大阪桐蔭が5年ぶり2度目の選抜制覇!優勝までの軌跡と夏へ向けての課題
優勝を決めて歓喜の大阪桐蔭ナイン
大阪桐蔭の優勝で幕が閉じた第89回選抜高校野球大会。今回は大阪桐蔭の優勝までの軌跡を振り返りつつ、夏へ向けての課題に迫っていきたい。
主将の福井章吾の統率力の高さが5年ぶりの選抜制覇につながった
今大会、2年生の活躍ぶりが取り上げられる大阪桐蔭だが、このチームを支えたのは主将の福井章吾の存在が非常に大きい。前チームから経験があり、チームの状態を把握して、指示や話し合いができる福井を見て、西谷監督は口出しすることなく、福井に任せたという。
今年のチームは前チームでの試合出場経験のある選手は少なかったが、福井の抜群のキャプテンシーにより一戦を戦うごとに結束を深めていき、昨秋は近畿大会ベスト4まで進出した。
オフシーズンでは、個々の能力、チーム力を高めるために徹底的に追い込んだ。しかし、正捕手・岩本久重が2月に痛めた手首を手術することになり、選抜はベンチから外れることが決まった。
この緊急事態を救ったのが福井だった。急造で正捕手となった福井だったが、今大会では大きな活躍を見せた。安定したキャッチングと、投手の持ち味を引き出すリードを心掛け、さらに相手打者の狙い球を絞らせない、外すリードも見事だった。待球作戦を仕掛けるチームに対してはストライク先行。初球攻撃を仕掛けるチームに対しては、ボール気味の変化球を投げて打たせて取るなど、さえたリードができていた。そして抜群の強肩ぶりを見せ、イニング間の送球は、1.8秒~1.9秒台の強肩を披露するなど、捕手として高い能力を発揮し、岩本の穴を埋める活躍を見せた。
福井は試合後の優勝インタビューでは、選抜に出られなかった岩本にも感謝の思いを口にした。選抜前の取材では、「選抜で優勝して閉会式で優勝旗を頂いて、それを持って場内行進をしていることをイメージしています」と語った福井は、見事にそれを実現をさせた。
[page_break:選抜ではそれぞれが個性を発揮!迎える春季大会ではどんな選手起用を行うのか?]選抜ではそれぞれが個性を発揮!迎える春季大会ではどんな選手起用を行うのか?
今年は2、3年生たちがそれぞれの個性を発揮。チームとしてうまく機能した結果が、優勝へとつながった。まず3年生たちの活躍を振り返ると、4番に座る山本ダンテ武蔵は、右打ちに徹した。さらに低い打球を打ち続け、外野の間を抜ける打球を放つと、自慢の俊足で、二塁打、三塁打でチャンスメイクに徹した。堅実な守備を見せる遊撃手・泉口 友汰、二塁手・坂之下晴人は高レベルで、次々と併殺を量産。そして決勝戦で決勝2ランを放った代打の切り札・西島 一波など貴重な活躍を見せる3年生が多かった。
3年生たちの活躍に刺激されて、能力が高い2年生たちものびのびと甲子園でプレーをしていた。
天才的プレーヤー・根尾昂、スラッガー・大阪桐蔭 山田健太、決勝戦で2本塁打を放った藤原恭大、3番打者として勝負強い打撃を発揮し今後、左のスラッガーとして開花する可能性を見せた中川卓也、2番打者として広角に鋭い打球を打つ宮崎 仁斗など甲子園5試合を経験したことで、成長を見せた。
今度は5年ぶりの春夏連覇へ向けて始動する大阪桐蔭だが、まずは激戦区の大阪大会を勝ち抜かなければ、そのチャンスは潰える。選抜準優勝の履正社も夏はさらに力を伸ばしてくるだろう。春夏連覇はとても過酷な挑戦である。
そのために春季大会での戦いも大事になってくる。西谷浩一監督は、今後の大会を見据えて、あまり出場機会が少なかった選手を積極的に試す傾向がある。特に2年生投手の育成を重要視しており、2015年春は当時2年生の高山優希(北海道日本ハム)、2016年春も、現エース・徳山壮磨を積極的に先発として起用。春季大会での経験がその後の活躍につなげた。
今年の春季大会では、選抜で登板が少なった大型左腕・横川 凱、最速143キロ右腕・柿木蓮、選抜で登板したものの、不安定な投球が見られた根尾などの2年生投手や登板機会が少なかった香川 麗爾を鍛えていくことになるのではないだろうか。
大阪桐蔭は、さっそく4月8日(土)に、春季大会初戦を迎え、八尾翠翔と対戦する。どんな選手起用を行っていくのか、注目が集まる。
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