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興南躍進のカギは?初戦から強豪校同士の対戦が実現!【後編】

2018.03.21

 65回目を数える沖縄県高校野球春季大会が来る21日に開幕する。第1シードの沖縄尚学、第2シードの興南の二強と第3シード沖縄水産、第4シード沖縄石川の古豪が絡む春の展望を、後編ではCブロックとDブロックを中心に見て行きたいと思う

Cブロック 〜興南宮城 大弥の復活度に注目 〜


興南の宮城 大弥選手

  一年生ながら、夏の選手権でヒーローとなった興南宮城 大弥智辯和歌山の前に屈したが、聖地甲子園でも登板したスーパールーキー。秋でも、九州大会が懸かる準決勝に登板し完封勝利。ひと冬越えたこの春、対外試合解禁後の対大阪桐蔭戦で、交流戦とはいえ2失点で完投した。沖縄尚学・知念と並ぶ"双璧"左腕が興南の強みだ。その興南にぶつかるのが美里工。冬トレで個々の力をアップさせてきた歴代の先輩たちと同じく、現ナインたちもレベルアップをしてきた。我喜屋監督vs神谷監督の、県屈指の名将対決にも注目が集まる一回戦屈指の好カードは、ゲームセットの声が聞こえるまで分からない。

 秋、球陽は知念に5失点、那覇国際糸満に3失点。両校の力の差はそこまでないと感じる。こちらも進学校同士の対決とあり、そのライバル意識が生むひとつひとつのプレーにも注目だ。

 秋、沖縄水産に2点差と迫った普天間がやや有利か。その沖縄水産相手に2失点完投の仲本 光希、4番で2安打を放った久保 仙太郎の投打の柱で勝ち上がりたい。対する北中城は、コールド負けした秋の課題をどれだけクリアしたか問われる。

 興南美里工戦に劣らず好カードなのが、この宜野湾八重山戦だ。宜野湾は投打で主戦の國仲 祐太に全てが懸かる。興南戦で5回に2点を失ったものの、その後9回までゼロに抑えた豪腕だが延長で力尽きた。2017年の春、同年秋と対峙した打倒興南の思いは誰よりも強い。同じブロックに入ったのも偶然ではないだろう。

 対する八重山はチーム力に優れる。秋の沖縄工戦でエース川原 光は9奪三振をマーク。12安打を浴びたが12イニングを2失点で抑える粘投も特徴のひとつ。打線は沖縄工の投手陣から12安打を放った。國仲といえど、簡単に抑え切ることは難しいかも知れない。

 前原南風原浦添工美里の山はほぼ4校ともに差は少ないとみる。前原南風原浦添工は打線のアップが、美里は投手陣の整備がどれだけ積み上げたか問われる春となる。

  秋のベスト8具志川商と1点差ゲームを演じたのが具志川。同じ市内の学校だけに走られるのは面白くない。この春はオレたちの番だと燃えていることだろう。3安打1打点の高江洲 雄基、2安打1打点の山城 祐喜のクリーンアップの成長度が楽しみだ。対する沖縄南部工は、秋コールド敗退の悔しさを春にぶつけたい。

 一年生中央大会ベスト4、そして昨夏のベスト4と、勝者の道を歩んできた八重山農の新三年生。自信を持って臨んだ秋だったが、1点の重みを感じる敗退を喫した。鷹野 蒼治郎仲野 太陽など主力メンバーが、長い冬となったこの期間をどう過ごしてきたか。それを確認する春となる。対する沖縄カトリックは僅か12名でこの一年を乗り切ってきた。解禁後の交流戦では、広島国際学院や岡山理大付などと好ゲームをするまでに成長。少ない人数でよく現れるケガや故障が、チーム内にどれだけあるか分からないが、層の薄さを感じさせないプレーで秋の嘉手納戦に続く大物食いをしたい。

[page_break:Dブロック 〜攻の石川か!守のコザか!〜]

Dブロック 〜攻の石川か!守のコザか!〜


守りのコザ高校

 このブロック屈指の好カードが沖縄石川対コザだ。シード沖縄石川は新人中央大会で優勝。秋季大会もベスト4と実績を残してきた。秋は準々決勝までの3試合で23得点。上位の比嘉 優斗が13打数6安打で打率.462、山田 大悟が13打数9安打、打率.692と当たりまくった。対するコザは一年生ながら砂川 リチャード(ソフトバンク育成)らを抑えてきたサウスポー護得久 廉を中心とする。同じく一年生からレギュラーを務める大城 大空や、スピードに優れる池原 秀啓ら楽しみな選手が多数。交流戦とはいえ、選抜高等学校野球大会へ出場する大阪桐蔭を相手に1失点に抑えた実力を、シードにぶつけてほしい。

 秋、中部商と1点差ゲームを演じた西原。その試合で共に3安打を放った大西 悠斗與那 嶺絃に注目が集まる。久米島は厳しいか。

 八重山商工は、秋の宜野湾戦(投手小嶺)で一年生ながら2安打を放った亀田 楓真と、陽明戦で4安打をマークした大嶺 士優が打線を牽引。複数投手で戦った秋からどれだけ投手陣が整備されたか。対する首里東も、陽明戦で1番打者として3安打した石川 峻を中心にアップした打力を見せられるか。同じく秋の2回戦、KBC学園未来沖縄戦で8回を投げ3失点(2自責点)と試合を作り続けた新垣 俊にも期待がかかる。

 秋の1回戦で小禄を下し、2回戦では敗退も読谷を苦しめた昭薬大附に注目が集まる。一年生から試合を積んできたエース仲田 雄飛は181cmの長身右腕。格上の小禄戦では、12安打を浴びながらも粘投。読谷戦でも6回までゼロに抑えた。陽明は、小技も絡めながら仲田攻略をし、前評判を覆したい。

 秋ベスト8の糸満vs16強の読谷戦も面白いカードとなりそう。沖縄尚学戦で先発し5回1失点の玉城 宙夢と、金城 龍史郎山城 真平の投手陣は簡単には崩れない。1番打者として打撃陣を引っ張った前野 史佳らにも期待がかかる。何より高校野球部対抗競技会で総合1位に輝いたという、個々の能力も光る。対する読谷金良 宗一郎東江 辰郎ら力ある投手陣がカギを握る。1点を守り凌ぎあう好ゲームとなるか。

 美来工科は、一昨年の秋優勝の前チームからレギュラーだった比屋根 京介や、昨年夏にホームランを放った玉城 幸人、マウンドを預かる砂川 海大比嘉 竜聖ら経験豊富なメンバーが強み。宮古工業はかなり厳しいだろう。

 宜野座は秋の沖縄水産戦で先発し、7回を1失点と好投した松田 周や、選球眼の良い棚原 憲汰沖縄水産上原から2安打の許田 冴希らの成長度が楽しみ。対する沖縄高専は、宜野座との力の差がみられまだまだ厳しいだろう。

 秋16強の北山は、昨年一年生中央大会準優勝のメンバーが中心。186cmのエース金城 洸汰は140kmに迫るストレートが魅力。4番に座る仲村 周真は、速くて力強いスイングから鋭い打球を放つ。180cm98kgの大型スラッガー仲村の打棒に注目が集まる。対する沖縄宮古は、一昨年の一年生中央大会で好投が光った、長身右腕與那原 達也ら投手陣が北山打線を抑えたい。野球部対抗競技会で打撃部門堂々の1位。塁間継投では沖縄尚学沖縄水産糸満らを抑え2位を記録。どちらが勝つか予想は難しい。

(文=當山 雅通)

 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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