今年の甲子園は9回で試合がよく動いた!編集部が選ぶベストゲーム3試合!
大阪桐蔭に逆転サヨナラ勝ちした仙台育英!※写真提供:共同通信社
第99回全国高等学校野球選手権は花咲徳栄の優勝で幕が閉じた。今年は開幕戦で彦根東が波佐見に9回裏に逆転サヨナラ勝ちした。開幕戦の戦いはその大会の傾向を予兆するものとよく言われるが、今年は9回に試合がよく動いた。その中で印象に残った3試合を紹介したい。
明豊vs神村学園 3回戦
九州勢対決は明豊有利に試合が進んでいたが、9回表、二死まで神村学園が2対5と3点のリードを許す試合展開となっていたが、そこから一気に同点に追いつき、延長戦へ。12回表、二死満塁から1番後藤 拓真(3年)がセーフティスクイズ。これが相手のミスを誘い、塁上の走者がすべて生還。これで3点を勝ち越した神村学園。
その裏、明豊の攻撃もあっさりと二死。試合は決したかにように思われた。しかしここから連打でチャンスを作り、同点に追いつき、最後は押し出し四球でサヨナラ。明豊が再逆転に成功し、8年ぶりのベスト8進出を決めた。今年は9回に試合が動くことが多いが、心に残った方も多いのではないだろうか。
仙台育英vs大阪桐蔭 3回戦
ナイターとなった甲子園で今年の絶対王者が崩れた。試合は7回終わって0対0の試合展開。史上初の2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭が仙台育英の先発・長谷川 拓帆を捉え、3番中川 卓也がタイムリー。この1点をもらって2年生右腕の柿木蓮が9回二死まで無失点に抑えていた。しかし、ここから仙台育英が反撃開始。二死一、二塁のチャンスを作り、7番若山 壮樹(3年)が放った打球は遊ゴロ。大阪桐蔭の選手たちはゲームセットと確信して、整列に向かっていたが、一塁手中川のベースを踏むタイミングが一瞬遅れ、セーフに。これで二死満塁。8番馬目郁也がサヨナラ打を放ち、大阪桐蔭の連覇は絶たれた。
今年の大阪桐蔭は2年生の主力が多く出ていたが、不振だった。1番藤原 恭大は打率.154、3番中川は打率.250、4番根尾 昂は打率.333だったが、インパクトある活躍を見せることができなかった。そしてサヨナラ打を打たれた柿木も最後で詰めの甘さを残した。これは野球の神様が、君たちは連覇するにはまだ早いよといっているのかもしれない。
秋ではこの4人が中心となるだろう。そして一塁の中川が新チームの主将に就任した。技術は文句なしのスラッガー。このきっかけが中川をより大きくすることを期待したい。
花咲徳栄vs東海大菅生 準決勝
関東勢対決はハイレベルな試合が繰り広げられた。打撃、守備、走塁…。すべてにおいて今大会トップレベルといっていいほどの内容で、選手たちのスピード感ある動きは高校生のレベルを超えていた。
9回裏、6対4と花咲徳栄のリードで迎えた9回裏、東海大菅生がチャンスを作り、一死一、二塁から1番田中の遊撃強襲安打。打球がセカンド方向へ転々とする間に、一塁走者・上林 昌義が俊足を飛ばして一塁から生還して、同点に追いついた。
上林の走塁は東海大菅生の勝利への執念の強さが感じられた走塁だった。試合は延長11回に花咲徳栄が3点を勝ち越し。決勝進出を決めた。かなりタフな試合となったが、花咲徳栄はこの勝利を勢いと変え、決勝戦では14得点を奪って悲願の初優勝。準決勝の勝利が花咲徳栄を強くしたといっても過言ではないだろう。
編集部が選ぶベストゲームは以上である。皆様によってそれぞれのベストゲームは違うだろう。1つ言えるのは今年も甲子園で開催された48試合はすべて見応えがあるゲームだった。
(文・構成:河嶋 宗一)