第641回 大阪桐蔭の連覇で幕を閉じたセンバツを徹底総括2018年04月07日

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センバツ大会ナンバーワン投手は大阪桐蔭の優勝投手・根尾昂



根尾 昴(大阪桐蔭)

――好投手の条件、前肩を開かない速球派8人を紹介

 4月4日に幕を閉じたセンバツ大会を振り返って、技術的に注目した選手を紹介したい。まず投手では出場順に細川 拓哉明秀学園日立3年・右右・177/80)、井上 広輝日大三2年・右右・180/74)、市川悠太(明徳義塾3年・右右・184/75)、柿木 蓮大阪桐蔭3年・右右・181/87)、増居 翔太彦根東3年・左左・171/64)、土居 豪人松山聖陵3年・右右・188/80)、奥川 恭伸星稜2年・右右・182/81)、根尾 昂大阪桐蔭3年・右左・177/78)の8人に注目した。

 スピードだけなら鶴田 克樹下関国際・3年)、中村 奎太日大三・3年)、川畑 大地乙訓・3年)がたとえば柿木の今大会最速144キロと同等かわずかに上回るが、前肩の早い開きがあるかないかが重要なポイントなので、最初に挙げた8人に絞った。

 市川はサイドスローの速球派だ。サイドの本格派というと体の開きが早いヤクルトの秋吉亮のようなタイプを想像しがちだが、市川は歴代の名投手と言われるサイド&アンダースローと同様、体を横に振らず、縦方向に向かって振るので早い体の開きがない。最速146キロのストレートと打者近くで大きく変化するスライダーのキレも素晴らしく、ベスト3の称号を与えてもいいと思う。

 8人の中で最も完成度の低いのが土居だ。リリースのときの球離れが早く、敗れた近江戦では2回裏に6安打をつらねられ5点を失うなど〝未完の大器″を印象づけた。それでも私が好投手の条件とする左肩の早い開きがなく、ボールの角度も一級品。今後の成長が期待できるということではナンバーワン評価してもいいだろう。

 さて、今大会8人が計測したストレートの速さは高い順に井上、土居、根尾が147キロ、市川が146キロ、柿木、奥川が144キロ、細川が141キロ、増居が140キロと並び、準々決勝まで一番いいと思ったのが柿木。早い左肩の開きがなく、球持ちは長く、スピードガンの表示以上にボールが速く見え、コントロールが緻密というのが長所。それに対してチームメートの根尾は3回戦の明秀学園日立戦で最速147キロを計測した半面、与えた四球が9個と制球難を露呈してしまった。投手はスピード以上にコントロールが重要なので、3回戦終了時点では柿木のほうを大会ナンバーワンと評価していた。

 しかし、柿木をリリーフした準決勝の三重戦や連投で完投した決勝の智辯和歌山戦を見て、根尾のピッチングが柿木を上回ると評価を変えた。三重戦は8回投げて与四死球0、智辯和歌山戦は9回投げて四球1、死球3という成績。この3死球は2、3、4番に与えているので、制球難というより打者を攻めていると判断してマイナス評価しなかった。

 根尾のピッチングを見ていると177センチという身長が信じられない。真上から腕を振るのでボールが意表を突くくらい高いところから飛び出してくるような印象があり、182、3センチあるのではないかと思ってしまう。さらにこの高い位置から縦・横2種類のスライダーを投げ分け、ディフェンス面では名ショートらしくバント処理などで見せるフィールディングやゴロ処理が素晴らしく、1-6-3の併殺で見せる瞬時の状況判断など悪いところが見当たらない。準々決勝までは柿木、それ以降は根尾というのが私の投手部門のナンバーワンだ。

【次のページ】 藤原恭大と根尾昂のナンバーワン野手争い

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小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
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