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日本代表一次候補の投手陣を徹底考察!11名以外の候補選手は?

2017.06.21

日本代表一次候補の投手陣を徹底考察!11名以外の候補選手は? | 高校野球ドットコム
三浦銀二(福岡大大濠)

 16日、日本高野連は9月1日に開催されるカナダ・サンダーベイで開催される「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に参加する高校日本代表チームの第1次候補選手30名を発表した。まずは投手11名の実力を考察し、そして11名を脅かす投手について紹介をしていきたい。

右は完成度、左は粗削りながらも球威ある投手を重視

投手 11名
丸山 和郁 (前橋育英)3年
金久保 優斗東海大市原望洋)3年
櫻井 周斗(日大三)3年
久保田 蒼布(藤枝明誠)3年
竹田 祐(履正社)3年
徳山 壮磨(大阪桐蔭)3年
西垣 雅矢(報徳学園)3年
平元 銀次郎(広島広陵)3年
13791(東海大福岡)3年
三浦 銀二(福岡大大濠)3年
川端 健斗(秀岳館)

 この顔ぶれで見てわかるのは、右投手は完成度の高さ、左投手は多少制球力が荒くても、切れのあるストレートと変化球を投げる投手を選出しているのが分かる。

 まず右投手では、最速147キロ右腕の金久保優斗を選出されている。平均球速は140キロ台を超え、なおかつ両サイドへ投げ分ける制球力の高さ、切れのあるスライダーをコンビネーションにする投手だ。春の県大会では未登板のまま夏を迎えることになるが、さらにパワーアップを見せていると、日本代表でもエース級の活躍が期待できる可能性を持っている。

 そして世界レベルでも活躍が期待できそうなのが、三浦 銀二だ。球持ちが良く、高スピンがかかった140キロ中盤の速球、スライダー、カーブをコントロール良く投げ分けるピッチングは超高校級。コマンド能力が実に高く、2015年で活躍を見せた上野翔太郎クラスのピッチングは十分に期待できる投手だろう。

 竹田 祐(履正社)は独特の投球フォームから140キロ前後のピッチングで、打たせて取るピッチングに徹し、選抜準優勝に貢献したが、竹田の潜在能力からするとこんなものではない。強いボールを投げることにこだわり、投球フォーム、ストレートの質を突き詰めていきたい投手。春は体調不良もあったが、ぜひ代表に選ばれるに相応しいピッチングを夏に魅せていきたい。

 選抜優勝投手となった徳山 壮磨(大阪桐蔭)は、最速145キロのストレート、切れのあるスライダー、カーブを高低に投げ分ける投手。開きも遅く、打ちにくさもある投手で、今のままでも十分に活躍できるが、本人が目指す最速150キロまで到達できるピッチングになると、代表入りはほぼ頭角になるのではないだろうか。

 選抜ベスト4の西垣 雅矢(報徳学園)は土台の良いフォームから繰り出す140キロ前後のストレート、カーブ、落差抜群のフォークと、縦系で勝負できるのは素晴らしい。しかし細身で、スタミナ的に物足りなく、好調時、不調時に一気にクオリティが落ちるのが欠点ともいえる。その課題を乗り越えて、さらにストレートのスピードをレベルアップできるかがこの投手の課題となるだろう。

 右の本格派タイプは以上となる。制球力重視のタイプが多く、投手陣のバリエーションを加える意味では、剛球タイプも候補として推しておきたい。剛球タイプでは安定感向上が求められる最速149キロ右腕・山口翔熊本工)、150キロ右腕・牧 丈一郎啓新)は面白い投手としてリストアップしたい。また本格派右腕タイプとして、潜在能力が非常に高い本田仁海星槎国際湘南)は、投球の完成度も高く、先発型の投手として活躍できる素質は備わっている投手。そして投球の完成度という点では、三本松のエース・佐藤 圭悟も推していきたい。最速144キロのストレート、多彩な変化球を武器に先日、行われた招待試合では早稲田実業を完封勝利している。その投球の完成度は全国トップクラスだ。

[page_break:去年、一昨年の投手選出は8名。最強投手陣結成を]

去年、一昨年の投手選出は8名。最強投手陣結成を

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櫻井周斗(日大三)

一方、左投手。丸山 和郁 (前橋育英)と櫻井 周斗(日大三)の共通点は守ってはセンター、投げては140キロ超え。さらに三振奪取力が高い左腕であるということだ。

 丸山は、170センチという小柄だが、最速144キロのストレート、横滑りするスライダーのコンビネーションで三振を量産。ピンチの場面でも強く、さらに制球力が高い投手。打っても内外野を抜くバットコントロールの良さ、俊足ぶりが光るが、木製バットを持った時にパンチ力不足なところが気になる。櫻井は、140キロ中盤の速球、打者が消えると錯覚する縦スライダーは脅威。そして本塁打連発できる長打力も魅力だ。ベンチ入り20人と限られている中で、打力が高い投手の需要は高まっている。

 丸山と櫻井は「二刀流枠」として一次候補となっているが、20人に絞り込むときはどちらを選ぶことになるだろう。投手としては安定感があり、ピンチに強い丸山か、調子の波が課題だが、分かっていても打てない変化球があり、打っても、木製バットでも長打が十分に期待できる櫻井を選ぶのか?これは夏の大会の活躍で決まるだろう。

平元 銀次郎(広島広陵)は最速146キロを計測する速球派左腕。平均して、140キロ台が多く、まとまりのある好左腕。川端 健斗(秀岳館)は常時140キロ中盤・最速148キロのストレート、ハードな曲がりを見せるスライダーの威力の高さも必見だが、不調になると球数が多くなりやすいタイプ。夏へ向けて球数を抑えながら勝てる投球ができると、代表入りへ大きく前進しそうだ。

 この4人にひけをとらない実力があり、日本代表に候補に入っていてもおかしくない左腕投手3人を紹介したい。おススメなのが、145キロ左腕・山下 輝木更津総合)、東北大会で抜群の安定感を見せた長谷川拓帆(仙台育英)、金成麗生日大三)の3人だ。

 山下はいつでも140キロを出せる馬力があり、ここぞという場面で、145キロ前後の直球で押し切る投球は必見で、さらに開きが小さいフォームで出所も見にくい。ピンチにも強く、制球力も高く、このまま伸びていけば、左のエース候補として活躍できる投手。長谷川はここにきて制球力が増しており、140キロ前後の速球、120キロ後半のスライダー、120キロ後半のフォークを高低に投げ分けるまでに成長。先発・中継ぎもどちらもこなせる投手として、夏へ向けて注目だ。金成は投手専念で、大きく伸びた左腕投手。最速150キロのストレートはとても高校生とは思えない破壊力があり、スライダーの切れ味も増してだいぶ投手らしくなってきた。世界の強打者たちをねじ伏せる球威を持った投手として最後まで注視をしていきたい存在だ。

 13791(東海大福岡)と久保田 蒼布(藤枝明誠)は打ちにくさで勝負する右サイドハンド。世界を戦ううえで変則派は必要だが、安田にしろ、久保田にしろ、海外の打者も打てないと思わせるようなテクニックを身に付けたい。

 さて最終選考へ向けてここから絞り込みに入るが、もちろん一次候補に選出された11人以外の投手が選ばれる可能性は十二分に持っている。

 本戦で選ばられる投手の枠は、2015年のワールドカップ、2016年のアジア選手権はともに8名が選出されていたので、8人になる可能性が高いだろう。ぜひ2016年に並ぶ最強投手陣を結成し、カナダへ乗り込んでほしい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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