本塁打記録更新、140キロ台投手連発、ランニングスロー連発!高レベル化した現代の高校野球
優勝した花咲徳栄!※写真提供:共同通信社
第99回全国高等学校野球選手権は花咲徳栄の優勝で幕が閉じた。今年の甲子園は時代の流れ目に入ったと思わせる出来事が多かった。そのことに触れながら今大会を総括する。
甲子園は改めていろいろなことを気付かされる場所だ。甲子園を見て、現在の高校野球はかなりの速度で進化を遂げている。まず話題となるのは、本塁打増加だろう。今大会は大会記録となる68本塁打を記録した。中村 奨成(広島広陵)、植田拓(盛岡大附)といった大会話題のスラッガーだけではなく、下位打線を打つ選手が高めに抜けた変化球をスタンド遠くへ打ち込む姿は見慣れた光景となってしまった。
数年前の高校野球では考えられなかったことだ。今大会、投手が不作といわれるが、決してそんなことはなく、今大会、140キロ超えした投手は43人。さらに複数投手を敷くチームが2人以上、140キロ越えしたり、140キロとまではいかなくても、130キロ後半の速球を投げられる上に、変化球もコントロールできる投手が揃っている。そういう投手を攻略してしまうトップレベルの高校野球。
そして打撃、投手の球速だけではない。守備面でも成長を見せた。特に内野守備。今年の甲子園に出場した内野手を見ると、ランニングスロー、ジャンピングスロー、逆シングルからのスナップスローなど、かつて、高校生では難しい複雑な守備動作を軽々とこなしてしまう時代となった。それを実現できるための身体能力と体の使い方を身に付け、それを教えられる学校が出てきたのだ。
甲子園の中継を見ていたある指導者は技術の凄さだけではなく、体つきの変化を感じ取っていた。
「時代が変わったよね…。今年は間違いなく変わった。今のトップレベルの
高校野球は到底追いつけないのでは?と思うぐらい高いレベルとなった。昔は高校生とは思えない凄い体つきをしたのが、数人だったのが今ではレギュラーほぼ全員になっている」
ハイレベル化している今年の甲子園で優勝した花咲徳栄は技術、メンタル、戦術、パワー、スピードとすべてにおいて突き詰めた学校だった。岩井隆監督のもと、全国制覇するために逆算をしながら計画的にチーム作りを行った手法は見事であった。150キロ右腕・清水達也、制球力抜群の綱脇慧、プロ注目のスラッガー・西川愛也、野村佑希といった注目選手なだけではなく、主将・千丸 剛、緻密なリード、パンチ力ある打撃で2人の投手を引っ張った須永 光など技術的に優れた選手が多かった。
ぜひ高校球児は今年の甲子園を何らかの形で視聴してほしい。終わってしまったが、高いレベルの野球を見て、そこに追いつくには、高いレベルを知ることが絶対に必要。残り1年間。計画的な練習の積み重ねで、自分でも想像がつかないほどの成長を実現してほしい。
(文・構成:河嶋 宗一)