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U-18代表20名を徹底考察!起用法・オーダーも考案!

2017.08.21

U-18代表20名を徹底考察!起用法・オーダーも考案! | 高校野球ドットコム
左から安田尚憲(履正社)、増田珠(横浜)、清宮幸太郎(早稲田実業)、中村奨成(広陵)の野手ビッグ4に注目だ!

 20日、日本高野連は9月1日に開催されるカナダ・サンダーベイで開催される「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に参加する高校日本代表チーム20名を発表した。

 今回は20名たちの紹介と選手たちの能力を引き出す起用法、そして予想オーダーを考えてみた。

実は今年も投手のレベルはハイレベル

 昨年アジア制覇したU-18代表の投手陣は史上最強の顔ぶれだった。一方、今年はドラフト的には去年より劣るといわれるが、選ばれた顔ぶれを見ると、それほど見劣りしない。過去の日本代表と比べてもハイレベルな投手が揃っており、十分に世界で戦えるだけの投手陣となっている。

投手 8名

11 清水 達也花咲徳栄)3年
13 川端 健斗(秀岳館)3年
14 三浦 銀二(福岡大大濠)3年
15 山下 輝木更津総合)3年
16 櫻井 周斗(日大三)3年
17 磯村 峻平中京大中京)3年
18 徳山 壮磨(大阪桐蔭)3年
19 田浦 文丸秀岳館)3年

 前日の「高校野球ドットコムが選ぶU-18代表 精鋭20人を発表!」でも先発型として期待していた三浦銀二徳山壮磨山下輝川端健斗がしっかりと選ばれた。この4人がローテーションで回していくことになりそうだ。三浦は回転数が高い140キロ中盤のストレートを内外角に投げ分け、スライダー、チェンジアップを巧みに使い分ける本格派右腕。ストレートのコマンド能力が高いので、アメリカといった強豪国に投げさせるならば三浦。日本のエースとして期待したい右腕だ。

 徳山は140キロ中盤を計測し、回転数が高いストレート、130キロ台の高速スライダーは超高校級。フォーム技術を見ても開きが遅く、オーバーフェンスになるようなゾーンには投げさせない巧さがあり、今年の甲子園では、智辯和歌山戦に先発した徳山は二桁安打打たれながらも1失点に抑える粘り強さを見せた。そういう精神力の強さは頼もしい。

 山下は千葉大会で魅せた常に140キロ中盤の速球を投げ込む速球能力、130キロ中盤のツーシーム、スライダーの投げ分けができれば、かなりの活躍が見込める。山下はまずコンディションの調子を整えることが先決だろう。

 川端は、左腕から140キロ中盤の速球、切れのあるスライダー、チェンジアップ、カーブを低めに集めることができる投手で、イニング通して、安定したピッチングが期待できる。先発として十分な活躍が期待できそうだ。

 中継ぎは磯村 峻平田浦 文丸の2人に期待したい。磯村は、左スリークォーターから140キロ前半のストレート、スライダー、チェンジアップを投げ分けができる技巧派左腕。調子の波が少なく、国際大会では重宝したくなる投手。状況によって先発、中継ぎも使い分けることができる投手だ。田浦は甲子園では調子を落としてしまったが、熊本大会で魅せた140キロ後半の速球と落差抜群のチェンジアップが復活するのか?それに近いピッチングをすることが日本の世界一のカギとなる。

 そしてクローザー枠では、清水 達也花咲徳栄),櫻井 周斗の2人でスタンバイ。清水は甲子園唯一の150キロ右腕。コンスタントに145キロ前後のストレートを投げられる投手だが、130キロ台のスプリット、130キロ前後のスライダーの切れも悪くない投手。ただ制球を乱しやすい傾向にあるので、そこが懸念材料だろう。そして櫻井は140キロ後半の速球に、対戦した打者の誰もが「消える」と表現する縦スライダーは世界の舞台でも、かなり脅威となるだろう。

 その櫻井の能力を最大限に発揮するには起用法が重要となる。日大三の時では先発だが、試合中盤になるとスタミナ切れになり、甘い球が増えてボールの威力の割に打ち込まれることが多かった。短いイニングで集中させたほうが櫻井のためになるだろう。クローザー・櫻井は世界一の大きな切り札になることは間違いない。

[page_break:今年は高校生野手ビッグ4がいるのが最大のウリ]

今年は高校生野手ビッグ4がいるのが最大のウリ

 続いて野手である。野手は過去の代表チームの中でも最高の顔ぶれとなった。注目は、清宮幸太郎早稲田実業)、安田尚憲履正社)、増田珠横浜)、中村奨成(広島広陵)のドラ1ないしドラフト上位候補となりそうな野手が選ばれていること。今年の高校生野手ビッグ4がいる今年のU-18代表は世界で戦っていくには大きな強みとなる。ポジションごとに紹介したい。

捕手2名

10 中村奨成(広島広陵)3年
22 古賀悠斗福岡大大濠)3年

 捕手は例年3人だが、今年は2人となった。それでもなんとかなりそうな実力が2人にはある。中村は、甲子園4試合で打率.667、4本塁打と圧巻の打撃成績を残し、一躍甲子園のスタートとなった。坂本勇人(巨人)を模倣した打撃フォームで、外角、内角、高めを捌く打撃技術は超高校級。捕手としてもスローイングタイム1.8秒台を計測する強肩、バントをダブルプレーにするフットワークの良さと身体能力の高さが武器の大型捕手。レベルが高い日本代表投手陣をどうリードするのか、興味深い。

 古賀は高校通算50本塁打超の長打力、同じくスローイングタイム1.9秒台の強肩。キャッチングレベルの高さ、投手を献身的に支える立ち居振る舞いは心強い存在となりそうだ。

内野手6名

1 西巻 賢二仙台育英)3年
2 鯨井 祥敬東海大市原望洋)3年
3 清宮 幸太郎早稲田実)3年
5 安田 尚憲履正社)3年
7 小園 海斗報徳学園)2年
8 井上 大成日大三)3年

 内野手は6人。内野手のキーマンは、清宮 幸太郎安田 尚憲の両スラッガーだろう。
清宮は、高校通算本塁打記録更新に期待がかかる。今大会は主軸打者として勝負強さと清宮らしいバッティングを見せてくれるか。
そして安田も、昨年の台湾の高校との交流試合で木製バットを使って長打を連発しているだけに木製バットの順応力が高い。この夏は打撃面で進化を見せており、大阪大会で魅せた豪打を発揮することを期待したい。

 西巻 賢二はこの夏になって、攻守両面でプレーの精度が増した。打撃では広角に打ち分けるだけではなく、フェンス直撃の一打も打てるようになり、甲子園では打率.267に終わったが、内容面で進化を見せた。遊撃守備もスローイングの強さ、守備範囲の広さ、スピードともに抜群。その西巻は、今大会であえて二塁を任せてみたい。二塁をこなせるセンスはあるはずだ。

 2年生ながら選出された小園 海斗は、普通の内野手なら追いつかない打球に追いつく一歩目の速さ、守備範囲の広さ、スローイングの強さがあり、さらに打撃も、ミート力と一発を打つ長打力を兼備している。

 井上 大成は、強打の1番として活躍。細身だが、秋季大会では4本塁打とパワー十分。三塁から魅せる地をはうようなスローイングは、必見。さらに俊足と、走攻守三拍子揃った選手で、チームメイトの櫻井周斗は「もっと有名になっていい選手」と太鼓判を押す。だが同じ三塁には安田がいる。井上の能力を最大限に発揮できる起用法を首脳陣は考えてほしい。

 そして鯨井 祥敬。鯨井は、2年生から活躍するように小技が長けた二塁手。バントも上手く、守備も二塁手としてソツのない守備を見せる。この大会ではレギュラーというよりも、バックアップとして待機することになりそう。鯨井はこの大会、自分の名を上げる最大のチャンスが訪れた。

[page_break:高校野球ドットコムが考える予想オーダーを紹介!]

高校野球ドットコムが考える予想オーダーを紹介!

 外野手4名

9 丸山 和郁前橋育英)3年
21 増田 珠横浜)3年
24 伊藤 康祐中京大中京)3年
28 藤原 恭大大阪桐蔭)2年

 外野手は4名。丸山は外野手だけではなく、投手としての起用もあるだろう。甲子園3試合で大会タイ記録となる8盗塁を記録。代走・守備固め。さらにリリーフとしても起用できる。何でも屋としてスタンバイしたい選手。

 増田 珠 の打撃技術は代表選手の中でも一番。どのコースにも対応できて、芯でとらえる技術は木製バットに切り替わっても発揮してくれそう。外野守備を見ても守備範囲の広さだけではなく、強肩、次のプレーを予測した準備、視野の広さといい、1人、社会人野球の選手が混じっているのではないかと錯覚するほど。ドラフト上位候補に挙がる逸材だが、ぜひこの大会で1位評価にしてほしい。

 伊藤 康祐は走攻守すべてにおいてバランスが取れた万能型外野手。甲子園ではバックスクリーン弾を放ったように、パワーが身についたが、木製バットを使う今大会ではコンタクトヒッターとしての役割が求められそうだ。

 藤原 恭大は、走攻守の総合力は3年生の外野手と比べてもトップクラス。パンチ力があり、粘り打ちも期待できるバッティング、球際の強さと強肩が光る外野守備、先の塁を盗む走塁技術の高さは必見。2年生だが、3年生と比べて違和感がないプレーを見せてくれる選手だろう。

 最後に今年のメンバーの力量は例年と比較してどれくらいものか比較する。まず投手陣については、最強の顔ぶれがそろった2016年と比べるとどうしても劣るが、例年と比べても決して見劣りせず、140キロ後半の速球を投げる投手を多数揃ており、2015年の投手陣と比較しても上といえる。そして野手は史上最強の顔ぶれ。アメリカ、キューバ、韓国といった強豪国の投手にも対応できる能力を持った選手は選出できたといえる。

 最後に高校野球ドットコムが考えるオーダーは以下の通りだ。

1番センター・増田 珠
2番ショート・小園 海斗
3番ファースト・清宮幸太郎
4番DH・安田尚憲
5番キャッチャー・中村奨成
6番サード・井上 大成
7番レフト・伊藤 康祐
8番ライト・藤原 恭大
9番セカンド・西巻 賢二

 選手たちは限られた準備期間の中で、自分の能力を出せる準備をするだけ。世界一を勝ち取るために有意義な国内合宿を送ってほしい。そして高校野球ドットコムでも、国内合宿からワールドカップまで徹底取材!どうぞお楽しみに!

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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