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明日神奈川大会抽選会!横浜、東海大相模など有力校の戦力分析!

2017.06.09

 6月10日、最激戦区・神奈川県の第99回神奈川大会の組み合わせ抽選会が開催される。今年の神奈川県の状況を振り返っていきたい。

横浜、東海大相模の二強が一気に成長

 昨秋は投打ともにバランスが取れた慶應義塾が優勝したが、この春は実力あるけど、荒削りな面があった神奈川横浜、東海大相模が力を伸ばした。やはりこの夏も二校を中心に回っていくに違いない。

 関東大会準優勝の東海大相模は、昨秋4回戦で桐光学園に敗れ、その悔しさをばねにこの冬は猛練習を積んできた。一冬で勝負強く、さらに総合力を兼ね備えたチームとなり、甲子園を狙える布陣となっている。

 まず投手陣では独特のオーバーハンドから繰り出す140キロ右腕・秋田稜吾、2年生右腕の斎藤礼二は、下半身主導のフォームから繰り出す130キロ後半のストレートと多彩な変化球を織り交ぜて勝負。その姿は2000年選抜優勝時のエース・筑川力也を思い出す投手だ。さらには右サイドから伸び上がる直球を武器にする大和田聖人、左サイドハンドから常時140キロ台のストレートを投げ込む安里海と県内トップクラスの布陣だ。ここに秘密兵器と呼べる投手が加わるのか?

一方、打線では小松勇輝山田拓也の1,2番コンビ、関東大会までで高校通算22本塁打を放った2年生4番の森下翔太、門馬監督の息子・門馬大は強打のサード。この4人が中心となって破壊力抜群の打線を形成。課題は僅差での打撃、守備、走塁。関東大会ではここ一番での制球ミスや守備ミスがまだ見られる。攻守ともに隙のない試合運びができれば、2年ぶりの甲子園も見えていきそうだ。

 昨秋、今春共に準優勝の横浜は、同じ準優勝でも中身が違う。昨秋は長打力ある選手は揃っていたが、守備面で課題が多く、新チームらしいチームだったが、この冬はバント処理、カバーリングなどを徹底して鍛えてきた。その結果、この春は守備面の精度が増し、特にライトの万波中正が著しく成長を見せた。関東大会は2回戦で敗れたが、平田監督は「冬やってきたことが成果として出てきたのは収穫だと思います」と手応えを実感。打線も3番横浜 斎藤大輝、4番増田珠、5番万波の強力クリーンナップに、新1年生が加わり、打線に厚みが増しただけではなく、昨秋ベンチ入りしていた選手がベンチ外になるなど、競争も激しくなっている。
 投手陣では昨秋まで2年生左腕・板川 佳矢の奮闘が目立ったが、一冬超えて3年生右腕・塩原陸が急成長。常時130キロ後半のストレートと、切れのあるスライダーの精度が増し、コントロールも安定したことで、地に足のついた投球ができるようになった。ここに2年生、1年生投手陣が伸びてくると面白いだろう。

[page_break:慶應義塾も春季大会後から成長]

慶應義塾も春季大会後から成長

 秋優勝の慶応義塾はこの春、県大会ベスト8で敗れたが、春季大会後からの成長が著しい。熊本県で行われた招待試合では3連勝。走攻守ともにすべて充実とした内容で、試合中からずっと声を張り上げ、盛り上げる姿があった。打線では高校通算40本以上の主砲・正木智也に加え、慶応義塾の元気印・綿引達也は、140キロ台の速球に振りまけしない打撃に加え、球際の強さが光る守備を兼ね備えた選手。また上位下位とコンタクト能力が高い選手が揃い、どこからでも点を奪うことができる。

 投手陣では140キロ右腕・森田晃介、135キロ左腕・生井 惇己、長いリーチから繰り出す左腕・渡邊哲成はキレのある130キロ台のストレートが光る。森田以外の投手陣にめどが立ったことで、厚みが出てきた。

 慶應義塾も十分に優勝争いに加わるだろう。

 春4強の星槎国際湘南はエース・本田仁海は神奈川県ナンバーワンピッチャー。常時140キロ~145キロの速球に加え、切れのあるスライダーで翻弄する好投手。あとは内角、高低の揺さぶりを覚えつつ、スライダーの速度がもっと上がると打ちにくい投手となっていくはずだ。そして初の甲子園出場へ、本田以外の投手を育成したい。打線では2年生4番・松下 壮悟、強肩捕手・田島大輔、俊足強肩巧打の2年生センター・小倉 健太朗と2年生に好野手が揃っている。初の甲子園へ向けてワンランクレベルアップ。そして劣勢時の戦略が見直されれば、戦いが期待できそうだ。

 桐光学園は自慢の攻撃力が一冬超えて、さらにパワーアップ。打線の中心は、守備範囲の広さは県下トップクラスのセンター・渡部 遼人、走攻守三拍子揃った外野手・齋藤 健成、巧打のショート・逢阪 倫充、スラッガー・小林将輝の4人。つながれば一気に大量点が期待できる打線は相手チームからすれば脅威となりそうだ。また投手陣ではリトル松井裕樹として期待される1年生左腕・冨田 冬馬に注目。久々に表れた本格派左腕で、冨田の成長が桐光学園の戦績に関わってきそうだ。また全体的な投手陣の底上げを期待したい。

[page_break:タレント揃いの横浜隼人、プロ注目右腕がいる三浦学苑も注目]

タレント揃いの横浜隼人、プロ注目右腕がいる三浦学苑も注目

 ベスト8では横浜隼人が面白い。大型三塁手・白井海斗、大型スラッガー・相澤響など大型選手を多くそろえた打線の破壊力は、県内トップクラス。また投手陣も、135キロ前後のストレートを投げる投手が数多く揃い、頭数は豊富。だが、守備ミスから流れを明け渡してしまう脆さが一番の課題。そこを乗り越えれば十分に優勝争いに加わる潜在能力は持っている。他では、接戦を勝ち進んできた橘学苑、速球派投手・柿木

拓海擁する平塚学園も面白いだろう。

 ベスト16では最速143キロ右腕・石井涼擁する三浦学苑、県内を代表する左のスラッガー・柿崎颯馬、大型左腕・徳永凌馬の投打の柱が引っ張る桐蔭学園、好遊撃手・管原裕太など打力が高い選手が揃う日大藤沢、打力自慢の横浜創学館、しぶとい試合運びで勝ち進む相洋など好チームが揃っている。

 ノーシードでは昨秋ベスト4の横浜商大高は自慢の投手陣が不調に終わったが、夏へ向けて整備されると、やはり上位争いに加わるチーム。どのブロックに入るのかが注目だ。

 最も注目度が高い神奈川大会の組み合わせはいよいよ明日。各校の熱い戦いはこの抽選会から始まっていく。

■春季大会の情報はここから
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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