Column

【岐阜展望】伝統校、有力校が抜け出せず混迷状態のなか大垣日大がリード

2017.06.23

 第99回全国高等学校野球選手権岐阜大会が7月8日から開幕する。今回は抽選会前に注目校を中心に岐阜大会を展望する。

秋と春の4強の顔ぶれが変わった今年の岐阜県

修行恵大(大垣日大)

 昨年の秋季県大会と今春の県大会とでベスト4の顔ぶれががらりと変わった。それだけ、本命不在の混迷の勢力構図ということも言える。今季の岐阜県は本命不在という色合いが色濃く出ているといっていいであろう。
とはいえ、今春は大垣日大が優勝して中京学院大中京が準優勝で、ベスト4に岐阜各務野土岐商で、岐阜各務野以外は、それぞれ実績のある学校が残った。

 大垣日大は阪口慶三監督が手塩にかけて育てた修行恵大が最終学年を迎えて大きく成長。東海地区大会でも好投して自信を深めている。左腕・石川隼也も力がある。総合力ではやはり一番の存在であろう。阪口監督の提唱する「魂のこもった野球」も選手全員に浸透してきている。そうなると、やはり大垣日大は強い。

 先夏の代表校・中京学院大中京(昨年は、中京で4月から現校名)は、昨秋はベスト8で益田清風に屈した。今春は2回戦で、その雪辱を果たして9対1で快勝。さらに県立岐阜商土岐商という公立の伝統校を相次いで下しての決勝進出は、やはり力があることの証明であろう。エースナンバーを背負った古田星投は身長は170cmにも満たないが、多彩な変化球が武器で歯切れのいい投球を持ち味としている。昨夏の経験もある。

伝統の県立岐阜商は力強い球を投げるエース岡本滉史を中心として守りの野球に徹するが、破壊力に乏しいのは否めない。

 今春3位に食い込んだ岐阜各務野は左腕・大滝竜弥の出来にかかると言えよう。準々決勝で美濃加茂に競り勝ち、乱戦気味となった3位決定戦でも土岐商に勝てたことで自信をつけたのではないだろうか。

[page_break:組み合わせ次第では思わぬところが、ポンと抜け出る可能性も]

組み合わせ次第では思わぬところが、ポンと抜け出る可能性も

河地京太(多治見)

 昨秋に優勝した多治見はアンダースローではないが、身体を倒してから、サイドハンド気味の手の出どころで、右変則気味の河地京太投手を擁している。21世紀枠代表として出場したセンバツでは大敗を喫してしまったものの、初めての打者としては、タイミングも取りにくく打ちづらいであろう。

 また、昨秋に準優勝した麗澤瑞浪伊藤智紀投手もアンダースローで安定感がある。昨秋の東海地区大会では敗れはしたものの、三重三重の強力打線に対して散発5安打、左打者に対しても強気の内角攻めの投球スタイルは評価されていいだろう。自分自身では、埼玉西武の牧田和久を参考にしているという。梅田恭明監督は、「もっと球の切れが良くなってくれれば、さらに安定感が増すだろう」という課題を掲げていたが、この夏は、その成果が問われる。

 面白い存在としては、福知山成美で実績を作った田所孝二監督が就任して2年目の岐阜第一関商工で甲子園出場を果たした北川英治監督が母校を率いる岐阜が挙げられる。さらには大垣商岐阜城北大垣南も侮れない。また、神奈川県の山手学院から外様として舞い降りてきて岐阜県に定着して3年目となる土井誉仁監督が率いる加茂も、矢野太一投手が逸材で面白い存在となりそうだ。

 いずれにしても、組み合わせ次第では思わぬところが、ポンと抜け出る可能性も秘めている、今年の岐阜大会だ。

(文・手束 仁


注目記事
今年も全国各校の熱い想いを紹介!「僕らの熱い夏2017」

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.15

【春季東京都大会】日大豊山、注目の好投手を攻略し、コールド勝ち!指揮官「うちが東京を勝ち上がるには機動力しかない」

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.15

【福島】聖光学院は福島明成と「福島北・伊達」連合の勝者と対戦<春季県大会支部予選組み合わせ>

2024.04.15

【鳥取】八頭と倉吉北がサヨナラ勝ち、鳥取東と米子東も8強入り<春季県大会>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.10

【沖縄】エナジックが初優勝<春季大会の結果>

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【埼玉】所沢、熊谷商、草加西などが初戦を突破<春季県大会地区予選>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>