他校も今季は経験値を上げて臨んでくるだけに、固定気味だったレギュラー陣に新戦力がどれだけ絡んでこられるか鍵になる。タフな高山だが、2年生右腕の板倉大和が経験を積めると面白い。

総合力高い佐久長聖、松商学園

 総合力からセンバツも有力視されていた佐久長聖は圧倒的な打力で勝ち上がった。しかし県大会決勝、北信越大会1回戦とも1得点と打線が振るわずに失速。強さともろさの両面が垣間見えた。

 1年秋から4番捕手として攻守の要となってきた鈴木大河(3年)のけがによる離脱は大きかった。その分、代わった4番西藤慶人(3年)への負担が増え、打線も劣勢時には単調になった。攻撃面、リード面でも鈴木の復調具合が懸念される。

 エース右腕、林虹太は試合ごとに安定感が増した。ここに2年生右腕・北畑玲央がもう一つの先発の柱になってくると投手陣の起用にもゆとりが出てくる。

 松商学園は夏の甲子園帰りで始動が遅れたこともあり、秋の地区予選は6位ぎりぎりで突破。県大会で投打がかみ合い始め3位に入って北信越大会に進むと、県勢で唯一、初戦突破を果たした。

 昨夏の甲子園でも投げた直江大輔(3年)の存在が大きい。身長183センチ、プロ注目の本格右腕は昨秋、圧巻の投球を披露した一方、もろい一面ものぞかせた。絶対エースとしてどんな場面でも本来の投球ができるようだと夏2連覇も見えてくる。直江のほか投手陣の駒数は豊富だが、もう一つの柱が待たれるところだ。

 上位打線は足もあり、なかなかの破壊力を持つ。昨秋1年生ながら4番に抜てきされた山本健斗は勝負強い打撃で得点源となり、守ってもショートを無難にこなした。下位打線の弱さが課題となったため、守備力との兼ね合いもあり競争はしばらく続きそうだ。

 ここ2年、夏の大会は長聖と松商が決勝で合いまみれてきたが、総合力から見て今夏もその可能性は十分に感じさせる両校だ。


左から林(佐久長聖)直江(松商学園)選手

好投手で2強に対抗

 ここに続いてきそうなのが、上田西長野日大東京都市大塩尻などの私立勢、さらに公立でも松本深志長野商小諸商などが夏のシード権争いに絡んできそうだ。

 上田西は投打の柱、塚田純平(3年)がいるのは心強い。力のある2年生世代がスタメン争いに絡んでくるとチームも底上げしてくる。秋県4強の長野日大は、投打に絶対的な柱は不在だが粘り強さが身上。地区2回戦で敗退した都市大塩尻には、前チームから経験のある好左腕高木唯楓と強打の捕手塩原泰地の3年生バッテリーがいるのは大きい。

 秋県ベスト8の松本深志は、注目の双子投手小林綾、絃がいよいよ3年生。ともに140キロを超える本格派だけに連戦にも強い。長野商は右の本格派富岡叶大の存在が大きく、力のある2年生がレギュラー争いを押し上げたい。小諸商は前チームからの経験者6人が残る戦力で、左腕引木翼も復調し上位争いに絡むだけの戦力は十分にある。

 このほかには昨秋県大会に進んでいる創造学園、東海大諏訪松本第一の私立勢、昨夏4強のバッテリーが残る岩村田など有力校が巻き返しを狙っている。佐久長聖松商学園の2校を軸に春から激しい戦いが予想される。

 

文=小池剛

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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